遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~ 作:kajoker
前回の続きです!衝動的に思い付いた内容を書いていたら、思いの外長くなりました。
それでは、本編をどうぞ!
「さて、今日の夕飯は何にするかな…葵は何が食べたい?」
「そうね…無難にカレーとか?」
侑哉とスーパーに入り、そんな会話を交わしながら、店内を歩く。
「カレーか…それが無難かな、それじゃあ早速材料を買いに行こうか!」
「うん…!」
そう言って、侑哉と一緒に再び歩き始めた。
本当に侑哉と一緒に居られるのね…何か夢みたい…
「葵、どうかしたのか?」
「何でもない…」
「そっか、それなら良いけど…」
侑哉はそう言って、近くの食材を手に取る。
「ついでに、他にも何か買っていく?」
「う~ん、そうだな…適当なお菓子とかを買っていこうか!」
「良いわね…でも食べ過ぎると太っちゃいそうだからあんまり買いすぎないようにしないと…」
「確かに、それは言えるな…」
「実際、最近ちょっと太ってきてる気がするし…」
「そうか?葵は充分スタイル良いと思うけどな…」
「そ、そう…?」
「うん、スタイル良いと思うよ!まぁ、でも油断してたら駄目だしな…葵は偉いよ、そんなふうに考えられるなんてさ」
「あ、ありがとう…」
何だか急に照れくさくなって、思わず侑哉から視線を逸らした。
相変わらずこういうことを平然と口にするんだから…
私はそんなことを思いながら、侑哉と買い物を続けた。
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「ふぅ、買い物終了っと…」
買い物が終わり、店を出るなり両手に買い物袋を持ちながら、侑哉がそう呟いた。
「袋、一つ持つわよ」
「いや、大丈夫だよ…ありがとな葵」
私を気遣っているのか、侑哉は変わらず両手に買い物袋を持ったまま歩を進めていた。
「良いから、ほら貸して……このままじゃ侑哉と手、繋げないし…」
「へっ!?あ、葵…?」
「今日はたっぷり甘えさせてくれるんでしょ?」
「まぁ、それを言われちゃ返す言葉がないよ…それじゃ、お言葉に甘えて…」
侑哉はそう言って、軽い方の買い物袋を私に手渡した。
そうして、空いた侑哉の左手をそっと握る。
それに応えるように侑哉は強く手を握り返してくれた。
「なぁ、もしかして家に着くまでこのままなのか?」
「当たり前でしょ、もしかして照れてるの?侑哉…」
「まぁ、そりゃあね…」
侑哉は少し照れくさそうにそう言った。
「そう言う葵はどうなんだよ?」
「私は…うん、私も照れくさいかな…ただ…」
「ただ?」
「それよりも嬉しさの方が大きい…かな…」
「…そっか、ならこのままの方が良いな」
「うん…」
侑哉とそんなふうに会話を交わしながら、家に向かって歩を進める。
こんな何気ないやりとりが妙に嬉しくて、ずっとこうしていたい、そんなことを思った。
勢いで侑哉に泊まらないかと言ってしまったけど、結果的には良かったのかな…?
「何か楽しそうだな、葵」
「…侑哉と一緒に居られると思うと嬉しくて」
「お、おう…何かそう言われると照れるな…」
「ふふっ、今日は一日中付き合ってもらうからね?」
「…わかったよ」
そう言って、侑哉は握っている手に指を絡めてそっとその手を握った。
私はその手を握り返し、いわゆる恋人繋ぎのまま家に向かって、歩き続けた。
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「ふぅ、ごちそうさまでした!」
「ごちそうさま!侑哉、作ってくれてありがとう…!」
「こちらこそ!葵が手伝ってくれたおかげでいつもより楽に作れたよ」
「それなら良かった…それじゃあ、器は私が洗っておくわね」
「あぁ、よろしく…」
そう言って、葵は器を持ってキッチンに向かった。
葵と買い物から帰ってきてしばらくして葵に手伝ってもらいながらカレーを作り、今に至る。
何だかこうしてると、早いもので結婚生活ってこんな感じなんだろうかと思ってしまう。
…って、それはいくらなんでも気が早すぎだろ…何考えてるんだ、俺は…
まぁ、そんなことを考えてしまうくらいに葵のことが好きってことなんだろうな……あぁ、何か急に恥ずかしくなってきた…
「とりあえず、デッキ編成でもしようかな」
俺は恥ずかしさを隠すようにデッキを取りだし、デッキ編成を始めた。
やっぱり、気分を落ち着かせるにはカードを弄るのが一番だよな。
「デッキ編成してるの?」
俺がデッキ編成をしていると洗いものを終わらせた葵がそう声を掛けてきた。
「うん、まぁね…ちょっと使ってみたいカードがあってさ」
「使ってみたいカード?」
「これなんだけど…」
「これって…!?」
俺が見せたカードに葵は驚きの声を上げた。
まぁ、そんな反応をして当然だ…だって今俺が見せたカードは…
「そう、サイバース族のカードだよ」
「これって、playmakerしか使えないカードじゃないの?」
「いや、そういうわけじゃないと思うよ、現に俺がサイバースのカードを持ってるわけだし…」
「侑哉がデータストームから手に入れたサイバースのカードは知ってたけど、他にも持ってたのね…」
葵には一応データストームからエンコード・トーカーのカードを入手したことは教えてある、もちろん、データストームが喋ったことは言っていない。
「どこで手に入れたの?」
「それは……」
どうする、言うべきか?
俺は別の世界から来て、その世界に居たときに手に入れたって…というか何で俺は今のタイミングでサイバースをデッキに組み込もうと思ったんだよ!
こんなの怪しまれるに決まってるじゃんか!
……でも、良い機会かもしれない、葵に隠し事をしたままでいるのは何か違う気がするし……よし、決めた!
「なぁ、葵…聞いてくれ…俺は」
そうして、俺は葵に自分が別の世界から来た人間でその世界に居たときにサイバースを手にいれたことを話した。
「…というわけなんだ、黙っててごめんな」
「…ふふっ、もしかして侑哉、そんなこと気にしてたの?」
「えっ…!?」
俺が話し終えると葵はクスッと笑って、俺の方を見つめていた。
「そんなことって…俺は別の世界の人間だ、なんて話し衝撃的な真実だと思うんだけど…」
「確かに驚いてるし、信じられない話しだと思うけど…侑哉は嘘をつくような人じゃないって知ってるから」
「それは嬉しいけど…驚いたって言ってる割には反応薄いよな…」
「だって、私にとって侑哉は侑哉だから…別の世界の人とか、そんなことは関係ない…侑哉は私の大好きな人に代わりはないから…」
そう言って、葵は俺に少し照れが混じった微笑みを見せてくれる。
そんな葵を見ていると不思議と心が落ち着いて、俺はここに居ていいんだって、そう思えた。
「ありがとな、葵…おかげで気が楽になったよ」
「ふふっ、どういたしまして!ほら、デッキ編成するんでしょ?私も手伝うわよ」
「そうだね…それじゃあ葵にも手伝ってもらおうかな」
そう言って、俺は持ってきていたサイバースを広げ、葵と一緒にデッキ編成を再開した。
「そういえば侑哉、どうして今サイバースをデッキに組み込むことにしたの?」
「実は、今日LINK VRAINSにログインした時にハノイのリーダーにデュエルを挑まれてさ…」
「ハノイの!?それって大丈夫なの?」
「まぁ、なんとか勝ったから大丈夫だよ…ただ、何で俺にデュエルを挑んできたのかはわからないままだけどね…」
まぁ、でも単純に俺の実力を測るためだったって可能性が高そうだし、そこまで気にする必要はないか…
「なるほど、だから今日は長い間LINK VRAINSに居たのね…」
「そういうこと…」
葵とそんな会話を交わしながら、デッキ編成を続ける。
その間に葵と色々と会話をし続け、気付けばあっという間にデッキ編成が終わっていた。
「まぁ、こんなもんかな…ありがとな、葵…」
「どういたしまして…あ、侑哉、ちょっと待ってて!」
「どうしたんだよ、急に…」
「いいから、ここで待ってて!」
「わ、わかった…」
葵は俺にここで待つように言い残して、走っていった。
急にどうしたんだ?う~ん…まぁ、待つように言われてるし言われた通りにするか。
俺がそんなことを思っていると、しばらくして葵が戻ってきた。
「侑哉…良かったらこれ、使って…」
そう言って、葵は俺にカードを手渡した。
「これは…アカシックマジシャン?へぇ、こんなリンクモンスターがいるんだ…これを、俺に?」
「うん…侑哉のデッキに相性も良いだろうし、私は使わないから…」
「確かに相性が良さそうだな…ありがとな、葵!ありがたく使わせてもらうよ!」
俺はそう言って、アカシックマジシャンのカードをデッキへと入れた。
「喜んでくれたみたいね、良かった…それじゃあ、そろそろお風呂にしましょうか」
「お風呂か…葵が先に入ってきて良いよ」
「私は後で良いから、侑哉が先で良いわよ…」
「そっか…じゃあお言葉に甘えて、先に入らせてもらうよ」
俺はそう言って、歩き始めようとして、立ち止まった。
「ところで、お風呂場ってどこだっけ…?」
「ふふっ…!侑哉って変なところで抜けてるわね…」
葵はそう言って、微笑みながら俺をお風呂まで案内してくれた。
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「ふぅ、葵がいないとこんなに暇なんだな…」
お風呂から上がった俺は一人そう呟いた。
というのも、上がってから特にすることがなくてただボーッと時間を過ごすことが多かったからだ。
「はぁ、暇だ、とにかく暇だ…デッキ編成も終わったしな…早く、出てこなかいかな…葵」
さて、どうしたもんかな…
とりあえず、もう一度デッキを見てみようかな。
「お待たせ!侑哉」
俺がデッキを弄ろうとすると葵がお風呂場から出てきた。
「葵!いやぁ、噂をすればなんとやらって本当なんだな…」
「私のこと、噂してたの?」
葵は俺にそう尋ねながら、俺の隣に座った。
「うん…早く、葵が出てこないかなってちょうど思っててさ…まさか、本当に出てくるとは思ってなかったよ」
「ふふっ、そうだったのね…もしかして、寂しかった?」
「まぁ、寂しくなかったと言えば嘘になるかな…」
「そ、そう…何か嬉しいわね…」
まさか、そんなふうに言われるとは思っていなかったのか葵は少し照れくさそうにそう言った。
「ねぇ、侑哉…」
葵は俺の名前を呼びながら、そっと俺の肩にもたれ掛かる。
そして、そのまま俺の手を握った。
シャンプーの良い香りが全体に広がり、紅潮した葵の顔が目に入る。
葵のその表情はお風呂から上がったばかりのせいか妙に色っぽく感じた。
「どうかしたのか?」
内心、ドキドキしながらできるだけ平然を装って葵にそう尋ねた。
「今度は侑哉の家に泊まることになるわね…ちゃんと準備しとかないと」
「何で泊まる前提なんだよ…まぁ、良いけどさ…でも葵の兄さんに許可を貰わなくて良いのか?」
「そこは何とかするから大丈夫!」
「そっか…なら、大丈夫かな…?」
少し、不安だけど葵には何か考えがあるみたいだし、ここは葵に任せるか…
それにしても…
「お家デートか…何か楽しみになってきたよ!」
「私も!いつ侑哉の家でお家デートする?」
「もう決めるのか?」
「こういうのは早く決めた方が良いの!」
「そういうもんかね……じゃあ―――」
葵とそんなふうに会話を交わしていると、気付けばもう寝る時間になっていた。
「もうこんな時間か…本当に楽しい時間ってあっという間にすぎるな…」
「………」
「葵?」
「すー…すー…」
「寝てるのか…」
規則正しい呼吸が聞こえ、隣を見てみると葵の寝顔が目に入った。
やっぱり、何度見ても可愛い寝顔だな…さすがに起こすのは悪いし、しばらくはこのままにしておくか…
俺はそう思って、近くにあった毛布を俺と葵の体に掛けた。
「…侑哉…大好き…」
「え…?」
「すー…すー…」
一瞬起きたのかと思ったが、どうやら寝言だったみたいだ。
好きな人の夢に自分が出てくるのは嬉しいけど、それと同時に恥ずかしくもなるな…
「お休み、葵…俺も大好きだよ…」
俺はそう言って、そのまま深い眠りに落ちていった。
といった感じの第13話でした!
エクストラパックを何パックか買ったのですが、やたらとサブテラーカードが当たってびっくりしました!これは私にサブテラーを作れと?
まぁ、せっかく当たりましたし作ってみますか!
それでは、今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!