星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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 ーー映画館内の電波ーー

 

「セァッ!」

 

 ワイド剣スラッシュ!ワイド剣スラッシュVの字斬り!

 

「オロローン!?」

 

 よし、これで館内のウィルスは全てデリートしたぞ。結構時間を食ってしまった。あとは……そうだ。取り敢えずエレベーターの電源を復旧しないと。またオロロンどもが来たら元も子もない。避難路の確保だ。

 

 

 

『あれ?オバケが消えた?』

 

『こっちもだ!……どうなってるんだ?』

 

 

 ビジブルゾーンではなかったか。それじゃ、ロックマンはクールに去るぜ……

 

 

 ーーショッピングプラザ1階ーー

 

 電波変換したまま、ウェーブロードを伝って降りてきたボクたち。出入口には何だか危ない雰囲気のオロロンがいる。どうやら、オロロンどもに本物の幽霊退治を見せてやる時が来たようだ!

 

「オイ、スバル!そのウィルスはヤベェぞ!危険なエネルギーを発してやがる。近づくと電波体でもヤバいかもしれねぇ……!」

 

「大丈夫だよロック。こんな時は……ジャジャーン!さっき買ったマテリアルウェーブ~~!」

 

「そのダミ声は何なんだ?」

 

 気分だよ、気分。

 

「兎に角、もしかしたらコイツで何とかなるかもしれないってこと。どう?試す価値はあるんじゃない?」

 

「ヘヘッ、即席のゴーストハンターってヤツだな?いいぜ、そういうの!オレは好きだ!」

 

 ロックにも好評なようで、何より。

 

「それじゃいくよ……マテリアライズ!掃除機!」

 

『シュココ~~!!』

 

 名前は……吸い太郎っていうらしい。オーリーより控えめな気がするな。

 

「よし、オバケ退治といこう!」

 

『オイラは掃除機のマテリアルウェーブだシュ~。名前は吸い太郎だシュ~』

 

 語尾が……潜水用のマテリアルウェーブもそうだけど、悲しみを背負ってるよね。マテリアルウェーブって。

 

「吸い込んで欲しいのは電波ウィルスなんだけど大丈夫?」

 

『オイラの体はマテリアルウェーブ……つまり電波だシュ~!相手が電波でも問題ないだシュ~!』

 

 よし、ささっと終わらせよう。委員長が高所恐怖症にでもなったら、大変だしね。

 

「なら、いくよ!スイッチ・オン!!」

 

『シュココ~~~!!!』

 

 ーーギュイィィーーン!!

 

 凄い吸引力だ。10000ゼニーの割には高性能な気がするな。だって掃除機ってもっと高価なモノでしょ?

 

「「オロロ~~ン!!」」

 

 恐らく館内を封鎖することを目的に配置されたオロロンたちは、抵抗もなく吸い太郎に飲み込まれていった。

 

「ミッションコンプリート!」

 

「他愛ないもんだぜ……ん?」

 

 ーーバチバチ!バチバチ!

 

 吸い太郎がバチバチと警告音のようなものを鳴らす。確か満腹なんだっけ?というかこのウィルスたち、どうしよう。……ダストシュートとかに入れてもいいのだろうか。

 

『……ゲフ、お腹一杯でもう吸い込めないでシュ~』

 

「お疲れ吸い太郎。あとはゆっくり休んでていいよ」

 

『すまないでシュ~』

 

 ーーバシュッ!

 

 勝手にスターキャリアーの中に戻っていく吸い太郎。ま、しょうがないよね。後は……

 

「おっとそうだ。エレベーターが止まってるんだったね。こういう場合、大抵はカウンターの何処かに予備電源が……あった!それじゃ、ポチッとな」

 

 よし、これでエレベーターは動いたはず。館内に閉じ込められるということは無くなった。さて、外に行こう。

 

 

 ーーロッポンドーヒルズの電波ーー

 

「オイオイ、コイツは……」

 

『オロロ~ン』

 

 外は真っ暗で辺り一面オバケだらけだ。元々夕方からの上映だったから、今は9時~10時くらいだろうか。……確認したら10時30分を少し回ったくらいだった。少しウィルス討伐に時間をかけすぎたかな?

 人が襲われているのは確認出来ないので、皆建物の中にでも籠っているのだろう。そこはよかった。

 

「一つの町を一瞬でこんなパニックに出来るとはな。あのマント野郎、結構ヤバいヤツだったのかも……」

 

 ロックのロリコンへの評価が上方修正されている。過大評価な気もするけどなぁ……

 

「でも、アイツ自身はまだほとんど何もしていない。恐らくあのウィルスも、外付けの手下のようなものだろうし……オヒュカスみたいに生み出しているわけじゃないから、多少は楽じゃない?」

 

「そうかぁ?まぁ、やってみなきゃわかんねぇよな……ウズウズ……」

 

 左腕が疼く……!って、これじゃ中二病みたいじゃないか!止めてよホントにさぁ……!

 

「ほら、早くTKタワーの屋上に急ごう!道中でウィルス退治も忘れずにだよ!」

 

 あのオロロンどもを駆逐しておかないと被害が出るかもしれないし……タワーのウェーブロード上にいるヤツは知らんけど。

 

「わかってるっての!!」

 

 

 ーーTKタワーの電波ーー

 

 TKタワー内部への入り口には、先ほど吸い込んだばかりのオロロンと同種のオロロンたちがいた。コイツらにさっき吸い込んだオロロンをぶち当てれば……いや、無理か。

 

「やはりタワー内部からは無理か。掃除機も使えねぇし……よし、ならウェーブロードを伝ってくぞ!見ろ、屋上まで繋がってるいやがるぜ」

 

「元々、エレベーターだけで屋上に行けるとも思わないからボクも妥当だと思うよ」

 

 普通に考えて、屋上への扉が解放されてるとも思わないし。エレベーターみたいに封鎖されてるんじゃないかなぁ。どっちにしろウェーブロードを使うしか方法はないと思うんだけどね。

 

「よーし、それじゃタワーのウェーブロードへ繋がってる場所は……あったぞ!」

 

 TKタワー側に配置されているワープポイント?みたいな場所からタワーのウェーブロードに飛ぶことが出来る。見た目としては、以前ステーションに飛んだ時に使ったものをダウングレードした感じだろうか。

 

「よし、それじゃあ早速……!」

 

 ワープポイントに飛び込むボクたち。一気にタワーのウェーブロードへ飛ばされる感覚。最高だ!イヤッホォォォ!

 

 

 ーーチュイン!

 

「よし、無事にたどり着いたな。行くぜスバル!」

 

「うわぁ……結構高いね……」

 

 これ、落ちたらどうなるんだろう。想像はしたくないなぁ……

 

「そんなの平気だろ?落ちそうになったら、手近な電脳にウェーブインするか、ウェーブアウトしちまえばいいぜ」

 

「いや、まぁそうなんだけどさぁ……」

 

 景色はキレイだし、楽しむ方向でいくか。わぁ!夜景がキレイだなー(棒)

 

「おっと、誰か倒れてるぜ」

 

 誰かっていうか、デンパくんだ。

 

「キミ、大丈夫?」

 

「オ、オバケにやられました……アナタもキをツケてクダさい」

 

「オイ、スバル!来たぜ!」

 

 ウェーブロードの先からオロロンが近づいてくる。大丈夫。当たりさえしなければ、襲ってはこない。

 

「……行ったね」

 

 やはり何もしてこない。

 

「ウ、ウゥ……あの、オバケたちは……オバケたちのモクヒョウはあくまでニンゲンらしくって、ワレワレデンパタイにはあまりカンシンがないみたいなんデス。きづかれなければナニもしてきませんが、もしチカづきすぎたりすると……ワタシのようなメにあってしまいますよ……キをツけてください……」

 

 なるほど……これはもしかして、サイレントミッション的な感じになるのかな?

 

「だとよ。スバル、どうする?」

 

「う~ん、出来るだけ避けていく方針で……」

 

 体力を浪費し過ぎるのもどうかと思うしなぁ。

 

「わかったぜ、まぁ仕方ないわな。それじゃミッションスタートだ!」

 

 声!声がデカイって!

 

「気づかれるってば!」

 

「ワリィワリィ……」

 

 改めて、ミッションスタート!

 

 

 ーー二時間後ーー

 

 結構、キツい!流石に日本一を誇る高さだ!まだ半分くらいなんだけど、無理ゲーっていうか無謀じゃない!?ゲームとは段違いに長いんだけど!?しかもオロロンを避けながら進んでるから、余計に時間がかかってしまう。ベルセルクがあればなぁ……

 

「オイ、スバル。大丈夫か?」

 

「お子様には、結構ツラい時間かな……?」

 

 ボク自身は、割と夜にミソラちゃんが遊びに来る関係で夜型の人間だ。元々天体観測が趣味だったしね。しかし、こうも登ってばかりだと小学生にはキツい。多少は鍛えているとは言っても、まだまだ一人前のデュエルマッスルには程遠いからね。精進あるのみだ。あれ、筋トレの話だっけ?

 

「もう少しで半分だ!……止まるんじゃねぇぞ!」

 

 ロックのアホォ!気の抜けるようなこと言うなよ!

 

「もう……!あ、ウェーブロードが途切れてる……」

 

 確かここは……

 

『うっ、うわぁぁ!!』

 

「スバル、下だ!」

 

 オウガテイルはイヤァ!じゃなくて……作業員の人がオロロンに襲われている。故障している箇所でもないか、調査していたのだろうか?

 

『だ、誰かぁっ!』

 

『お助け~!!』

 

 実は結構余裕なんじゃないかと疑いたくなってしまう。お助け~!!なんて普通言わなくない?

 

「それじゃ、助けに行くよっとォッ!」

 

「ヒャッホウ!」

 

 作業員の乗っているリフトは丁度真下にあったので、そのまま飛び降りる。一々降りていられるか!

 

 ーードシン!

 

 いくらボクが身軽な小学生と言えども、思いっきり飛び降りたら振動くらいは起きる。

 

「な、何だ!?」

 

「オロロ~ン?」

 

 不意討ち上等!ロングソード三段突きィ!

 

「セアァッ!」

 

「オロロ~ン!!??」

 

 フゥ……何とか仲間を呼ばれずに倒せたか。

 

「よし、倒したぞ!」

 

 バレないようにバイザーを操作し、顔を覆っている部分の色を濃くして見えにくくする。

 

「ありがとう、青い少年!!」

 

「見えてるのか……」

 

『私』を……見たな!

 

「どうやら、オレたちは『ビジブルゾーン』に入っちまったようだな。見えないはずの電波も、人間に目撃されることが希にあったりする。それはその電波がビジブルゾーンに入っちまったからだ。ビジブルゾーンに入った電波は周波数に変化が起こり、人間からも見えるようになっちまうんだ」

 

 解説乙。

 

「ってことは、ここはそのビジブルゾーンか」

 

「ああ、そのようだぜ。ビジブルゾーンは何の前触れもなく突然発生する特殊な空間だ。めったに遭遇するもんじゃないんだが……」

 

 これからはしょっちゅう遭遇するから心配いらないよ。ていうか、電波体同士が戦うとビジブルゾーンが発生しやすくなるんじゃなかったっけ?

 

「キミは一体何者だ?」

 

「……ボクは通りすがりの…………」

 

 ーーガコン!!ウィーン!

 

「ん!?」

 

「うわーっ!!」

 

 電波人間です。と言おうとしたんだけど、その前にリフトの操作ボタンに触れてしまったらしい。戦闘するためにウェーブロード上にいたボクは置いていかれる形になってしまった。ここから登り直すのか……

 

『スミマセン……上昇スイッチを押しちまいました……』

 

『気をつけてくれよ!!折角青い少年が助けてくれたってのに、ゴンドラから落っこちたら元も子もないだろ!』

 

 なんて言ってるのが聞こえる。

 

「おっ、道が繋がったぜ。これで先に進めるぞ!」

 

 ウォーロックアタックでも向こう側へ行けたような気がしてならない。

 

 

 ーー五分後ーー

 

 よし、さっきの場所まで戻ってこれたぞ。

 やはりリフトで通れるようになっている。

 

「た、助かった……キ、キミ、何者かは知らないけど恩にきるよ」

 

「ありがとう、キミのお陰で助かったよ……」

 

「気にしないでください!先を急ぎますので……!」

 

「ああ、通ってくれ。すまないな」

 

「いえ、ではこれで!」

 

 あと半分か……

 

 ーー三時間後ーー

 

「や、やっと屋上までたどり着いた……」

 

 さっきよりオロロンの数が増えるなんて聞いてないよ!特にダメージは負っていないけれど、取り敢えずリカバリー使っとこう。多少は疲れが紛らわせるはずだ。

 

「もう一息だ。頑張れよ、スバル」

 

 確かファントム・ブラックがいたのは一般解放されてる屋上の更に上、TKタワーのアンテナ付近のウェーブロードにいたはずだ。

 

「わかってる。わかってるけど……ファントム・ブラックめ、わざわざこんなところで待つなんて……!」

 

 バカと煙は高い所が好きってことなのだろうか?

 

 

『キャアーーっ!!』

 

 悲鳴!?委員長の声……ではない。同い年くらいの女の子がオロロンに襲われている!紛らわしいなぁ、もう!

 

「オロロ~ン!」

 

「ヒィ!」

 

 凄くビビってる。これが普通の反応か。

 

「今助ける!ハァッ!!」

 

 ウォーロックアタック!左腕にソードを展開して斬りつける。オロロンハットを投げる暇など与えるものか!

 

「オロロ~ン!?」

 

 ったく、弱くて多いとか最悪でしょう、このウィルス。

 

「た、助かりました!!あ、あの……お名前を……」

 

「ゴメン、もう行くから!」

 

 一々答えていられるか!さっきのはファンサービスだから!

 

「あっ……」

 

 顔が赤いけど知らん!

 

『ひぇ~!助けとくれ~!!』

 

 今度は老人か!

 

「何でこんなに外にいる人が多いんだ!」

 

「まったくだぜ!」

 

 しかもここは屋上だぞ!?室内に隠れてろってんだ!

 

「ナンマイダ、ナンマイダ~!!」

 

「オロロ~ン!」

 

 またこのパターンかよ!今度は不意討ち一択だ!

 

「疾ッ!」

 

 高速でオロロンの背後に位置取りし、オロロンが気づく前にモエリングを押し当てる。焼けちまえ!

 

「オロロ~ン……」

 

 サラサラと消えていくオロロン。周りには……もういないな。後はファントム・ブラックだけだ!

 

「ありがたや、ありがたや……それにしてもあんた、強いのぉ……」

 

「若さです!ではこれで!」

 

 この先にあるワープポイントからいけるアンテナ上部のウェーブロードに、ヤツがいるはすだ。しかし、何だか腹が立ってきたぞ。こんな重労働させるなんて、脚本家の風上にもおけないっての!……そうだ!

 

「ねぇ、ロック。ちょっといい?」

 

「あん?何だよ、休憩か?」

 

 それもあるけどね。

 

「重労働させられっぱなしじゃあ、なんだかシャクに触るでしょ?だからさ………………って感じでどう?」

 

「なるほど。思いっきり………………してやるのか!いいなそれ!乗ったぞ!」

 

 決まりだ。ファントム・ブラックめ、このままただボコって帰すと思うなよ……!

 

「よし、行くよ!」

 

「ああ!」

 

 ーーチュイン!

 

 

 ーーTKタワー屋上の電波ーー

 

「ルナちゃん!大丈夫!?」

 

 委員長呼びから素性を看破される危険を回避するため、今は名前呼びだ。仕方ない。委員長もきっと、わかってくれるはず。

 

「な、名前呼び!?あ、いや、その…………た、助けに来てくれたのね!?ロ、ロックマン様!」

 

 アンテナ近くにあるそこそこ広い足場にて、拘束されている委員長を発見した。近くにファントム・ブラックの姿は……上か!

 

「おやおや……ンフフフ」

 

 バーカバーカ!何で電波変換解いてるんだよ!生身でアンテナの上に乗るとか、もはや狂人の所業だぞ!?

 

「よもや、ここまでたどり着く者がいるとは……私の描いた脚本には全くない展開ではないか」

 

「さっきのマント野郎じゃない……?」

 

「あの人は今日何度か見かけた職質かけられそうな人……」

 

 わかってるけどね。

 

「失礼、自己紹介が遅くなった。『ハイド』……それが私の名だ」

 

「ハイド、ハイドねぇ……」

 

「……おや?ンフフフ……これは驚いたな。その姿は電波人間……キミは電波変換が出来るのかね?」

 

 見ればわかるだろうに。というかここもビジブルゾーンか。生身のハイドにも、ボクたちの姿が見えている。

 

「おもしろい……実に面白い脚本になってきたぞ!」

 

「電波人間のコトをよく知っているみたいな言い草だ」

 

「ンフフフ、知っているとも。まさか自分だけが特別だとでも?」

 

 そう言ってスターキャリアーに似た端末を出すハイド。普段から使っているのだろうか。

 

「出でよ、我がしもべ……ファントムよ!」

 

 ま、まさか……ペンデュラム召喚!?ファントムとか、もろ真の榊遊矢(ファントム)じゃないか!

 

 ーーピカァッ!

 

 何て間抜けな想像をしている間に、ハイドの偽スターキャリアーからは赤いオバケのような電波体……ファントムが出現した。弱そう。

 

「呼んだかい?ハイド。人間にイタズラでもするの?キャキャキャ!」

 

 笑いかたキモッ!

 

「スターキャリアーからオバケが出てきたね」

 

「あれは恐らく電波体だが……妙だぞ。ヤツから得体のしれない周波数を感じる。こんなのは初めてだ」

 

 確か……電波変換の相手を選ばないんだっけ?ぶっちゃけかなり凄いよね、地球産の電波体って。

 

「名はファントム。街で暴れているオバケたちの『ボス』だ」

 

 あぁ、そういう……

 

「アイツらを大人しくさせたければ、ボクに頼みなよ。ま、頼まれても絶対言うこと聞かないけど。キャキャキャ!」

 

 ならばジャッジメントチェーンしかないな!オバケを退かせるか、それとも死か!でも確か、ある程度の同意が必要なんだっけ?忘れちまったよ、富樫なんて言葉……

 

「ンフフフ……さぁいくぞ、ファントムよ。電波変換!ハイド、オン・エア!」

 

 ノリノリで電波変換するハイド。ぶっちゃけ実際の戦闘力はヤムチャみたいなもんだけど。

 

「電波変換しやがった!」

 

「ハッ!」

 

 電波変換したハイド……ファントム・ブラックは掛け声と共に眼前へと瞬間移動してきた。割とフワッと現れたね。あんまり移動スピードは早くない。

 

「この姿を私は自らこう呼ぶ……『ファントム・ブラック』と……中々美しいだろう?」

 

 服装はピッタリだけど、ヘアースタイルと口調で台無しだよ!

 

「ファントム・ブラック、アンタは……!」

 

 ここからは、ボクたちのターンだ!

 

「スバル、コイツ多分マジだぜ……!」

 

「ンフフフ……恐れ戦いた、と言ったところかね?」

 

 そんなワケあるか!

 

「まったくよぉ、キャクホンカを名乗るなら事前のキャスティングくらい済ませとけってんだ。なぁ、スバル?」

 

「そうだ!いくらルナちゃんが可愛いといっても、拐かすなんて!アンタは今、世界中の紳士を敵に回したってことを覚えとけ!」

 

 イエスロリータ、ノータッチだろ!そんなの基本でしょうが!委員長は愛でるものなんだよ!

 

「……何を言っているのかはわからないが、まぁいい。それでは……我が『古代のスターキャリアー』のチカラ、その身で思い知るがいいとも!」

 

 性能にあんまり差はなかったハズだけど……

 

「ちょっと待て、古代のスターキャリアーだと……?オマエ、何が目的なんだよ!街を滅茶苦茶にしやがって!」

 

 完全にバトルに入ろうとしていた所へ水を差すロック。そんなに気になったのだろうか。

 

「……このTKタワーは日本中に電波を供給する重要施設だ。もし、それを占拠したらどうなるか?想像してみるといい」

 

サテラポリスがすっ飛んで来るんじゃないの?そこからハイドの指名手配までは秒読みだと思う。国家権力って結構ヤバいし……

 

「……電波を支配すれば、人々を支配出来たも同然なのだよ。主人公がヒロインを連れてこのニホンを支配する……それがこのホラー映画のフィナーレなのだ。最高だろう?ンフフフ、ンフフハハァーーーハッハ!!」

 

 だから笑い方怖いって。

 

「まずはルナちゃんを返してもらう!アンタのフィナーレは……ここだ!」

 

「……止められるかな?映画の主役は強い、と相場は決まっているものだ」

 

 嘘つけ!強い俳優(アクター)なんて聞いたこと……あんまりないぞ!

 

「ロック!」

 

「いくぜ……!」

 

 半身になってポーズをとる。

 

「「さぁ、お前の罪を数えてもらおうか!!」」

 

 決まった!これだけはやりたかったんだ。ちょっとオマージュだけどね。

 

「ンフフフ……脚本家(ワタシ)に罪はないとも!そうさ、罪深きはキミたち……脚本家(ワタシ)の想像を掻き立ててしょうがないキミたち(キャスト)なのだよ!ンフフハハァーーーハッハ!!」

 

「コイツ開き直りやがった!」

 

「やるよロック!ウェーブバトル・ライドオン!」

 

 クソ雑魚ブロッコリー……じゃなくてヤムチャ・ブラックなんて蹴散らしてやる!




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