遊戯王VRAINS 幻影の咆哮~青き天使との日常~ 作:kajoker
それでは本編をどうぞ!
LINK VRAINS、そこでは多くのデュエリストがVR空間で行われるデュエルに熱中していた。
その中で最近、注目されている一人のデュエリストがデュエルが行っていた。
アカウント名Phantom、フード付きのマントと首に下げているペンデュラムが特徴的なデュエリスト
「お楽しみはこれまでだ!オッドアイズ・ファントム・ドラゴンで攻撃!夢幻のスパイラルフレイム!」
幻影の竜が咆哮を上げとどめの一撃を放つ。
放たれた一撃は彼の対戦相手のライフを0にした
「いいデュエルだったよ、またやろう!」
彼は対戦相手に労いの言葉をかけて、その場を後にした。
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「ふぅ、楽しかったな…デュエルを見ている人達にも楽しんでもらえたかな?」
「お疲れ、Phantom!今日も快勝だったわね」
「あ、ブルーエンジェル!お前も見てくれたの?」
「もちろん!」
先程のデュエルが終わり、今回のデュエルについて振り返っているとブルーエンジェルに声をかけられ、そんな会話を交わした。
ブルーエンジェルはLINK VRAINSのカリスマデュエリストでまさにアイドルといった感じの美少女で、多くの人から人気がある少女だ。
使うデッキも可愛い見た目のモンスター達のデッキ、トリックスターを使用している、だが、その見た目とは裏腹に鬼畜な効果を持つカードが多いデッキがトリックスターだ。
正直、何で俺が勝てたのか不思議なくらいだ。
「今、頭の中で失礼なこと考えてたでしょ?」
「いや、そんなことは考えてないよ…ただ、トリックスターは鬼畜だなと」
思考の海に沈んでいたところから現実へと引き戻され、思わず、そう口にしていた。
やばい、地雷踏んだかも…
「ま、その鬼畜なデッキに高い勝率を誇っているPhantomが言っても説得力ないけどね」
「そう言われちゃ返す言葉がないよ…それよりもそっちは大丈夫なのか?」
「大丈夫よ、今日はデュエルはしないつもりだから」
「ほぅ、じゃあブルーエンジェルはわざわざ俺のデュエルを見るためにこっちに来てくれたのか…嬉しいな」
「そ、そんなわけないでしょ!私はあなたとデュエルしにきたのよ!」
「デュエルしないとか言ってなかったか?」
「他の人とはやらないってことよ」
「お、おう…」
必死にまくし立ててくるブルーエンジェルに思わずまぬけな返事を返してしまった。
半分、冗談のつもりで言ったけどこうも否定されると割りとへこむな…
「それじゃ、さっそく始めるか…」
「ええ、始めましょう!」
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「ふぅ、疲れた…」
ブルーエンジェルとのデュエルが終わり、俺はLINK VRAINSからログアウトしてきていた。
デュエルの勝敗的にはギリギリで、俺の勝ち。
本当、毎度毎度ギリギリで勝つことが多いからな…たまには楽に勝ちたいもんだな…
「お帰り、侑哉、お疲れみたいね」
ホッとひと息をついている俺に声をかけたのは、栗色の長い髪に黒の瞳、そして、白のインナーに黒の上着に水色のフレアースカートという服装のスレンダーな美少女、神薙 花恋(かんなぎ かれん)
俺の義理の姉だ
といっても、俺には彼女と過ごした日々の記憶はない。
なぜなら、俺は元々この世界の人間じゃないからだ。
目が覚めたら、この世界にいた…いわゆるトリップというやつだろう。
そのことを話したら、意外なことにすぐに信用してくれて俺の方がびっくりしたぐらいだ。
「まぁ、肉体的というよりは精神的に疲れた…」
「そうなの、それでこっちの世界には慣れた?」
「まぁ、そこそこね」
こんな風に俺が別の世界から来たことをまるで気にしないで受け入れてくれている。
まぁ、花恋曰く『どの世界の侑哉も変わらないから気にしない』ということらしいが
「いよいよ、明日から学校ね…」
「だな、友達できるかな?」
「侑哉なら大丈夫!自信持って!」
「ありがとう…」
俺は花恋の気遣いに感謝しつつ、一日を終えた。
/////////////////
翌日、早朝から学校へと向かい、教室へと入った。
「いくらなんでも早すぎたよな…って、あれ?」
教室に入ると、見覚えのある少女の姿が目に入った。
その少女はブルーエンジェルの正体である財前 葵…その人だった。
教室の窓際の席に座っている彼女はうっすら差し込んでいる朝日と相まってとても綺麗だった。
「お、おはよう…早いね、まさかこんなに早く教室に来てる人がいるなんて、まぁ俺も人のことは言えないけどさ」
どう、話しかけたらいいかわからずそう声をかけつつ葵の隣へと座った。
「おはよう、確かに随分と早いわね…え~と」
「侑哉、神薙 侑哉(かんなぎ ゆうや)、君は?」
「私は、財前 葵(ざいぜん あおい)よ…よろしくね」
「よろしく!」
それにしてもラッキーというか何というか、まさか、葵の隣の席になるとはな…せっかくだし何か話したいな
「財前さんってデュエルするの?」
「え…?」
葵は面食らった表情をしながら、俺の方を見つめている。
バカか、俺は!出会って開口一番がデュエルするの?ってなんだよ!それ以外に話題がなかったとはいえ、もうちょっと上手い言い方があったろ!
「えっと、ほら、腕に着けてあるのってAI搭載型の新型デュエルディスクだろ?だから、デュエルするのかな~と」
苦しまぎれに話題をつなげる。ちなみに新型デュエルディスクの情報は花恋から聞かされた。
この世界に来るまで、遊作の使っているデュエルディスクがデッキ収納型の旧型だなんでまるで知らなかったからそれを聞かされたときは驚いた。
まぁ、アニメが始まる前にこの世界に来ちゃったから知らなくて当然かもしれないが…
「するわよ、そういうあなたは?」
「もちろん、するに決まってるよ!俺はデュエルが大好きだからな!デュエルを通して色んな人と出会ってさ、その人達と最高のデュエルが出来たら本当に楽しいに決まってるし!」
そう、最高に楽しいに決まってる、デュエルってそういうものだと思うし。
「ふふっ…」
俺がそんなふうにデュエルについて話していると、葵から笑みが零れた。
「あ…」
その頬笑みを見た瞬間、そんな声を溢してしまった。その頬笑みがとても可愛いものに見えて…もっと見てみたいな、なんてことを思ってしまって…
「どうかした?」
「あ、いや…急に笑うから、変なことでも言っちゃたのかなと思って…」
慌てて適当な理由をつけて、誤魔化した。
でも、この理由は嘘じゃない…実際変なことでも言ってしまったのか気にはなっていたし。
「ううん、そうじゃなくて…神薙君って本当にデュエルが好きなんだなって思って…」
「まぁ、そりゃね…」
なにせ、小さい頃からずっとデュエルを続けてるからな…
デュエルは俺の生きた証といっても過言じゃないかもしれない。
「ねぇ、神薙君…良かったらデュエル部に入ってみない?」
「デュエル部?そんなのあるの!入る入る、絶対入る!」
「そんなに嬉しそうな顔をされるとは思ってなかったわ…まぁ、嫌がられるよりはましだけど」
「俺からしたら、嬉しいよ…だって、デュエルが好きな人達とデュエルしたり、話したり出来るんだよ、それってすごい良いと思わないか?」
「そうね…良いと思う」
そう言って、葵は小さく笑った。
「それじゃあ、放課後に私と一緒に行きましょう」
「あぁ!」
その後、予鈴が鳴り出すまで葵と他愛ない会話を交わした。
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「ようやく、終わった…」
今日の授業がすべて終わり、大きくけのびする。
といっても、今日はほとんどかオリエンテーションみたいなもので、軽く自己紹介と授業の内容の説明だけで終わった。
自己紹介をした中に遊作の姿もあって、改めて遊戯王VRAINSの世界に来たのだと実感した。
「それじゃあ、行きましょうか!」
「おう!」
そう、答えて俺は葵の後に続いた。
「そういや、デュエル部ってどの辺にあるんだ?」
「それは、今から決めるのよ」
「どういうことだ?」
「私達でデュエル部を設立するのよ」
「はい?」
悪戯っぽい笑みを浮かべて葵が口にした衝撃の事実に思わず、そう聞き返す。
え、どゆこと?つまり、まだデュエル部はなくて俺達で設立するってこと?
「あ、職員室に着いたわね、神薙君もついてきて」
「あ、あぁ…」
失礼します、そう一言言って中に入る葵に続いて、俺も職員室の中へと入る。
職員室に入ると葵が、先生と話し始めた。
デュエル部の設立に関する交渉だとは思うけど、いまいち頭に会話が入ってこなかった。
というのも、さっき葵が言っていたことを未だに考えていたからだが…
「さ、神薙君、戻りましょうか」
「え、お、おう…」
どうやらいつの間にか話し合いが終わっていたらしく、そのまま職員室を後にした。
「どうしたの?ボーっとして」
「いや、まじで俺達で設立するんだなぁと思ってさ」
「嫌なの?」
「いやいや、むしろその逆…楽しみなんだよ!こういうのってさ、わくわくしないか?」
「ふふっ、そうね…私も楽しみかな?」
そう呟く葵はどことなく楽しそうで、見ているこっちもますます、楽しみになってきた。
「部室は明日、先生が手配してくれるって」
「そっか、明日か~楽しみだな!」
「そうね」
「部員、たくさん集まると良いな…」
「あんまり多すぎても困るけどね…」
「ははっ、確かにな」
そんな他愛ない会話を葵と交わしながら帰路につく、ずっとこんな風に話していたい…そんなことを思うほど心地よい。
「それじゃあ、私はこっちだから…神薙君、また明日!」
「あぁ、また明日な!」
葵と別れ、そのまま自分の家へと帰る。
「明日、楽しみだな…」
そう呟いて歩を進める、明日の日を楽しみにしながら…
こんな感じの本編でした、デュエル部の設立については完全にオリジナルです、実際、誰が設立したかは分かりませんが、この小説では侑哉と葵ちゃんによって設立されたというふうにします。
それでは、今回はここまで。
ここまでの拝読、ありがとうございます!