明日も更新出来るかはわからないんだから!(フラグ)
ーーショッピングプラザ・三階ーー
最新の建造物のクセに、何故か直通ではないエレベーターで三階まで来たボクたち。何故一階ずつしか上がれないのだろうか。不便じゃない?
とにかく、やっと映画館へとたどり着いたので、先ずは手続きをすませることにした。チケット、チケット……
「当映画館へようこそ!」
元気のいいスタッフさんだ。女性の受付職の人ってのは、美人が起用されやすいのだろうか。イテッ!
「ちょっと委員長!?」
思いっきり足を踏みつけてきたんだけど。結構本気だったんですけど。淑女の行動じゃないんですけど。
「デレデレしない!」
何がどう見えたらデレデレしているように見えたというのか。ボクはただ心中でこの人、美人だな……くらいしか思ってないというのに。
「デレデレって……年齢差考えなよ、委員長……」
「お、お客様?先ずはチケットの確認をさせていただきたいのですが……?」
受付さんの顔が引き吊っている。しまった、女性に年齢の話はタブーだよね。悪いことをしちゃったな……
「すいません……はい、これです」
委員長がボクたちの持っているチケットを集めて受付の人に渡す。何故か勝ち誇っているように見えるのは何故だろうか。……挑発?
「はい、ありがとうございます。ただいま上映中の『ゴースト・クライシス』ですが……この映画は3Dムービーと呼ばれる最新技術で製作されています。電波によって生み出される、ハイクオリティな映像を是非御堪能くださいね!」
3Dってあんまり驚きに感じないよね。何か4Dとかも聞き覚えがあるような……どうだったか。前の出来事は、もうあんまり覚えていないからなぁ……
「そうそう、それから……キズナリョクが1000以上の方には、特別にスペシャルロイヤルシートをご用意いたしますよ!」
なんだそのキズナリョクの怪物は。逆に怖いよ。
「せ、1000以上!?流石にボクらの中にはいませんね。一番高い委員長でも80ですし……」
ゴン太とキザマロが50だったはずだから……親子間でたったの30……それ、めっちゃ冷めきってない?
「憧れるわねぇ、そのスペシャルロイヤルシート。スバルくんとブラザーを結べばもしかして……いや、流石に難しいかしらね。仕方ないわ、今日は普通のシートで見ましょう」
「それって計算おかしくない?」
そこで何故、ボクとのキズナリョクが920以上になると思えるんだよ。ゴン太とキザマロでも25ずつなのに。桁が違くない?せめて90でしょう。
「え?」
「え?」
「え?」
え、何この空気。何で三人ともボクがおかしいみたいな顔するんだよ!?あ、でもロックマンになってキズナリョクの数値に細工をすれば……ボクが入れなくなっちゃうね。それじゃダメだ。
「皆がボクをどう認識しているのか、時々わからなくなるよ……」
「いや、まぁ……元気だせよ!オマエ、そんなにおかしくねぇから!」
そんなに!?そんなにって何さ!?それって多少はおかしいって言ってるようなものじゃないか!
「ゴン太……」
「アハハ……」
誤魔化すのが下手だよ、ゴン太……
「ほら、元気出しなさい!……さっさと行くわよ!」
「委員長~!」
頼りになるのは委員長だけだよホント。
「うっ……(グラッと来るわね、これは)さ、さぁ、中に入るわよ!」
テンパった委員長に手を引かれて、ボクは映画館の中に足を踏み入れた。そういえば、ここでバトルすることもあるんだよね。一応セットの配置くらいは頭にいれておこうっと……
ーー映画館ーー
ーーブ~~!ただいまより、上映を開始いたします。
ブーイングではなく、上映開始の音が館内に鳴り響いた。いよいよ、ゴースト・クライシスが始まる。ガラにもなく、ワクワクしちゃうね。
『おにいちゃん、帰ろーよ。ここ、気味わるいよ』
『何ビビってんだよ。オマエまさか……あの噂を信じてんのか?オバケが出るっていう……』
物語は洋館に入り込んでしまった兄弟から始まる。凄いな。スクリーンに映すっていうよりは、ホログラムに近い感じかもしれない。
『そ、そうじゃないけど』
「(凄いキレイな映像だよね)」
「(『マロ辞典』によれば、あれは電波でして……マテリアルウェーブを使って人間を立体的に表現しているんです。後ろの建物もそうですよ)」
マテリアルウェーブで構成しているのか。ということは、本当に意思をもって動いたりは……流石にないよね。しかし、背後の洋館や、月までマテリアルウェーブとは……二ヶ月で発展し過ぎじゃない?
『ガタッ!!』
映画の方でも、進展があったようだ。ゴーストムービーにはありきたりな、ポルターガイストチックな演出。流石にこれくらいではビビらないね。
『い、いまなにか、物音がしなかった?』
『ガタガタ……』
『やっぱりへんだよ、ココ!』
分かりやすい演出だけど、技術レベルが違うせいで中々楽しめる。ドキドキしてきた。
『やっぱ帰ろうよ!』
『そ、そうだな……!』
ここでやっとお兄ちゃんも決心がついた模様。
『ヒュ~ドロドロドロ~~!』
ドロドロドロ~~?ドロドロ~~、ドロ~、ドロー。引き分け、乱入、中断……うっ、頭が!
「(上映が)止まるんじゃねぇぞ……!」
うわぁっ!止めてよロック!鉄血のアークフレンズ…… いや、もう止めよう。誰も得をしない。そんな感じに損得言ってたヤツは、黄金のジャスレイ号ごと吹き飛んだけどね。やっぱスゲェよ、ミカは。
『うげっ!』
『ヒ、ヒィーーー!!』
「キャ、キャーー!!」
上映中に叫ぶのはお止めください。そして隣の
「どわ~~!」
「ブルブルブル!!」
震えているだけのキザマロが一番マナーがいいという悲しさ。
『に、逃げろ~~!!』
逃げた兄弟を頭からシーツを被ったようなオバケが追う!正直、要所要所で抱きついてくる方が心臓に悪い気がする。良い匂いするけど。
『ドロドロ~ン……楽しいなぁ、人間をからかうのって。ドロドロ~ン!』
喋れるのかよ!?意外とIQの高そうなオバケどもだ。
『待てい待てい!』
勇ましい声!この作業服のおじさんが主人公か。冴えないな。というか、マテリアルウェーブの声は誰が発声しているんだろう。この世界の映画産業では声優の方が女優・男優より認知されているとしたら、何だか可笑しいよね。よく知らないけど。
『そこまでだ!オバケども!』
『ドロドロ~ン……何だコイツ?人間のクセに生意気だな!脅かしちゃうぞ~~ドロドロ~ン……』
脅かすのが主目的とは、何て平和的なオバケたちだ!人間とも共存出来るんじゃないの?
『フフフ、私はただの人間じゃないぞ。「オバケの掃除屋」だ!オバケ掃除機、スイッチオン!』
う~ん、この幽霊退治屋感。
『ドロドロ?……ウギャーー!!』
掃除機の口から発生した、変わらない吸引力によって内部に吸い込まれたオバケ。吸い込んだオバケは何処に……?
『ギャーース!!!』
『ギャィィーーーーン!!』
『お掃除完了!!』
三匹?のオバケを吸い込み、オバケ掃除屋の仕事は一段落着いた。掴みとしては……どうだろう。よくわからない、かな。分かりやすさを重視したと思えば……まぁ、そこそこ?それにしても決め台詞酷いな……
「(すげぇ……あの掃除機カッコいいなぁ。オレ、将来オバケの掃除屋目指そうかな)」
あの掃除機、顔が着いてたけど……それに、どうせ3、4ヶ月後にはオバケよりもっとヤバいヤツらと対峙することになるから……
「(いやいや、きっとボクの方がピッタリですよ。ゴン太くんはむしろ、オバケの方が似合うんじゃないですか?)」
キザマロの身長ではあの掃除機を運ぶのは無理なんじゃないかなぁ……
「(二人とも物好きだねぇ……)」
「(なんだよ、スバルは冷めてんなぁ……)」
「(だって脅かすだけなんて、ウィルスよりかはよっぽど健全だよ?アイツら、全力でボクを殺しにかかってくるし……)」
別にウィルスごときじゃあ、相手にもならないんだけどね。
「(流石にヒーローの言うことは違うってことか)」
「(現実なんてそんなもんだよ。カッコよく見えるのは一部だけ。ヒーローなんてものは、大抵が命懸けで泥臭いものなのさ)」
「(スバルくんはもう少し、自分を大切にしなさいな。貴方は自分で思ってるより、ずっと多くの人に思われているのよ?ワタシだって……)」
「(そろそろ映画に集中しない?)」
何故か話が脱線してしまった。ボクの勘では、ここから面白くなると言っている。
ーー1時間後ーー
ーー前編が終了しました。15分の休憩を挟み、後編を開始いたします。
……ふぅ、中々良い映画だね、これは。同じ監督の別作品でも探してみようかな……
「なぁなぁ!今の内にポップコーン買ってこようぜ!食いまくるぞ!うおぉぉぉ!!」
あ、忘れてた!
「あ、待ってよ!ボクもハーフ&ハーフがっ……!」
「キャラメル味は売り切れてませんよね!?」
「男って、ホント単純ね……まぁいいわ。それじゃ皆で売店に行きましょうか」
ハーフ&ハーフ!早く食べないと、ファントム・ブラックが来てしまう。
どうせファントム・ブラックのキャスティングは委員長に決まるんだろうし。下手に妨害して、ヒーロー気取りのファントム・ブラックの気分を害しても面倒だ。ヤツの脚本にヒーローがヒロインに暴行する展開はないだろうからね。上っ面だけだけど、紳士的なのが幸いしている。後はロックマンの事情を知っている人間の方が都合が良いってのもあるけど。至近距離で顔でも見られたら、流石に言い逃れ出来ないし。
ーーショッピングプラザ3階・売店ーー
「いらっしゃい!こちらは売店です!」
元気のいい美人さんが受付だ。
「スマイルください」
イタッ!
「スバルくん?」
「あはは……冗談だよ、冗談……」
一度やってみたかったのに。
「?……ところで、劇中で使われている『オバケ掃除機』……と同じデザインの掃除機はいかがですか?マテリアルウェーブでの販売となります!」
「売ってるんですか?」
「10000ゼニーになります!」
や、安い!
「……買ったァッ!それ、お願いします!」
どうせ手に入るけど、後で返せとか言われても面倒だしここで買ってしまおう。
「はい、10000ゼニー、確かにお預かりしました。……どうぞ!」
スバル は 掃除機 の マテリアルウェーブ を ゲットした!
「うわっ、大人気ねぇぞスバル!」
「ハハハハハ!悔しかったら、ウィルスバスティングでもしてチマチマ稼ぐんだね!ボクはそうしたよ……」
実際チマチマ稼いだからなぁ……つらたんでした。
「命懸けってヤツか……いや、うん。好きにしたらいいと思うぜ、オレは。ただ、たまに貸してくれよ?」
「もちろんさ。あ、ポップコーンのハーフ&ハーフってあります?」
「申し訳ありません。当店では取り扱っておりませんので……」
「」
「(スバルが死んだ!この人でなし!)」
ランサーェ……時々ネタをぶっこんでくるロックは一体、何なのだろうか。
「ま、まぁ、ないなら仕方ないよ。別に、全然気にしてないし?あ、キャラメル味のMサイズください」
「(無理すんなよ)」
む、無理とかしてないし?べ、別に楽しみしてたとか……子供じゃあるまいし!?
ーー二分後ーー
「よし、皆買えたね。そろそろ行こっか?」
「おう!」
全員で無事にポップコーンを購入し、映画館へと戻る一行。そういえば、委員長は塩味のポップコーンだったんだけど、意外とポップコーン好きだったのだろうか。
「あ……あの人は」
映画館前にいるのは紛れもない、ハイドだ。相変わらず職質かけられそうな格好しているな。
「アイツは……さっきの不気味なヤツ……!」
「静かに。関わりあいにならないほうがいい……」
『オリヒメ様……ご覧になっていますか?まもなく開演いたしますよ。このハイドによる、空前絶後のホラームービーが……ンフフフ』
一般人の前でボスの名前を明かすバカが一匹。オリヒメさんも苦労してそうだ。可哀想に。そのバカは館内に入っていったけれど、館内にウェーブホールなんてあったっけ?
ーーブ~~!まもなく後編が開始されます。席にお着きになってください。
「ヤバッ、急いで戻ろう!」
ーーブ~~!では、後編を開始いたします。
さて、後編が始まった。さて、ポップコーンを食べようか……!
「(スバルくん、スバルくん)」
委員長?
「(どうしたの?)」
「(えっと、ほら、アナタハーフ&ハーフが食べたいって言ってたじゃない?ワタシ、あんまり食べられないし……その、少し分けてあげても、いいわよ……?」
何でそんなに詰まってるのだろうか。でもありがたい申し出だ。やった!
「(ホント?ありがとう!それじゃ遠慮なく……)」
うーん、美味しい。やっぱりポップコーンはハーフ&ハーフだよね。間違いない。
「(美味しい……あ、委員長も少しどうぞ。分けてくれたお返しに)」
ギブアンドテイクは当然だ。何かしてもらったら、何か返さなきゃ。
「(え?あ……その、いいの?それじゃあ……あ、美味しい)」
そ、そんなに大事に食べなくても。ポップコーンは逃げたりしないよ?それになんかこの塩味のポップコーン、妙に甘いな……キャラメルじゃないし、なんだこれ?雰囲気?よくわからない。
そろそろ映画に集中した方が良さそうだ。
『た、助けて……!オバケの掃除屋さん……!』
『ドロロ~~ン!いくら叫んでも、あの掃除屋は来な……』
ーーバシュッ!
明かりが消えた。映画も止まった。ということは……来たか!
「あら、何かしら?……演出?」
「真っ暗だね……」
ーーパッ!
「おっ、明かりが着いた」
「ん?映像が消えてますね」
ゴン太とキザマロって、意外に暗い場所とか平気なんだろうか。小学五年生なのに、結構胆力あるよね。
『レディーース・エーンド・ジェントルメーーン!!ンフフフ……』
この煽り……笑顔教の尖兵か!?バトルで皆を、笑顔に……!
『ここにいるアナタたちはラッキーな方々だ。今から、今夜限定のスペシャルホラームービーをお送りしようではないか!』
館内の客席後ろに配置されていた洋館の屋根、その最も高い位置にヤツ……ファントム・ブラックはいた。風もないのにたなびくマントが痛々しい。
ーーざわ……ざわ……
観客たちが騒ぎ出す。そりゃあ、聞いてないだろうからね。というか、スタッフの一人くらい名乗り出てこないないものだろうか?
「今夜限定?そんなの聞いてないけど……」
委員長が呟く。映画館だって、まさか乗っ取られるとは思ってないでしょうに。
「(オイ、スバル!アイツ、映画の登場人物なんかじゃねぇぞ……!ちゃんと意思を持った電波人間だ!)」
「(わかってる。流石に場馴れしたからね。あの迫力……本物だと思うよ)」
『監督、脚本、主演、すべてこのファントム・ブラックによるものである。以後お見知りおきを……では、早速上映するコトにしようではないか!……ハァッ!』
ーーざわ……ざわ……
ファントム・ブラックが手にしたステッキを振りかざすと、閃光が映画館を満たす。閃光が止むと、そこには黒い帽子のようなものを被ったオバケ、確か……オロロンが出現していた。
「さっきとは、また違うオバケだぜ……」
「(ヤ、ヤバイ……ありゃ電波ウィルスだ!)」
「(でもここには、ウェーブホールがないよ。今は無理だ)」
『ンフフフ……さぁオマエち、ここにいるお客さんたちを……襲うのだ!』
ゲッ、こっちを先になんとかしなきゃダメかな、これは……!
『キャッ!』
『アワワワワ!!』
『うひゃ~~!!』
『じ、じいちゃん、怖いよぉ……』
『ナンマイダ、ナンマイダ!』
まだ様子見に近い感じだけど、やっぱり先に館内のウィルスをなんとかしておこう。ゲームより面倒だ……!
「なんなのよ、コレ!」
「ま、まさかホンモノ!?」
「あっち行けって!」
『ンフフフ……オリヒメ様、ご覧になっていますか?愚かな人間たちが悲鳴を上げております!貴女様のご期待通りでございましょう!?ンフフハハァーーーハッハ!!……っと、失礼。あまりに愉快だったものでね、ンフフフ……』
コイツホント腹立つ性格してるな。
『さて実のところ、この脚本にはヒロイン役が用意されている。が、まだキャスティングが決まっていないのだ。そこでだ、この中から選ばせてもらおうと思う、ンフフフ……』
ファントム・ブラックがその愉悦に歪んだ顔で、客席を眺め回す。わかってるけど、委員長が凄く心配になってきたぞ……!
『……決めた。そこのお嬢さんだ』
委員長を指し、そう宣言する
「え……ワタシ!?」
『イメージにピッタリなのだよ。ハッ!!』
またか!閃光が晴れると、既に委員長は拉致られていた。ロックマンなら見切れたかもしれないけど……
「い、委員長?」
「どこに……!?」
ゴン太とキザマロも困惑している。これだけ友達思いでキズナリョクが一人あたり25って、かなり低くないかな?
『キャーー!!た、助けてーー!!』
委員長の叫び声。洋館の屋根には、既に軽く縛られた状態の委員長が抵抗しようともがいていた。
『クライマックスの舞台はTKタワーの屋上だ。アッと驚くラストをお見せしようではないか。是非、足を運んでくれたまえ。もしも来られるのであれば……だ。ンフフフ……』
「ああっ!!いいんちょーー!!」
「き、消えたです!」
今日幾度目かの閃光の後、ファントム・ブラックは姿を消した。電波人間はなにかをするときにフラッシュするのはデフォルトなのだろうか?
「よし、ロック」
「わかってる、まずはウェーブホールだ。館の外に出るぜ。あのウィルスどもに絡まれんなよ?オレ一人じゃ手間だからな」
別に処理出来ないわけじゃないのね。
「誰に言ってるのさ!」
「いいぜ、その意気だ。久々に思いっきり暴れられるかもしれねぇ……!コイツはラッキーだったかもな」
バトル思考過ぎない?
「先ずは館内のウィルスだよ。
「だな。まずは肩慣らしといくか!」
「オーライ!任せといてよ!」
さて、ウェーブホールは何処にあったかな……
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