遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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第8話です。今回はタイトルの通り、葵とのデート回です!正直、この話しは前から書いていたんですが、出すべきかとても悩みました…

まぁ、結局、出すだけ出してみようと思って出しました!
それでは本編をどうぞ!


第8話 葵とのデート

「う、う~ん…もう朝か…」

 

眩しい陽ざしに目を覚ます、ハノイの騎士とのデュエルからしばらく経ち、LINK VRAINSではスピードデュエルが流行り始めた。

 

playmakerもあのデュエルがきっかけで、今や時の人となり、playmakerの偽者までもが出てきていた。

 

その中で、何故か俺もニュースで大きくとりあげられ、playmakerと共にLINK VRAINSのWヒーローなんて言われていた。

 

「…っと、起きるかな、いよいよ今日か…楽しみだな」

 

そう、今日は日曜日、葵と約束したデートの日だ。

 

さて、俺は何をやらされるのやら…まぁ、実際、葵に心配かけたのは事実だし、ちゃんとお詫びしないとな。

 

「葵に楽しんでもらえるかな?今日のデート…」

 

正直、自信はない…だって女の子とデートするなんて初めてだしな…あぁ、やばい緊張してきた…

 

「まぁ、やれるだけやるか…」

 

俺はそんなふうに思いながら、そわそわしながらデートの待ち合わせ時間まで過ごした。

 

 

/////////////

 

 

「ちょっと早く来すぎたかな?」

 

時刻は12時ちょっと前、待ち合わせは13時なのだが何だか待ちきれなくて1時間も前に待ち合わせ場所に歩を進めた。

 

「こんな時間に葵が来てるわけないよな…待ち合わせ時間より1時間も前なわけだし」

 

そんなふうに思いながら、待ち合わせ場所へと再び歩き始めた。

 

「あれ?侑哉?」

 

「葵!?」

 

いざ、待ち合わせ場所に着いてみると、そこには白のワンピースに水色の薄手のカーディガンという服装の葵がいた。

 

いつもの制服姿と違う、私服の葵の姿はなんだか新鮮で思わず、見とれてしまう。

 

「おはよう、侑哉!」

 

「おはよう、葵…」

 

笑みを浮かべて、そう言う葵に俺も同じく挨拶を交わす。

 

「どう、かな…?」

 

葵は少し不安げな表情をしながら俺へとそう尋ねてきた。

 

多分、服装のこと…かな?

 

「どうって…えっと、よく似合ってて可愛いと思うよ…」

 

上目遣いで尋ねる葵に、そう正直に答える。

 

実際似合ってるし可愛いと思うしな…

 

「そ、そう…?あ、ありがとう…」

 

葵は少し照れたような表情をしてそう言った。

 

「俺は思ったことを素直に言っただけだよ…本当、よく似合ってるし可愛いよ」

 

「ちょ、ちょっと…!何度も言わないでよ…は、恥ずかしいから!」

 

葵は顔を真っ赤にしながら、そう言った。

 

「ははっ、ごめん…それじゃあそろそろ行こっか!」

 

「うん…ねぇ、侑哉…」

 

「どうしたの?」

 

「手、繋がない?」

 

「え…?」

 

葵の突然の発言に思わずそう聞き返す。

 

手を繋ぐって……いや、まぁデートならおかしくないのかもしれないけどさ…さすがに、恥ずかしいな…

 

「ほ、ほら!この前何でも言うことをひとつ聞くって言ってたでしょ!これが私が侑哉にしてほしいこと…」

 

「あ、あぁなるほどね…でも、それで良いの?」

 

葵は顔を朱色に染めながら小さく頷いた。

 

「わかったよ…じゃ、じゃあ手、繋ごっか…」

 

「うん…」

 

そうして、葵と手を繋ぐ。

 

繋いだ手が暖かい…その暖かさがなんとなく心地よくて

ずっとこうしていたいな、なんてことを思ってしまう。

 

そんなふうに俺が思っていると葵がそっと指を絡めてきた。

 

いわゆる恋人繋ぎというやつだ。

 

「あ、葵!?さすがにこれは恥ずかしいって…元の繋ぎ方に戻さないか?」

 

「ダメ、今日はこのままでいさせて…」

 

「…わかったよ」

 

「ありがとう、侑哉…」

 

葵は笑みを浮かべて、そう言った。

 

本当、そういうのは反則だって…

 

「今日はどこに連れていってくれるの?」

 

「う~ん、その前に喫茶店でちょっとした軽食でも食べてから行こっか」

 

「じゃあ、デートするのはその後ね…」

 

「この状況がすでにデートみたいなものじゃないか?」

 

「ふふっ、そうかもね…」

 

そんな会話を交わしながら、喫茶店に向かって歩を進める。

 

もちろん、手は恋人繋ぎのままで。

 

この何ともこそばゆい時間が妙に心地よくて、思わず頬が緩んでしまう。

 

「どうかしたの?」

 

「いや、何でもないよ…」

 

「そっか…ねぇ、侑哉」

 

「うん?」

 

「デート、期待してるからね!」

 

「あんまりハードル上げないでくれよ…正直、自信ないんだからさ…」

 

悪戯っぽい笑みを浮かべながらそう言う葵に少し苦笑しつつそう答えた。

 

「それじゃあ、早く喫茶店に行きましょう!」

 

「そうだね…」

 

そう言って、さっきよりも少し足早に喫茶店へと歩を進めた。

 

 

///////////////

 

「ねぇ、侑哉…ここは…」

 

「うん、遊園地だよ」

 

「もしかして、今日のデートの場所って…」

 

「やっぱり、デートといったらこういうところかなって」

 

喫茶店で軽食を食べ終えた俺達は今日のデート場所である遊園地へと来ていた。

 

正直、二人でショッピングに行こうか迷ったけど結局は遊園地にすることにした。

 

「もしかして、嫌だった?」

 

「うんうん、そういうわけじゃないけど…少し恥ずかしいなって…」

 

「大丈夫、俺も同じだから…」

 

実際、俺も少し恥ずかしい…遊園地でデートするということよりも、葵みたいな可愛い女の子とデートすることがなんだか照れくさい。

 

「そっか、侑哉も同じなんだ…なんか安心しちゃった」

 

「どういうこと?」

 

「もしかして、侑哉は今日のデートあんまり乗り気じゃなかったのかなって…ちょっと不安だったから」

 

「そんなわけないって…今日のデートが楽しみでなかなか寝付けなかったぐらいだよ」

 

しかも、楽しみにしすぎて待ち合わせ時間よりも早めに待ち合わせ場所に行っちゃったわけだし。

 

乗り気じゃないわけがない。

 

「そっか、なら良かった…」

 

葵は安心した顔をしながら、そう言った。

 

葵とそんな会話を交わしていると、気づけば遊園地の入場口のすぐそばに着いていた。

 

「それじゃあ、行こっか!葵!」

 

「うん…!」

 

葵の手を引きながら、遊園地の中へと入る。

 

そこには家族で来ている人やカップルで来ている人など多くの人達が居て、油断すればはぐれてしまいそうだ。

 

「葵、はぐれないように気をつけて」

 

「じゃあ、はぐれないように…」

 

そう言って、葵が体を寄せてくる。

 

そして、しばらくして腕に柔らかい感触が襲った。

 

これって、もしかして…

 

「ちょっ!葵!?どうしたんだよいきなり腕に抱きついてきて…」

 

「侑哉がはぐれないようにって言ったのよ?」

 

「いや、確かにそうだけど…」

 

何か今日の葵、妙に甘えてきてないか?

 

まぁ、それを可愛いって思ってしまう俺もいるんだけど…何というか、嬉しいな。

 

「嫌なら、やめるけど…」

 

「いや、このままで良いよ」

 

そう言って、俺は葵と歩き始めた。

 

俺の返事を聞いた葵はさっきよりも少し強く俺の腕に抱きついて離そうとしない。

 

俺達って周りから見たらただの恋人同士にしか見えないよな…まぁ、まだ恋人なんかじゃないんだけどな。

 

それにしても、俺のメンタル持つかな…

 

俺はそんなことを思いながら歩き続けた。

 

//////////////

 

 

「楽しかった!次はどれにする?侑哉」

 

「う~ん、そうだな…じゃあ、あれに乗ろう!」

 

そう言って、俺は観覧車を指さした。

 

遊園地に入って、ジェットコースターに乗り、その後にメリーゴーランドやお化け屋敷へ行ったりしているうちに気づけば時刻は夕暮れ時になっていた。

 

葵と電話で話した時もそうだったけど、楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまう。

 

本当に不思議だよな…

 

「どうかしたの?」

 

葵が俺の腕に抱きつきながらそんなことを聞いてきた。

 

「楽しい時間ってあっという間に過ぎるなって思ってさ…」

 

「確かにそうね…まだ、1時間ぐらいしか経ってない気がするのにもう夕方だもんね…」

 

少し、寂しげな表情を浮かべながら葵は俺が思っていることと同じようなことを口にした。

 

そのことが何となく嬉しくて、思わず舞い上がりそうになったが、さすがに自重して口にはしなかった。

 

その後も、葵に抱きつかれたまま観覧車の順番がくるまで他愛ない会話を続け、気づけば俺達に順番が回ってきた。

 

「それじゃ、乗ろうか!」

 

「うん…!」

 

観覧車に乗り込み、中の椅子へと葵と隣り合わせで座った。

 

観覧車に乗り込んでしばらくして、葵が抱きつくのをやめ、俺と手を恋人繋ぎで繋いでくれた。

 

そして、そのまま俺へともたれ掛かってきた。

 

葵の吐息が聞こえてくるぐらい葵の顔が近くにある。

 

そんな状況に内心ドキドキしながら葵へと声を掛ける。

 

「葵…?」

 

「こうしてみると、私達って恋人同士みたいね…」

 

「え…!?ちょっといきなりどうしたんだ?」

 

葵のそんな呟きに思わずドギマギしてしまう。

 

まぁ、確かにそれっぽいかもしれないけどさ…

 

「こういうのって、恋人みたいだなって思って…」

 

「いや、確かにそうかもしれないけどさ…」

 

俺達はまだ恋人ってわけじゃないんだよな。

 

「ね、ねぇ侑哉…このまま、本当の恋人に…なってみない?」

 

「………え?」

 

俺がひとりそんなふうに思考していると葵が顔を赤くして、そんなことを言った。

 

思考が停止する、今の状況がまるで把握できない……今のってまさか…

 

「ちょっと待ってくれ…もしかしてそれって…」

 

「うん、私は侑哉が好きです…」

 

「それは友達としてとか、同じ部活の仲間として…?」

 

「うんうん…恋人として、一人の男の子として侑哉が好き」

 

わかりきっていたことだった、葵がこういう状況でそんな意味で言ったわけがない。

 

葵は相変わらず俺にもたれ掛かったままだ。

 

ただ、俺の手を握る葵の手には少し力が入っていて震えている、多分、俺がどんな答えを出すのか、それが怖いんだと思う。

 

だから、俺はこう言葉を紡いだ…

 

「本当は俺から言いたかったんだけどな…」

 

「え…?それって…」

 

今度は葵が驚いたような声を上げる。

 

この言葉を言うのは勇気がいる、でも葵はその勇気を出して俺のことを好きだと言ってくれた、なら俺も勇気を出さないといけない。

 

俺は深呼吸して、さっきの言葉の続きを紡いだ。

 

「俺も葵が好きだよ…俺と付き合ってくれないか?」

 

「もちろん…!こちらこそよろしくね…!」

 

葵の返事は若干涙声で、でも、どことなく嬉しさが滲んでいて…それを聞いた俺も嬉しくなった。

 

「侑哉…大好き…!」

 

「俺も大好きだよ、葵…」

 

観覧車の中に静寂が訪れる、でも気まずい感じじゃなくて、むしろ心地よい静寂が流れていて、射し込む夕陽はまるで俺達を祝福しているかのようだった…

 

 

 




といった感じの第8話でした!

ついにくっつきましたよ、この二人!正直、悩んでいたのはそこで、果たしてこのタイミングで葵と侑哉をくっつけても良いのかどうか悩みました…
まぁ、出してしまったものはしょうがないので、このまま続きを書いていこうと思います。

それでは今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!

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