星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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本日二話目の投稿です。

少し短くてすいません。


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 ーー空調モジュールーー

 

 キグナスの掛けたロックを解除したボクたちは、扉の先に広がっていた空調モジュールに足を踏み入れていた。相変わらず重力はあるので、移動に困ることはない。

 

「今度はゴミの山か……」

 

 都合良くクレーンなんてないので、ショベルマンのナビカードに頼ること出来ない。通路を塞いでいるゴミの山を退かすには、デュエルマッスルが必要みたいだ。もうひとつあった通路の先には、サービスモジュールと同じタイプの厳重にロックされた扉があったので、このゴミの山を抜けた先に扉へと繋がるウェーブホールがあるのだろう。

 

「退けられるか?」

 

「うーん、頑張ればなんとか……ハァ、ハァ……」

 

 それに何だか息苦しいな……

 

「オマエがゴミの山に興奮するヤツだったとはな……」

 

「違うって!それじゃボクが変態みたいじゃないか……」

 

 最近のロックが頻繁に毒を吐く件について。

 

「息が、苦しいんだよ……空調システムを、調べてみようか……?」

 

 だんだん言葉が途切れ途切れになってきたな……

 

「おう、なるべく急げよ!最悪、サービスモジュールから空気の入ったタンクを持って来なくちゃな……」

 

 それでも活動限界が短くなるのは困るな……

 

「よし、カードイン、エアコンマン……」

 

『エアコーーーン!!暑いの?寒いの?どうするの?』

 

 A.送風で!

 何でエアコンマンの選択肢には無いのにトランサーには送風が表示されてるんだ!?

 

『ヒューヒュルルーー!!風を送るよヒューヒュルルーー!!』

 

 決め台詞がテキトーすぎるよ……

 

ーービュオオォォォ!!

 

「た、助かった……」

 

「よし、とっととあのゴミの山を何とかしちまおうぜ」

 

 はぁーい、まだ少しダルいけどね……

 

 

 ーー二分後ーー

 

 通路を塞いでいたゴミの山は、何とか通れる程度まで退かすことが出来た。結構骨だったよ、まったく。

 

「それじゃあウェーブインだ。ここからなら、さっきみたいに厳重なセキュリティのかかった扉にもウェーブイン出来るだろうぜ」

 

 わかってるけど、ちょっと待ってよ……

 

「ハァ、ハァ……うん、もう大丈夫。行こうか」

 

 電波変換、星河スバル、オン・エア……

 

 ーーステーションの電脳2ーー

 

 キグナスのいたステーションの電脳1と同じ雰囲気の構造になっているステーションの電脳2だけど、ウェーブロードの構成と中央に描かれている星座が牡牛座という点で異なっている。

 

「ここは牡牛座……オックスが管理している電脳みたいだね」

 

「ああ、キグナスよりも楽なんじゃねぇか?」

 

 オックスェ……

 

「まぁ飛べないしね……」

 

「だな。飛べない時点でまともな戦いにはならねぇぜ」

 

 うわぁ……ヘビーキャノンゲーになりそう。ジャミンガーと同じ扱いか……南無三。

 

「それじゃ、セキュリティゲートを解除するよ……」

 

 一応、遠距離メインのフォルダに交換しておくか……

 

 

 ーーステーションの電脳2・最奥ーー

 

 セキュリティゲートを解除して進んだ先には、星座が示していた通りにオックスが佇んでいた。こんなに長い時間、よく待っていられたね。オックスって気が短いから、最悪あちらから乗り込んで来るかもしれないと思ってたんだけど。

 

「ブルルル!!ここまで来たということは、キグナスはやられたのか。しかし、これ以上先に進ませるワケにはいかねぇ!扉を開きたくば、オレを倒していくんだな!!ブルルルルォォォォォッ!!」

 

 テンション高いな!いや、いつも通りか。

 そしてまたこの閃光……凄く眩しいんだけど、これも戦術の一環なのだろうか。

 

「ブルルルルル!!オマエたちの宇宙旅行は、ここが終着点だ!」

 

 その自信……まさか、対空能力を手に入れたのか!?

 

「コイツがそんな気取ったコトを言えるとはな……来るぜ!」

 

「わかってる!ウェーブバトル!ライドオン!」

 

 この戦い、結構気が抜けないかもしれないぞ……!!

 

「宇宙のチリにしてやるぜ!!」

 

 キミの戦い方じゃ、チリってよりミンチだよ!

 

「行くよロック!」

 

「合点!」

 

 キミは江戸時代の岡っ引きか!

 気をとり直して……スターフォース!

 

「おおおおっっ!」

 

 飛行翼(ウイング)展開(オープン)

 

「さぁ、巨大牛退治といこうか! タイトルは『ロックマンVS牛オトコ』だ!」

 

 学芸会の再演といこう!

 今回は闘牛士の気分だけどね!

 

「ケケッ!そういうこった!わりぃが翻弄されて貰うぜ、オックス!」

 

「ほざけ!オックスタックル!ブルルォッ!!」

 

 猛スピードで突進してくるオックス。慌てて背中の翼を震わせ飛び上がるボク。そのすぐ真下をオックス・ファイアの巨体が通りすぎていった。

 

「フゥー、危ない危ない……」

 

 さて、ここからどうでるか……しっかり見極めないと。

 

「オイ、卑怯だぞ!降りてこいッ!ブルルルルォォォッッ!!」

 

 かなりお冠だ。しかし……

 

「…………………………」

 

「…………………………」

 

 対策ナシかよ!?気合いだけで空を飛べたら苦労しないっての!

 

「……ヘビーキャノン」

 

「グワッ!」

 

……これは酷い。

 

「スバル……」

 

 ロックも何か思うところがあるようだ。そりゃあね、上から砲撃してるだけだし……戦士の誇りってヤツなんだろうか。

 

「ロック……」

 

「ああ、流石に見ていられねぇ。だからよ……」

 

 うん、わかってる。

 

「なるべく早く、楽にしてやろうぜ!」

 

「オーライ!…………ヒャッハー!!撃ちまくるよ!」

 

 ガトリング、ヒートバズーカ、パワーボム、チェインバブル、ブルーインク、プラスキャノン。砲撃の嵐がオックスを襲う!頑張れオックス!負けるなオックス!キミが倒れたら誰がキグナスの仇を取るの?まだHPは残ってる!これを耐えきればロックマンに勝てるんだから!

次回、『オックス死す』。デュエルスタンバイ!

 

「グゥワァァァァァァ!!!」

 

 オックスの悲痛な叫びが聞こえる。

 

「その調子だぜ!」

 

 それじゃあ、トドメだ!

 

マジシャンズ(ゴッド)フリーズ(フェニックス)!」

 

 ーーパキパキパキ……パリィィン!

 

 満身創痍のオックスが立ち尽くしているパネル型のウェーブロード全体をカバー出来る大きさの魔方陣から巨大な氷柱が生成される。氷柱の生成に飲み込まれたオックスは全身から炎を噴出することで抵抗するが、スターフォースの出力には追い付けずに完全に氷結される結果となった。その後、砕け散った氷群とともにウェーブロードに投げ出されるオックス。効果は抜群だ。

 

「やっぱり制空権って大事だね」

 

「そうだな」

 

 やったぜ。

 

 

 

 

「お、おのれ……キサマ、そのカラダの何処にこれほどのパワーを秘めているんだ……!?」

 

 A.スターフォースの入った胸部です。

 

「オレもコイツと出会うまでは知らなかったぜ。信じ合うことで生まれるパワーってヤツをよ。仲間を本当に信じきれないオマエらにゃわからねぇかもしれないがな。スバル、何か言ってやれ」

 

 おっと、突然話を振ってきたな。嘘だろ承太郎!

 

「ゴン太ナシでボクたちに勝とうなんて……百年は早いね!」

 

「と、言うわけだ。アバヨ、オックス!」

 

 これから度々会うことになるけどね……

 

「し、信じ合うことで……生まれるチカラだと?我ら孤独の周波数を持つFM星人には理解できん……ウォーロック、やはりキサマ……ブオォォォォォォッ!!」

 

 そして、オックスはカラダを維持出来ず、消滅してしまった。最後に言おうとしてたのは、AM星人だってことなんだろうね。

 

「最後に言いかけていたのは……」

 

「いいじゃねぇか、別によ。そんなことよりも、先に進もうぜ!」

 

「確かにね。別にロックが誰だろうと、ロックに違いはないし……」

 

「…………ほら、早く解除しようぜ」

 

「あっ、ちょっと引っ張らないでよ……!」

 

 ったく、もう。カタカタカタ……ポチッとな。

 

ーーピーピー!

 

「よし、解除完了!ウェーブアウトして先に進もう」

 

「ああ」

 

 何だよ、さっきから。……何でニヤけてるのさ!

 

 ーー発電モジュールーー

 

 オックスによって封鎖されていた扉の先には、発電モジュールが配置されていた。例のセキュリティが厳重な扉と、開かない扉がある。しかし扉には張り紙が貼ってあり、何やら開かない事情がありそうだ。

 

「これは、何々……大吾、電力供給の配線修理を頼む。配線の不具合を直さないとこの扉が開かない。船外作業ロボは外にスタンバイ済みだ。側にあるコントロールパネルで操作出来るぜ。よろしくな!……byスティーブ、だってさ」

 

 こ、これはまさか……!

 

「なるほどな……作業ロボか。やってみようぜ、スバル!」

 

「もちろん!こんなところで遠隔操作とはいえ、ロボットのパイロットになれるとは思ってなかったよ!」

 

「だな!ロマンだぜ、これはよ……!!」

 

 ロックの目がキラキラしてる。よーし、やるぞ!

 

「それじゃ、早速コントロールパネルをいじってみようか……!ええっと、結構複雑だね」

 

「オイオイ、諦めんのかよ!?夢のスペースロボットだぞ!?」

 

「当然、やってみせるさ!まずは電源を入れて……」

 

ーーカタカタカタカタ……

 

「よーし!……CPC設定完了。ニューラルリンケージ。イオン濃度正常。メタ運動野パラメータ更新。原子炉臨界。パワーフロー正常。システムオールグリーン。作業ロボ、いきます!」

 

 そして、力強くEnterキーを押す!

 

「……って、ダメじゃねーか!何だよ、さっきの起動しそうな雰囲気の専門用語は……」

 

 ちぇっ、キラさんの様にはいかないか。ウンともスンとも言わないよ。

 

「うーん、ダメだね。あ、プロペラマンのナビカードでいけるんじゃない?宇宙を飛び回るんだからさ、ラジコンと似たようなモンじゃないかな?」

 

「最初からそうしろよ……」

 

 ロックが疲れ果てたような声で賛同する。どうしたんだロック、いつもの元気がないよ?

 

「それじゃあカードイン!……プロペラマン、頼むよ!」

 

『ラジャー!プロペラマン、作業ロボ発進するよ!』

 

 あぁっ!凄く言いたかったセリフを取られた……!

 一生に一度は言ってみたかったのに!

 

「クッ、こうなったら……」

 

「オイ、スバル。スゲェよコイツ!ヘリコプターの四倍以上のパワーがあるぜ!」

 

 あぁっ!また言われた……

 

「……操作を始めるよ!」

 

 もうヤケクソだ……!

 

 

 ーー五分後ーー

 

 コーディネイターもかくやという速度で修理を終えたボクは、このやるせなさをFM星人にぶつけるべく電力供給の済んだことにより開いた扉に向かっていた。

 

「なぁスバル、機嫌直せよ、な?」

 

「ロックにボクの気持ちはわからないよ……」

 

「まぁまぁ落ち着けって。そうだな……これからはオマエのブラザーのオンナどもと居るときでも、困ったら助けてやるぞ!……これでどうだ?」

 

 むむっ!それは見過ごせないな……

 

「……こっちも悪かったよ。ちょっと大人気無かったね」

 

「オマエはまだガキって年だろうに……」

 

「ほら、ウェーブホールあったよ!……電波変換!星河スバル、オン・エア!」

 

 

 ーーステーションの電脳3ーー

 

 最早見慣れた構造の電脳世界の中央には、天秤の星座が描かれていた。と、いうことは……待ち構えているのはリブラか!

 

「サクサク行こうぜ。しかし、今回はリブラか……ヤツが操るのは炎と水……遠距離砲撃は相殺される可能性があるな」

 

「なるほどね……それじゃあ中近距離中心で組むことにするよ」

 

「オレもそれがいいと思うぜ」

 

「よし、油断大敵だ!しっかり勝っていこう!何せ、一度は攻略してるんだからね」

 

「おう!」

 

 

 ーーステーションの電脳3・最奥ーー

 

「驚いたナ……まさカこんなところまデ来るとハ……しかシ、これ以上先に進めさせるワケにハ行かなイ……!」

 

 既に戦闘準備は万全のようだ。……こっちだって、ね!

 

「ヘッ、天秤ヤロウなんかにオレたちは止められないぜ!」

 

「その減らずグチ……相変わらずだナ」

 

「テメェこそ、一度デリートされてるくせに相変わらずだな!そうやって何でも測ろうとするから足を掬われるんだよ……覚えときな!」

 

「フン、その減らずグチを叩けるのも今日で最後にしてヤロウ!……ハァッ!」

 

 お決まりの閃光が晴れた先には、育田先生ナシで電波変換したリブラ・バランスの姿があった。

 やはり強化されている!以前よりもリブラから感じる圧力が増していることから、それがヒシヒシと伝わってくるようだ。

 

 

「この天秤ハ、お前の罪の重さヲ測ル、地獄の天秤……サラバだウォーロック!我らヲ裏切った罪を、地獄で償うがいイ!!」

 

「オマエの言葉は一々聞きづらいんだよ!……行くぜスバル!アイツの天秤を断ち切って、火起こし機みたいにしてやるぜ!」

 

 な、なんて惨いことを思い付くんだ……流石はロック!

 

「任せてよ、ロック!育田先生と融合していないことを後悔させてやる!……覚悟しろ、リブラ・バランス!」

 

「この鬼畜どもガ……地獄に落ちるがいイ!!」

 

 鬼畜って酷いな!

 

「ウェーブバトル!ライドオン!」




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