遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~   作:kajoker

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ついにUAが1万を突破しました!!これもこの小説を読んでくださっている皆様のお陰です!ありがとうございます!
今回の話しは侑哉が葵に看病してもらう話しです。

それでは本編をどうぞ!


UA1万突破記念!~葵の看病~

「コホッ!コホッ!…あぁ、きついな…風邪なんてひいたのいつぶりだ?」

 

朝起きると、体にとてつもないダルさを感じて一応熱をはかってみると、38℃近くの熱があり、こうしてベッドで寝ている。

 

「あぁ…デュエルしたい、デッキを弄りたいよ…コホッ!」

 

「ダ~メ、侑哉は病人なんだから大人しくしてなさい!」

 

「そりゃないよ…花恋…コホッ…コホッ」

 

そう言って、俺の看病をしてくれている花恋に若干文句を言いつつ、大人しくすることにした。

 

明日には治るかな?というか治ってくれなきゃ困るんだけど…

 

ピンポーン!

 

俺がそんなふうに思っていると、インターホンの音が響いた。

 

「あら、誰かしら?ちょっと見てくるわね」

 

「わかった…コホッ、コホッ」

 

そうして花恋が俺の部屋から出ていった。

 

それにしてもこんな時間に誰だろうな…

 

とりあえず、今日のところはゆっくりしようかな…というか今日のご飯どうするかな…

 

花恋は料理出来ないしな…今日はスーパーで何か買ってきてもらおうかな…

 

「うん…?」

 

そんなふうに思考していると、部屋の前に足音が聞こえてきた。

 

花恋が戻ってきたのか?

 

「入って良い?」

 

「え?あ、うん…どうぞ」

 

ちょっと待って、今の声って…いや、でもこんなところにいるわけ…

 

「侑哉、大丈夫?風邪をひいたって聞いたから、心配で来たんだけど…」

 

部屋に入ってきたのは心配そうな顔をしている葵だった。

 

「あぁ、大丈夫だよ、葵…コホッ、コホッ!」

 

「本当に、大丈夫?何か欲しいものある?」

 

「そうだな…って、そういえば葵は何でここに?今、まだ授業中だろ?」

 

そう、葵の声が聞こえて驚いたのはそれだ…授業中なのにどうして葵がここにいるのか、それが気になっていた。

 

それ以前に葵に俺の家教えたことあったっけ?

 

「早退してきたのよ、侑哉が心配だったから」

 

「え?それって大丈夫…コホッ、なのか…コホッ」

 

「私よりも自分の心配をしてよ…ほら、ゼリー食べる?一応風邪をひいても食べられそうなものを買ってきたけど」

 

そう言って、葵はゼリーやプリンが入っている袋から無造作にブドウゼリーを取り出した。

 

「今日は私が侑哉の看病をするから、欲しいものがあったり、してほしいことがあったら遠慮なく言ってね」

 

「いや、さすがにそれは…コホッ、わ、コホッ…悪いって…葵に風邪が移るかもしれないし」

 

実際、こうして見舞いに来てくれただけでもありがたいのにさらに看病をしてもらうなんて申し訳なさすぎる…

 

「大丈夫よ、そうなったら今度は侑哉に看病してもらうから!」

 

葵は少し悪戯っぽく微笑んで、そう言った。

 

「……わかった、それじゃあ、今日は葵を頼らせてもらうよ…」

 

「任せて!」

 

「あぁ!よろしく」

 

葵とそんな会話をしながら、なんとなくいつも学校でしているやりとりをしているみたいで、安心した。

 

「そういえば、葵…ケホッ、俺の家はどうやって知ったんだ?」

 

「実は、その…」

 

俺がそう言うと、葵は少し困ったような表情をしながらこう言った。

 

「侑哉のお義姉さんから電話が来たのよ、それで、その時に家の場所も教えてもらったの」

 

「え…?」

 

それを聞いて、すぐさま花恋の姿を探すと部屋の隅っこに座っている姿が見えた。

 

「てへっ☆」

 

「てへっ☆じゃないよ!あんたか…義姉さん!!ケホッ、コホッ!コホッ!…」

 

「侑哉、無理に大声をだしちゃダメよ…咳がひどくなっちゃうから…」

 

「あぁ、ありがとう葵…ケホッ」

 

本当はまだまだ色々と言いたいことがあるけど、葵の言う通り咳がひどくなりそうだからやめとこうか…

 

それにこの状況もそんなに悪くはないしな。

 

「そうそう、今日は大人しくしてなさい、侑哉…」

 

「誰のせいだと思って、コホッ…思ってるんだよ…」

 

「まぁまぁ…それじゃあ私は下に行くわ、お邪魔するわけにもいかないしね…葵ちゃん、頑張ってね!」

 

「は、はい…!」

 

葵は俯きながら、そう返事をした。

 

頑張るって俺の看病のことかな…?というか葵に全部丸投げするのはどうかと思うけど…

 

俺はそんなことを思いながら、部屋から出ていく花恋を見ていた。

 

///////////////

 

「なんというか、ごめんな…ケホッ、ケホッ」

 

「良いわよ、気にしないで…私が来たくて来たんだから」

 

侑哉とそんな会話をしながら、先ほど花恋さんに言われた言葉を思い返す。

 

『葵ちゃん、頑張ってね!』

 

「~~っ!」

 

花恋さんの頑張っては多分、看病のことじゃない…だって私がここに来た理由は他にもあるから。

 

///////////////

 

 

あれは、今日の朝にいつも通り教室で待っていた時だった、いつもその時間に来るはずの侑哉が来ていなくて、珍しく寝坊でもしたのかな、そんなふうに思っていた時に侑哉の携帯から電話が掛かってきた。

 

「もしもし、侑哉?今日はどうかしたの?」

 

掛かってきたのはビデオ通話じゃなくて普通の電話だったから耳に携帯を当てて電話に出た。

 

『あ~、ごめんね!私は侑哉じゃないのよ』

 

「え…?」

 

お、女の人!?侑哉ってもしかして彼女が居たの…?

 

『私は神薙 花恋、侑哉の姉よ…よろしくね』

 

「へっ!?は、はいよろしくお願いします!」

 

良かった~、お姉さんだったんだ…安心した…でも、何で侑哉のお姉さんが私に電話を?

 

「私は財前 葵と言います、ところでどうして私に電話を?」

 

侑哉のお姉さんが私に電話を掛けてきたのが気になって軽く自己紹介をしながらそう聞いた。

 

『知ってる、侑哉からあなたの話しはよく聞いてるから…実はあなたに相談したいことがあってね』

 

「相談したいこと、ですか?」

 

『侑哉、今日の朝38℃近くの熱を出しちゃってね…今日は学校に行けそうにないのよ…』

 

「侑哉が!?じゃあ、今から私がそっちに行きます!」

 

あ、でも私、侑哉の家がどこにあるか知らない……後で先生に侑哉の家の場所を聞くしかないわね。

 

『あれ、これはわざわざ言わなくても大丈夫だったかな…実は、相談っていうのは葵ちゃんに侑哉の看病を任せたいなってことだったんだけど…』

 

「相談ってそれだったんですね…それじゃあ今から行きますね!」

 

『家の場所は後で送るから……ありがとうね、葵ちゃん!もしかして侑哉から聞いてるかもしれないけど私って家事が全然出来ないから、他の人に手伝ってもらいたくて電話したのよ』

 

「なるほど、そういうことですか…」

 

だから、花恋さんは私に電話を掛けてきたのね…それにしても、侑哉って花恋さんに私のことをどんなふうに話してるのかな?

 

すごく気になるわね…後でそれとなく聞いてみようかな?

 

『それはそうと、ねぇ、葵ちゃん』

 

「何ですか?」

 

『単刀直入に聞くけど、侑哉のこと、好き?』

 

「は、はい!?急にどうしたんですか?」

 

突然、そんなことを聞かれ、思わず声が大きくなる。

 

『好き、ってことね…』

 

「は、はい…」

 

私は少し恥ずかしい気持ちになりながら、正直に思ったことを口にする、隠すことでもないし、いつかは言わなくちゃいけないことだから。

 

『そうなのね…なら、これはチャンスよ!葵ちゃん!侑哉を落とす大チャンス!』

 

「そう、なのかな?」

 

『そうそう…私がそれとなく部屋を出て、二人っきりにするから、後は葵ちゃんが自分でチャンスを掴むのよ!』

 

「いきなり、そんなこと言われても…」

 

『大丈夫よ、なんとかなるわ!それじゃあ、待ってるから、またね!』

 

「ちょっと!花恋さん!?……切れちゃった」

 

////////////////

 

 

「葵、大丈夫か?顔も赤いけど…もしかして、ケホッ、ケホッ…やっぱり俺の風邪がケホッ、コホッ…移っちゃた?」

 

 

「へっ!?あ、大丈夫よ…これは侑哉の風邪が移ったわけじゃないから…」

 

「…そっか、なら良いけど」

 

「それで侑哉…何か食べる?」

 

「そうだな…コホッ、とりあえずさっき袋から出してたブドウゼリーを食べたいな」

 

「わかったわ…」

 

侑哉とそんな会話をしながら、さっき取り出したゼリーに手を伸ばす。

 

花恋さんはチャンスを掴めって言ってたけど…どうすれば……そうだ!

 

私はゼリーをあけて、それをスプーンで掬い、侑哉の顔へと近づける。

 

「ほら、侑哉…口を開けて、食べさせてあげるから」

 

「え…?いや、それぐらい自分で…コホッ、コホッ!」

 

「ほら、早く口を開けて…今日は私を頼ってくれるんでしょ?」

 

多分、今の私は顔が赤くなっている…だって触らなくても顔が熱いのがわかる。

 

「そう言われると、返す言葉がないよ…それじゃ、お言葉に甘えて…」

 

「はい、あ~ん…」

 

「え、え…?」

 

「ほら、早く…」

 

「あ、あ~ん?」

 

ちょっと、戸惑いながら口を開けた侑哉にゼリーを食べさせる。

 

これはちょっと恥ずかしいわね……こういうのってなんか恋人みたい…

 

侑哉も照れているのか、少し顔が赤くなっている。

 

まぁ、熱で顔が赤くなっているのかもしれないけど…

 

「さすがに、これは恥ずかしいな…やっぱり、自分で―――」

 

「ダメ、私が食べさせるの…ほら、口を開けて、侑哉…」

 

侑哉が言い切る前に遮るようにそう言う。

 

確かに恥ずかしいけど、花恋さんがくれたチャンスを無駄にするわけにはいかないもんね…

 

「はい、あ~ん…」

 

「……あ、あ~ん」

 

侑哉も観念したのか、さっきよりも自然に口を開けて、ゼリーを食べた。

 

「はい、もう一口…あ~ん」

 

「あ~ん……なぁ、毎回これするの?」

 

「当たり前でしょ、ほら、あ~ん」

 

「もう、どうにでもなれ……あ~ん」

 

何だかこういうやりとりってすごく楽しい…侑哉と恋人になったらこんな感じになるのかな?

 

周りが見たらバカップルとか言われそうだけど、それでも良いかな?、なんてことを思ってしまう。

 

 

 

 

「ふふっ、なかなか良い雰囲気じゃない…もう、さっさとくっつけば良いのに……さて、邪魔をしないように下に降りるとしましょうか」

 

///////////////

 

「……う~ん、あれいつの間にか寝てたのか…」

 

確か、葵にゼリーとか食べさせてもらいながら色々と話してて…あ、そのうちに寝ちゃったのか…

 

「うん?」

 

ふと、ベッドの上から重みを感じて視線を移す。

 

「すぅ―…すぅ―…」

 

そこにはベッドにもたれかかるように寝ている葵の姿があった。

 

「葵も寝ちゃったのか…ずっと俺の看病してくれてたわけだもんな、疲れててもおかしくないな」

 

それにしても…

 

葵の寝顔にふと目をやる。

 

「可愛い寝顔だな…」

 

そういえば、葵の寝顔って今まで見たことなかったよな…って、それは当たり前か…

 

「すぅ―…すぅ―…」

 

「気持ち良さそうに寝てるな…起こさないように気をつけないとな…」

 

「侑哉……」

 

「え?今のって…」

 

「すぅ―…すぅ―…」

 

少し、柔らかい表情をしながら葵は俺の名前を呼び、また規則正しい呼吸が聞こえてきた。

 

どんな夢見てるんだ?俺の名前を呼んだってことは俺が夢に出てるのかな…?

 

本当にどんな夢なんだ…

 

まぁ、それは良いか。

 

「葵、今日はありがとな…」

 

そう呟いて、寝ている葵の髪をそっと撫でる。

 

葵は少しくすぐったそうにしながらも、どこか嬉しそうに頬を緩ませる。

 

その反応がとても可愛いくて、もっと撫でていたくなったけど、さすがに起きてしまいそうだからやめておいた。

 

「もう少し、寝かせておくか…葵の寝顔も、もっと見ていたいし…」

 

俺はそんなことを思いながら葵の寝顔を見つめた。

 

 

 

 

 

 

その後、葵の看病の甲斐もあって、風邪が治った俺が葵の看病をすることになるのだが、それはまた別の話し。

 

 

 




といった感じの葵と侑哉が中心の回でした!
最近、テスト期間やらなんやらで小説を書く暇がなかなかなくて参っている今日このごろです…

そう言えば、ついにアニメでファイアウォールさんが登場しましたね!いや~、格好良かったですね!

リボルバーさんとplaymaker、果たしてどっちが勝つのか…今から楽しみですね!

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