「これより、雄英体育祭を始めます! まずは代表者挨拶!」
雄英体育祭が幕を開けた。私とシュテルは部隊の下で待機している。
「大丈夫かな?」
「練習はしましたし、大丈夫です」
隣にいるシュテルと互いに両手を握り合って、おでことおでこをくっつけながら話す。私とシュテルの服装はフリルたっぷりの可愛らしい服装。
「はい。とても個性的な挨拶をありがとう。では、雄英体育祭開催を記念して、生徒達へのパホーマンスを行う」
ミッドナイトさんが鞭を叩くと、私達の居る場所がせり上がっていく。同時にドライアイスの煙がでる。
「さて、いきましょうかフェイト」
「うん、頑張ろうシュテル」
会場全体に音楽が響き、私とシュテルは飛び出して爆炎と雷光を背後に放つ。同時に空を飛んで会場に無数の魔法陣を生み出し、歌う。物凄く恥ずかしいけれど、これもお仕事だから頑張る。アイドルと同じように歌っていく。
空を飛びながら演出も行いつつ、私とシュテルのデュエット。イメージは日本のアニメであったマクロスやシンフォギア。あれを完全再現する。私達の声ならいけるらしい。
「「「うぉおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」
「あの噂は本当だったのか!」
一曲が終わり、空中で留まって服を掴んで引っ張ると同時に発行して、瞬時に柱の陰にある隠しスペースで衣装を変えて光の中からでる。魔法少女の姿になって空中で歌いながらシュテルと対になるように飛行しつつ、互いの武器を合わせて戦っているようにも演出する。
最後にはアリーナの出口付近に着地して、炎の柱と雷の柱を生み出してアーケードを作り出す。
「「それでは、皆さん。頑張ってください。障害物競争スタートです」」
私達がそう言っても反応しない。少しして1-Aの轟さんや爆豪さんが走りさる。すると、他の人も走っていく。皆が出たあと、私達は観客席を一周してからステージの後ろへと戻る。
「やあ、ご苦労様」
「はい、タオルとドリンク」
「「お疲れ様です」」
私達を向かえてくれたのは校長先生と、タオルとドリンクを渡してくれるお父さん。
「どうでしたか?」
「ちゃんとできてました?」
「アイドルデビューしても問題ないレベルだね、うん。お陰様で集客率アップだよ」
「よかった」
「本職ではないんですけどね」
ドリンクを飲んでいると、お父さんが後ろから頭をタオルで拭いてくれる。そのままされるがままになる。
「素敵だったが、無茶はしないでくれよ」
「大丈夫だよ。これぐらい楽だから」
「それにまだやることはありますからね」
「本当にやるのかい?」
「「はい」」
「今年は難易度が高くなるね。まあ、全然いいけどさ」
「わかった。糖分もしっかりとっておくんだよ」
「「はい」」
甘いケーキを食べてから直ぐに飛び立つ。目指すは障害物競走。あくまでも歌はついでだよ。
そのまま空を飛んで彼等を追っていく。見ていると、大きな機械を突破するようだ。
「どう思う?」
「ぬるいですね。相手になっていません」
「じゃあ、第二関門ですね」
「うん。先頭はもういってるみたいだし、担当するよ」
「お願いします」
さらに加速して先頭集団を追い越す。第二関門は渓谷。間にある石の柱とロープを使って進んでいく。落ちたら、奈落。一応、ロープが張り巡らされ、下はマットが引いてあるので落ちても大丈夫。それに復帰用の縄梯子も用意されている。
「あれは……」
「あ? あのムカつくガキどもじゃねえか」
でも、これだけじゃ駄目だよね。もうちょっと厳しくするよ。
「アルカス・クルタス・エイギアス。煌きたる天神よ。今導きのもと降りきたれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル。撃つは雷。響くは轟雷。アルカス・クルタス・エイギアス ハァ!」
渓谷全体に巨大な魔法陣を作って、弱い威力の雷を法則に基づいて降ろしていく。命中しても少しダメージを受ける程度。むしろ、光と音の方がメインだし。ちなみに詠唱なんて必要ないけど、あくまでも魔法少女っぽくするためだよ。
『ただの綱渡りだと思ったか! 残念、落雷を避けながら進め!』
「ふざけんな!」
「ちっ!」
「あの、ちゃんとコントロールしてあるので受けても大丈夫ですから……」
『実際、すこしピリッとするぐらいだから問題なし! にしても、今年は難易度が高い!』
『今までが温すぎただけだ』
みんなが頑張って通っていく。その中でもお父さんの弟子の人をみる。彼は装甲の板を背負いながら進もうとしている。
甘いよ?
そういいたいけど、だめだよね。案の定、雷に撃たれた。それでもロープを外さずに頑張ってすすんでいく。
『さあ、先頭は最終ステージだ! そして、黒の魔法少女がいたら、赤の魔法少女も当然いる! ということで、地雷原に陣取っている嬢ちゃんの罠を潜り抜けていけ! 地雷は競技用の奴だから威力は大したことないぞ……って、なんじゃそら!』
シュテルの陣取っている方をみると、地雷原なにそれ、美味しいの? という感じで、炎の龍が動き回っていた。
『おい、その威力は問題だろう』
「問題ありません。ゆっくパターンにそって進みます。空は……フェイト」
「うん」
『空は雷、地は炎の龍。どっちを通ろうとしてもやばいぞ!』
『確かにどちらもゆっくりだ。ちゃんと見て避ければ問題ないだろう。ただし、地雷にも気を付けないといけないが』
轟君が地面を凍らせて突き進んでいく。そこに炎の龍がくるがそのまま避けて進んでいく。まあ、そうだよね。このまま進ませても問題ないか。
「さて、相手をさせてもらいましょうか」
「ちぃっ!?」
先頭集団がシュテルと戦いだした。シュテルは杖と体術のみで対応していく。吹き飛ばされたら地雷で飛んでいく。しかし、対応できる人数に限りがあるので、他の人を囮にしてそのまま進んでいくことができる。