遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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第14話です。

今回はちょっとした日常回です!

最初の方は少し時間軸が前になっていて、その後が前回より後になっています。

それでは本編をどうぞ!


第14話 姉弟のひととき

「おい遊作、これを見てみろ」

 

「どうしたんだ?草薙さん」

 

「これは、今日のお前とGO鬼塚とのデュエルの時にたまたま撮れた映像なんだが…」

 

そう言って、草薙さんがその映像を映し出した。

 

「これは!?Ai(アイ)の記憶にあったハノイのリーダー!確か、名前はリボルバー…」

 

そこに映されていたのはハノイのリーダーとそれに対峙する一人のデュエリストの姿…そのデュエリストには見覚えがあった。

 

「リボルバーとデュエルしてるのはPhantomか…?何故Phantomとリボルバーがデュエルを…」

 

「わからない…この映像も途中までしか撮れていないせいでどっちが勝ったのかもわからずじまいだ」

 

草薙さんの言った通り、映像は二人がデュエルを開始するところで途切れてしまっていた。

 

だが、この映像の通りならPhantomとリボルバーは確かにデュエルを行ったことになる。

 

「……Phantomに話しを聞く必要がありそうだな、もしかしたらハノイの騎士について何か知っているかもしれない」

 

「あぁ、そうだな…」

 

Phantomはハノイの騎士なのか?いや、その可能性は低いだろう、もしPhantomがハノイの騎士の一員ならわざわざ味方と戦う必要はない。

 

だとしたら、あいつも何かしらの理由でハノイに狙われているのか?

 

…どちらにせよ、直接Phantomに話しを聞くしかないな。

 

俺はそう考え、デッキの調整に向かった。

 

///////////////

 

 

「ほら、侑哉!早く~!私、先に行っちゃうわよ!」

 

「いや、姉さんは道知らないだろ!先に行ったって迷うだけだと思うけど…」

 

「それもそうね…それと侑哉!また姉さんって呼んでるじゃない!」

 

「…花恋、なんかテンション高くないか?」

 

「だって久しぶりに侑哉とお出かけできるのよ?最近、葵ちゃんにかまけてばかりで私に構ってくれないから尚更よ…」

 

そう言って、花恋は頬を膨らませた。

 

その仕草が可愛く思えて、思わず笑みが零れた。

 

「あ、そうだ葵ちゃんで思い出したけど、葵ちゃんはいつ頃家に泊まりにくるの?」

 

「うん、今度の休みの日に泊まりにくる予定だよ」

 

「そうなの、楽しみね!ところで侑哉…葵ちゃんとどこまでいったの?キスぐらいはした?」

 

「え…うん、まぁ一応は…」

 

「へぇ~、良かったじゃない!このこの…!」

 

花恋はそう言いながら、からかうように肘でつついてくる。

 

何だろう、何か腹立つ…まぁ、花恋なりに喜んでくれてると思って良いのかな…?

 

「さっきまで最近、構ってくれないとか言ってふてくされてたのに一気に元気になったな」

 

「まぁ、それはもちろん不満だけど、それと同じくらいに侑哉と葵ちゃんを応援してるのよ…」

 

「そ、そっか……あ、そろそろ着くよ」

 

「へぇ~、ここがそうなの」

 

「そう、ここのホットドッグがすごいおいしいんだよ!」

 

そう、今回の目的地は草薙さんの経営しているホットドッグ屋さんだ。

 

俺がここのホットドッグがおいしいと話していたら花恋が、私も行きたい!と言い出して二人で行くことになった。

 

「お、いらっしゃい!」

 

「こんにちは、草薙さん…今日も買いにきましたよ」

 

「神薙もすっかり常連さんだな…お、そこの美人な人はお前の彼女か?」

 

草薙さんがからかうようにそう聞いてくる。

 

端から見たらそう見えるのか…まぁ、俺と花恋は似てないからそう見えてもおかしくないのか…

 

「ははっ、違いますよこの人は俺の姉です」

 

「初めまして、侑哉の姉の花恋です!ここのホットドッグがおいしいと侑哉から聞いて、ここに来たんです」

 

「そうだったんですか、随分と仲が良かったので、てっきり恋人同士なのかと…」

 

「そうでしょう!よく言われるんですよ」

 

「いや、言われたことないだろ!」

 

「……侑哉と私ってよく恋人同士に間違えられて困ってるんですよね」

 

俺のツッコミを見事にスルーして、花恋はそう続けた。

 

意地でも恋人同士によく間違えられる、ということにしたいらしい。

 

まぁ、それで気が済むならそれで良いか…

 

「まぁ、そういうことにしておくよ…そういえば草薙さん、遊作は来てるのか?」

 

「あぁ、向こうにいるぞ」

 

草薙さんが指を指したところに目をやるとホットドッグを食べている遊作の姿が目に入った。

 

俺はそのまま、遊作の方へと歩を進めた。

 

「よっ!遊作、調子はどうだ?」

 

「神薙か…調子は普通だ」

 

「そっか、まぁ、体調が悪いわけじゃなさそうで何よりだよ」

 

「侑哉のお友達?」

 

俺と遊作が挨拶を交わしていると、花恋がそんなことを言った。

 

「初めまして、神薙のクラスメートの藤木 遊作です」

 

「遊作君ね、初めまして侑哉の姉の花恋です…よろしくね!」

 

「よろしくお願いします…」

 

花恋の自己紹介にそう言葉を返しながら遊作は軽くお辞儀する。

 

遊作って意外と礼儀正しいんだな…って意外は失礼だな。

 

俺がそんなことを思っていると、花恋はホットドッグを注文しに草薙さんの所へと歩いていった。

 

「まさか、お前に姉が居たなんてな」

 

「まぁ、話してないし知らないのも無理ないよ」

 

「それもそうだな……そういえば神薙、お前はPhantomを知ってるか?」

 

「え?いや、知ってるには知ってるけど…それがどうかしたのか?」

 

「一人のデュエリストとして興味がある…Phantomについて知っていることを教えてくれ」

 

「Phantomについてか…」

 

いきなりそう質問され、思わず考え込む。

 

まさか俺がPhantomだと言うわけにもいかないしな…それにしても、Phantomについて知りたいなんて急にどうしたんだ?

 

本当にただの興味なのか、それとも…

 

「どうかしたのか?」

 

「…いや、教えるにしても何から教えようかなと考えててさ…」

 

「なるほど…別にそこまで深く考えなくても良いぞ」

 

「そうだな…まず、Phantomはペンデュラムを主軸にしているエンタメデュエリストだ」

 

遊作が何を考えているかはわからないけど、とりあえず話してみるか…

 

俺はそう思い、話しを進めることにした。

 

「ペンデュラム召喚か…珍しい召喚方法を使うんだな」

 

「言うほど珍しくはないと思うけど…まぁ、スピードデュエルの時は圧倒的に不利だと思うけどね」

 

実際、スピードデュエルの時は相当キツいんだよな…ま、そういうのも含めて面白いんだけどさ。

 

「確かにスピードデュエルだとペンデュラムを使って戦うとなると、相当不利だな…それでもあの強さとは…Phantomはかなりの実力者みたいだな」

 

「…そうだね…後、Phantomの情報としては―――」

 

その後もPhantomの情報を遊作に話した。

 

といっても、そこまで深い情報は話さずにネットで書かれていた情報を遊作に話した。

 

まさか、花恋や美月に見せられたPhantom、もとい俺のネット上の情報がこんなところで役に立つとは…

 

「…と、まぁこんな感じかな、ただ、ネットの情報とかだから正しいとは限らないけどな」

 

「いや、十分だ…教えてくれてありがとう」

 

「…遊作が俺にお礼を言った?明日は槍でも降るんじゃないか?」

 

「お前は俺を何だと思ってるんだ…俺だって礼ぐらいは言うぞ」

 

「悪い悪い…遊作がお礼を言ったところを見たことなかったから、驚いてさ」

 

実際かなり驚いたが、よくよく考えたらLINK VRAINSで初めて会った時も俺がGO鬼塚を説得したことに対して“一応礼は言っておく”って言ってたっけ…

 

「まぁ良い…そういえば神薙、お前に聞きたいことがあるんだが…」

 

「聞きたいこと?何だよ」

 

「お前は以前、こう言っていたな…復讐をやめろとは言わない、だけどデュエルを復讐の道具としか見れないのは悲しい、デュエルを楽しめる時は全力で楽しめ、と」

 

「あぁ、確かにそう言ったけど…それがどうかしたのか?」

 

「お前は何故、復讐をやめろとは言わなかったんだ?普通は復讐をやめろと言うと思うんだが…」

 

「聞きたいことってそれか…」

 

確かに世間一般的には復讐は悪いことだもんな、疑問に思うのも無理ないか…

 

俺としても復讐なんかしない方が良いとは思うしな。

 

「まぁ、確かに復讐するなんて聞いたら普通はそういう反応だよな…ただ、実際自分の大切なものを奪われたら俺だって復讐に走るかもしれない、だからやめろとは言わなかったんだよ」

 

俺がもし大切なものを何者かに奪われたらそいつを許せる自信はない…どんなことをしても追い詰めてやる、そんなふうに考えるかもしれない。

 

まぁ、結局のところその時になってみないとわからないんだけど…

 

「そうか…」

 

「それに、俺が復讐をやめろと言ったって薄っぺらく聞こえるだけだろうし…やっぱ、そういう言葉ってその人の経験とかがあるからこそ重いんだと思うんだよ」

 

俺はそこまで誰かに憎しみを抱いたこともないし、復讐をしたことだってない、そんな俺が復讐をやめろと言ったってそれは絶対に遊作の心には響かない。

 

「まぁ、流石に逆恨みで復讐をするやつは論外だけど…そもそもそれは復讐とは呼ばない気がするし」

 

「……フッ、お前は変わった奴だな」

 

「え?そうか?」

 

俺がそう聞き返すと遊作は肯定するように頷いた。

 

そんな変わってるかな?そういえば、リボルバーにも面白いデュエリストだとか言われたな…

 

まぁ、気にしないで良いか。

 

「この話しはとりあえず終わりにして……俺とデュエルしようぜ!」

 

「…断る」

 

「やっぱりか…予想通りっちゃあ予想通りだけどさ」

 

「そもそも、何故今のタイミングでデュエルなんだ?」

 

「単純にデュエルしたかったからだけど?」

 

「…フッ、お前は本当に変わった奴だな」

 

遊作は呆れた表情を浮かべながら苦笑混じりにそう言った。

 

「侑哉~!ホットドッグ出来たわよ!」

 

「うん、今行くよ!……それじゃあ、そろそろ俺は行くよ、またな、遊作!」

 

「あぁ、またな……侑哉」

 

「…?あぁ!」

 

最後の言葉は小さくて聞き取れなかったが、遊作に帰りの挨拶をして、花恋の元へ歩を進めた。

 

「待たせて悪かったな、神薙…」

 

「気にしてませんよ、でも確かに遅かったですね…どうかしたんですか?」

 

「実は、草薙さんと話し込んじゃったのよ、そのせいで作業が遅れちゃって…」

 

俺の質問に花恋がそう答えた。

 

「なるほどね…草薙さん、迷惑かけてすみません…」

 

「いや、こっちも色々と話せて楽しかったから気にするな」

 

そう言って二人そろってクスクスと俺を見ながら笑っている。

 

一体何なんだ?何の話しをしてたんだ…

 

「それじゃあ、帰りましょうか!」

 

「ちょっと待って!何の話ししてたんだよ!」

 

「侑哉には可愛い彼女が居て、仲が良いって話しよ!」

 

そう言って、花恋は急に走り出した。

 

「な!?待てよ、姉さん!何、話してんだよ!!」

 

そう言って、俺は全速力で走り出した。

 

結局、家につくまで追いかけっこは続き、俺も花恋もくたくたになった。

 

草薙さんの作ったホットドッグは疲れているせいもあっていつもよりもさらに一層おいしく感じられた。

 

 

 




といった感じの第14話でした!

次回はPhantomとPlaymakerのデュエルを予定してます!果たしてどうなるのか?それは次回のお楽しみです!

それでは今回はここまで、ここまでの拝読ありがとうございます!


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