雷魔法少女のヒーローアカデミア   作:ヴィヴィオ

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前の話に少し追加


第6話

 

 

 

 

 今日はアスレチックで訓練してから、模造刀を使って練習する。鞘に入れた模造刀に電流を流して超電磁砲の原理で抜刀する。高速で抜き放たれた模造刀は空気の焼ける音と臭いと共に目標を斬り裂く。

 

「ほう、確かに才能はありそうだ」

「だろう?」

 

 声が聞こえて後ろを振り向くと、パパと一緒に金髪碧眼で顔に斬り傷がある男性。腰に1本、背に6本の合計7本の軍刀を持っている。服装は軍服。その隣では茶色の髪の毛をした私ぐらいのショートヘアの女の子もいる。私が見ているのに気付いたのか、頭を下げてきたので私も下げる。

 

「お父様、お話をしてきてもよろしいですか?」

「ああ、構わない。私はコイツと話しをしている。好きに行動するといい」

「ありがとうございます」

「やれやれ、君は娘に対してもその態度か」

「当然だ。娘だからこそ、厳しく鍛えねばなるまい。もっとも、剣の才能はなく、別の才能があるのだが……」

「君なら才能など関係ない。努力と気合で乗り越えられるといいそうだけどね」

「当然だ。才能などスタートにおけるハンデでしかない。たゆまぬ努力と精神力で限界を超えればいいだけだ」

「HAHAHAHA、確かにその通りだ。Plus Ultra(もっと先へ、もっと向こうへ)だね」

「そうだ。我等に歩みを止めることは有り得ない。過去を振り返らずにひたすら前へ進むこと。後の人々が我等の跡に続くのだから」

 

 あちらを置いて、こちらにやってきた女の子。彼女は私の元へとくるとお辞儀をしてから挨拶してくれる。

 

「こんにちは。私はシュテルと申します。あちらにいる人の娘です」

「私はフェイトです……」

「はい、聞いています。これから頑張ってくださいね」

「え?」

 

 シュテルは私の肩を掴んでそんなことを言ってきた。何を頑張るの? 真剣な表情だから、本心から言っていると思う。

 

「お父様は加減という言葉を知りませんからね」

「えっと……」

「刀の使い方を教えるということでしたが……」

「あっ、パパにお願いしました」

「はい。日本の"英雄"であるオールマイトのお願いということで、EUの"英雄"たるお父様がきました。教師としては……ちょっと、いえ、かなり問題がありますが、頑張れば実力はつきますよ」

 

 つまり、あの人はパパと同じクラスの人ってことだよね。そんな人に教えてもらえるなら、確かに実力はつきそう。

 

「そうなんだ」

「はい。まあ、死ぬかもしれませんが」

「え?」

「何度生死の境を彷徨ったことか……」

 

 シュテルが虚ろな瞳でガタガタと震えている。私は彼女を抱きしめて頭を撫でてあげる。

 

「ありがとうございます。大丈夫です、一緒に頑張りましょう」

「うん……あっ、はいだった」

「ああ、敬語はいいですよ。同じ年くらいですし、これから一緒に生活するのですから。私のは教え込まれているだけですから」

「ありがとう。そうするね」

 

 話していると、パパ達も話し終えたのか……こちらにやってきた。

 

「フェイト君、紹介するよ。彼はヴァルゼライド。ヒーローの資格は持っているけど、どちらかというと軍人だ」

「ヴァルゼライドだ。これから俺が君を鍛える。君はヒーローになりたいそうだな。なら、私が最適であろう」

「最適なんだけど、普通は死ぬからね。でも、フェイト君なら生半可なことじゃ死なないからいけると思う。辛かったら止めてもいいからね」

「阿保か。動き出したら止まるな。目指した理想へと邁進する。それこそがヒーローであろう」

「そうなんだけど、子供にはまだ早いよ」

「子供も大人も関係はない。付いて来れないというのなら、置いていくだけだ」

 

 ちょっと怖い。

 

「だが、彼女はすでに素質を持っている。渡された資料から読んだ限りだが」

「こちらとしては幸せになって欲しいだけなんだが……」

「だが、ヒーローになるのならば生半可は許されない。生半可であれば死ぬだけだ。我等はそれだけ恨みを買っている」

「そうだね。確かにその通りだ」

「ましてや、俺を呼んだのだ。諦めさせることも考えているんだろう?」

「うん、まあね」

「パパ?」

 

 パパの言葉は私をヒーローにしたくないと言っている。

 

「いいかい。彼の修行についていければフェイト君はヒーローとしてやっていける。いや、トップヒーローにもなれるだろう。だけど、決して簡単なことじゃない。辛いことの連続だ。それでもやるかい?」

「うん、やる。パパと同じヒーローになる」

「そうか」

「よかったです。これで道連れができました」

「お前はまだそんなことを言っているのか。個で構わんだろう」

「お父様みたいなきち……こほん。狂人と同じにしないでください。だいたい、私は後衛です。一人で(ヴィラン)の大隊を全滅させるなんて……」

「できるであろう。お前の"個性"は広域殲滅に特化している。撃てば生半可な連中なら一瞬で消滅だ」

「だ・か・ら! 殺したら駄目なんですって!」

「それこそ、ヒーローにならなければいいだろう。軍人になれば問題ない」

「お断りです。お父様と比べられて同じ扱いをされるとか、絶対に嫌ですから」

 

 シュテルはシュテルのパパのことが嫌いなのかな?

 

「まあ、先に荷物を片付けようか」

「いや、必要ない。まずは森で訓練する」

「早速っ!?」

「ああ。滞在できる時間は少ないのでな。使い物になるのなら、連れていってもいいのだが……」

「おい、待て。まさか君は娘を戦場に連れていったりしているのかい?」

「そうだが? それがどうした。シュテルは固定砲台として優秀だからな」

「おいこら」

 

 パパ達が言い合いを始めたので、私はシュテルを案内することにした。

 

「こっちだよ」

「助かります」

 

 家の中を案内しながら、互いのことを話していく。

 

「私の"個性"は雷と超再生、あとは自己進化。名前は決まってない」

「三つとは凄いですね。私の"個性"は核融合(

 Nuclear fusion)。お父様の"個性"、核分裂(

 Nuclear fission)の強化型ですね」

「どちらも凄く強力そうだね」

「強力ですよ。とっても。お父様の刀は受けることができませんし、私のは使い方を誤れば地球の一部が確実に消し飛ぶそうです」

「大丈夫なの?」

「コントロールの訓練はちゃんとしています」

「じゃなくて、身体は大丈夫?」

「身体は……結構、危険です。色々とつけたり、薬で押さえたりしているので」

 

 強い力は身を滅ぼすんだよね。私も身体が簡単に壊れていくし。

 

「ですが、痛みとかは耐えられますし、精神力でコントロールしきりますのでもんだいないです」

「凄いね」

「これでもお父様の娘ですから。わからないでしょうが」

「うん。これから知っていくよ」

「はい。私としてはオールマイト、八木さんの方がいいんですけどね。お父様は父親としては失格ですから」

 

 シュテルと話しながら案内していく。外に出ると何故かパパとヴァルゼライドさんが戦っていた。周りの被害が凄い。

 

紅炎(プロミネンス)

 

 シュテルの腕から深紅の炎が放たれると、二人は慌てて飛び退った。

 

「何をする」

「危ないなぁ~」

「それはこちらの台詞です。ここを消滅させる気ですか?」

「意見の相違は戦って決着をつけるべきだ」

「この頑固者をわからせるのには戦うのが……」

「駄目です! だいたい、ここは日本なのですよ。国際問題に発展します」

「ちっ、致し方あるまい」

「ここまでだね。まあ、訓練は頼むよ。私は食事の用意をしてくる」

「わかった。二人共、先ずは基礎訓練だ。ここから山頂まで登って降りて来い」

 

 簡単だけど、どういうことだろう?

 

「ちなみに妨害してきますよ。お父様が」

 

 血の気が引いてくる。さっきのを見た限り、凄く強い。

 

「さっさと行け。10秒だけ待ってやる」

「っ!?」

「行きましょう!」

「うん!」

 

 二人で森へと走る。シュテルは熱を利用してか、空を飛んで高速で移動していく。私も同じように雷で磁力を操作して飛んで行く。

 

「避けてください!」

「っ!?」

 

 瞬時に止まって別のところに移動する。先程までいた場所が斬り裂かれ、大地に裂け目ができた。

 

「この程度は回避するか。ならば、もう少し上げていこう」

 

 信じられないことに一瞬で追いつかれた。明らかに私よりも速い。悔しい。

 

「ああ、別に反撃をしてもいいからな。それとガンマ・レイは切っておいてやるから安心して斬られるといい」

「絶対に嫌です」

 

 シュテルの放った炎をなんでもないかのように斬り裂くヴァルゼライドさん。化け物だよ。二人で攻撃しながら必死に逃げる。でも、気づけば隣に居て腕が斬り落とされる。私には容赦ない斬撃で斬られるけれど、シュテルは刀身とは反対の場所で殴り飛ばされる。

 

「超再生があるのだ、殺さないように加減をしつつ徹底的に追い詰めてやる。なに、オールマイトの娘ならば耐えられるであろう。奴は俺と同じくらいはできるからな」

 

 パパ、それぐらい凄いんだ。あの時、確かに先制攻撃で傷を負わしても負けたし。その前も戦ってたんだよね。先はまだまだ遠い。

 

「フェイト!」

「俺を相手に考え事か。阿保が」

「っ!?」

 

 身体中を一瞬で斬り刻まれて角切りにされた。すぐに再生するけれど、この人やばいよ!

 

「さて、今回は何回殺されるか見物だな」

「消し飛んでくださいっ! フレアっ!」

 

 シュテルが大規模な爆破攻撃をする。その間に私とシュテルは急いで逃げる。

 

「フェイト、私を抱えて全速力で逃げてください。私がお父様を牽制します!」

「了解!」

 

 シュテルを抱き上げて全力で逃げる。後方で無数の爆撃音が聞こえてくるけど、ちらっと見ただけで爆撃の中から無傷のヴァルゼライドさんが走ってくる。避けているのか、斬っているのかはわからないけど、無茶苦茶怖いよ!

 

「いい考えだ。だが、その程度では俺から逃れられると思うなよ」

「フェイト、ごめんなさい! 近距離で爆破します!」

「!?」

 

 近場で爆発されて爆風で吹き飛ばされる。それを利用して即座に加速する。シュテルがブースターになってくれたので、どうにか山頂まで到着することができた。

 

「でも、問題はここからだよね」

「そうですね。如何にしてお父様を突破するかです」

 

 そう。私達の目の前には仁王立ちするヴァルゼライドさんがいる。下手なことをしたら一瞬で斬り殺される。二人でバラバラに逃げたらどうにかなるかもしれないけれど、それはヒーローとして駄目だ。だから、雷の剣を出して対峙する。シュテルも炎を出して戦う意思を取る。二人で連携しながら突撃する。

 

 

 結果? あっさり斬り殺されれて終わりました。

 

 

 

 




変更点
クリストファー・ヴァルゼライド:シルヴァリオヴェンデッタより。我等が光の英雄、総統閣下。現在EU所属の軍人。ヒーロー資格も持っているが、主に国連軍などにも参加しつつ紛争地域を文字通り壊滅させている。娘のシュテルも戦場にひっぱりだしている。"個性"は核分裂。切られれば放射線で汚染され、激痛に苛まれながら相手は死ぬ。また、おそらく超再生や限界突破……覚醒の"個性"を所持していると疑われる。というか、これはこの人の標準装備。
シュテル:クリストファー・ヴァルゼライドの娘になっており、"個性"は核融合。ぶっちゃけ太陽。やったね。デストラクターの名を欲しいままにできるよ! 炎熱関係から太陽に超強化。シュテルは桃色の魔王にも引けを取らない。

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