雷魔法少女のヒーローアカデミア   作:ヴィヴィオ

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第2話

 

 

 

 殴られるのは痛いので回避する。しかし、風圧だけで吹き飛ばされる。相手の拳の速度は銃弾並み。なら、こちらはそれよりも速く動く。私の雷を使えば速く動ける。教授は電磁誘導とかなんとか言っていたけれど、それを使えばいい。

 

「止めるのだ少女よ! 身体が持たないぞ!」

 

 凄い風圧で身体が軋む。それでも瞬間再生で傷が治るので大丈夫。離れては接近して、斬っては逃げるを繰り返す。周りを縦横無尽に移動する。

 

「致し方あるまいっ!」

 

 ダメージを無視して突撃してくる。それに対して雷の剣を投げて対応する。でも、相手は剣が刺さろうが、気にせずにこっちにやってくる。すぐに逃げて離れる。でも、追ってくる。空から雷を降らせても気にせずにやってくる。速度は私の方が上だけど殺さないといけないから、逃げきれない。

 だから、空へと移動してから最大速度で突撃して剣を突き刺す。私も死ぬだろうけど、運が良ければ生き残れる。肉を貫く感触がした。

 

「捕まえたぞ、少女よ」

「っ!?」

 

 掌から腕に剣を突き刺し、私の腕を掴んでいる。離れようとして電撃を放ちながら、大きな腹を蹴ってなんとか逃げようとするけれど離れない。そのまま押し倒されて動きを封じられる。もう、動けない。私もこれで終り……後は殺されるだけ。でも、簡単には死ぬことはできない。

 

「もう大丈夫だ。後は私に任せてくれ。君の安全は私が保証する。だから、大人しくしてくれないかな? できたら子供を傷つけたくない」

「殺さないの?」

「殺さないさ」

「私は殺そうとしたのに?」

 

 殺し殺されるのが当たり前。負けたら殺される。それだけ。でも、安心する。

 

「うむ。なにせ私はヒーローだからな。君のような子供を助けるのも私の使命だ」

「助ける……?」

「そうだ。だから安心するがいい」

 

 向こうの方からサイレンが聞こえてくる。すぐに誰かがきて私に手錠を嵌めていく。

 

「彼女のことを頼むよ」

「はい。すぐに精密検査をします。それに施設にも派遣していますので、すぐに病院へ……」

 

 それから、複数の人に囲まれながら研究所みたいなところに搬送された。ここでも実験みたいなことをされるの?

 

 そう思っていたけれど、全然痛いことはされなかった。血を抜かれて薬を飲まされたくらい。後は何かの力で調べられたくらい。

 

 

 

 

 

 オールマイト

 

 

 

 二週間。私の怪我も治って彼女についての話を聞きに行った。

 

「彼女の検査結果はどうだったんだね?」

「薬物反応有り、人体改造の形跡有り。それに施設に残された資料から彼女はクローンのようです」

「クローンか。禁止されているはずだが……」

「はい。人体実験もかなり行われていたようです」

 

 渡された資料を読んでいくと、予想以上にやばい内容だ。検査結果もかなり酷い。顔から下は継ぎ接ぎだらけで、崩壊と再生を繰り返している。しかし、細胞の適合は比較的高いようだ。そもそもが同じ細胞だったようだから、それも納得だ。

 

「人工の命とは……彼女は助かるのか?」

「身体は大丈夫です。崩壊する度に再生し、強靭な肉体に生まれ変わっているようです」

「そうか。それならひとまずは安心か。それで、彼女の様子は?」

「最初は暴れたりもしましたが、今は大人しいです。実験の内容も喋ってくれます」

「それでこの資料か……」

 

 毎日高圧電流を流され、殺し合いをさせられる。それも自分と同じ顔、同じ人とだ。

 

「さて、オールマイト。貴方を呼んだのは他でもありません」

「なんなんだ?」

「彼女のDNAです……」

「ちょっ!?」

 

 渡された資料は驚きを禁じ得ないものだった。

 

「やってくれたな、オール・フォー・ワンっ!」

 

 これ、あっちはどうなるんだ? 先生とかに相談しないと駄目だな。うう~む、これはどうすればいいのだろうか? とりあえず、間違いないかもう一度確認してもらう。結果を聞いてから急いで先生の場所へとやってきた。そして、話し合いと実験の結果、どうやらあちらの方は問題ないようだ。それは良かったが、はたして彼女をどうするかという問題が浮上した。

 

 

 

 

 


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