ーー天地研究所・研究室ーー
相変わらずここに置いてあるロケットは凄い。よく見ると壁にかけてあるフライングジャケットの翼が大きくなっているようにも見える。だからあれほど推進力をつけろと(ry
「天地さん、こんにちは」
「やぁ、スバルくん。今日はどうしたんだい?」
しまった、事前に連絡を入れ忘れていた。天地さんは一応この天地研究所の所長だから、忙しかったかもしれないのに。スターフォースに浮かれ過ぎたかな?
「突然すいません……実は……」
天地さんにペンダントのコトを伝える。そういえば、ペンダントの機能について聞きにきたんだよね。随分長いこと忘れていたような気がするよ……
「ほぉ……そのペンダントが光ったのか。僕も大悟先輩がそのペンダントを身につけていたのは知ってるけど、それが具体的にどんなモノかはまではちょっと……」
「調べてもらうことは、出来ませんか?」
「あぁ、もちろん。光ったっていうのも妙に思っていたしね。ちょっと構造が気になっていたんだ」
なるほど、研究者の思考だね。未知を既知にするという発展的思考はとても好感が持てる。
「では、よろしくお願いします」
ーー1時間後ーー
「スバル君、わかったよ。分解して調べたんだけど、そのペンダントは小型の通信機みたいなんだ」
「通信機、ですか……」
スターフォース!スターフォース!スターフォース!
「ただし、その通信機はある特定の条件を満たすまで作動しないようになってるんだ。で、その条件というのが…………ブラザーバンドなんだ」
「ブラザーバンド……」
ミソラちゃんとのヤツだね。
「そのペンダントからごく近い場所でブラザーバンドが結ばれると、それを感知して通信機能がONになる仕組みなんだ。ペンダントが光ったのもそれが原因だと思う。大悟先輩の意図はわからないけど……それが通信機である限り、何処かの誰かと繋がってる可能性はある」
確かサテライトの三賢者、だったかな?
「誰か、ですか。天地さん、この通信機で誰かに通信することは出来ますか?」
「その通信機……相当古いし、あちこちが痛んでるせいで、通信が成功するのも稀みたいなんだ。電波の通りが良好な場所なら、あるいは……」
「電波の通り道が良好な場所ですか……」
「そうだねぇ……この建物の屋上はうってつけかもしれないな。ペンダントを持って屋上で待っていれば誰かがコンタクトしてくるかもしれないね」
「屋上ですか……じゃあ少しお借りしますね!」
「あぁ、気をつけるんだよ!」
流石に落っこちやしないよ。
ーー天地研究所・屋上ーー
……さて、ここで待ってればいいのかな?
「ブラザーバンドが作動条件だったんだね、このペンダント」
「そうだな、アレがブラザーか……確かにかなりのエネルギーってやつを感じたぜ」
ミソラちゃんは特殊なケースだから!
「……光った」
「誰かがコンタクトしてるってコトか?」
「……光がドンドン強くなってる。……こ、これは……」
……これが、AM三賢者の圧力か……まるで空気が揺れているようだ!
「オイ、スバル……かなり強力な電波がコッチに近づいて来てるぞ……猛スピードで!」
「凄い、こんな電波が……」
「い、いや、コイツはかなりヤバイぞ!……スバル、そのペンダントを急いで壊せ!」
「無理だよ!生身の小学生の貧弱さを舐めるな!」
「だが、ヤバイぞ。そいつが何かおかしなモノを呼び出しちまったのかもしれねぇ!……手遅れにならない内に早く!……チッ!もう来るぞ!」
辺りが閃光に包まれる。閃光が止んだ後にいたのは……
「こ、コイツらは……」
変態幻獣集団!
「夢の中に出た黒いカゲ……!」
「……驚いているようだな、スバルよ」
ペガサス・マジックが重々しく口を開く。
馬の口でどうやって喋っているのだろうか。
「オマエたちに伝えるコトがある……」
ドラゴン・スカイは簡潔にコンタクトを取った目的を話してくれるようだ。飛行出来るし、ドラゴンが一番好感度高いね、変態だけど。
「伝えるコト……貴方たちは……?」
「我らは三つのサテライトを管理するモノのカゲ……
サテライト ペガサスの管理者、ペガサス・マジック」
「サテライト レオの管理者、レオ・キングダム」
「サテライト ドラゴンの管理者、ドラゴン・スカイ」
三体のカゲがそれぞれ自己紹介をした後、ペガサス・マジックが事情を説明するようだ。
「本体はサテライトを離れられぬ故、このような姿でオマエの前に現れている」
サテライトの管理者という言葉にロックが反応する。
五陽田さんのトランサーの謎でも解けたのだろうか。
「サテライトの管理者だと?コイツら、オレと同じ電波体だぞ。何でこんなヤツらが地球のサテライトを守っていやがるんだ……?」
「サテライトの管理者……」
「戦いの時が迫っている……そのための準備をしに来たのだ……」
やっぱり簡潔って良い。ドラゴン・スカイのスターフォースが欲しいです。飛べるしね。
「オマエにも守るべき大事な『絆』が生まれたであろう?……それが合図だ」
ミソラちゃんのコトなら、まぁ確かに。
「ブラザーバンドのコトですか」
「そうだ……オマエにブラザーが出来たコトをそのペンダントが教えてくれた……我々は待っていたのだ。オマエにブラザーバンドが出来るのを……」
「人は守るモノが出来た時、本当の強さを手に入れる……オマエがその強さを手に入れるのを待っていたのだ」
レオ・キングダムがペガサス・マジックの話を解説してくれる。やっぱり仲間内でもペガサス・マジックの話ってわかりづらいと思われてるんじゃないかな……
「今、この星に脅威が迫っている……その脅威がこの星に舞い降りたとすれば、オマエの大切な人々は失われ、生まれたばかりの絆もことごとく切り裂かれるであろう……」
「そう、オマエたちはその脅威に立ち向かわなければならない……」
「ボクたちがやる理由は、何ですか?」
ロックがAM星人でスターフォースを受け入れられるコトもそうなんだろうけど。
「これも星の定めた運命……そう、かつてそのペンダントの持ち主だったあの男の子として生まれたときから、こうなることは決まっていたのかもしれん……」
そういうことなら、この体に宿る意思としての責任がある、ということなのかな?
「父さんを知っているんですか?」
「我々はオマエの父親と協力してブラザーバンドを産み出した……」
「絆を何よりも大切にする心優しき男だった……」
「オマエの持っているビジライザーとペンダントは、オマエの父と我らが連絡を取る時に使っていたものだ」
「父さんが……」
既にメテオGにアクセスしているんだろうか……
「スバル、そしてウォーロックよ。大いなる脅威に立ち向かえるものはオマエたちしかいないのだ。この星の運命はオマエたちにかかっている」
「逃げるわけには、いかなさそうだねロック」
「我々も手を貸したいトコロなのだが、我らでは大いなる脅威に打ち勝つコトは決して出来んのだ……脅威に打ち勝つには、オマエとウォーロックの融合したチカラ……即ちロックマンのチカラが必要だ」
「来るべき決戦の日に備え、我々はオマエにチカラを授ける必要があると考えた……星のチカラ……『スターフォース』を!」
「しかし、このチカラを受け入れるには大切なモノを守ろうという強い心のチカラ……即ちブラザーの精神を知る必要があったのだ」
話長いよ……
「けどよ、ブラザーがいる電波人間のチカラが必要なら、オレたちの他にもハープ・ノートってのがいるぜ。そいつにもスターフォースってのを与えりゃあ、戦力になるんじゃねぇのか?」
ロックの疑問は最もだけど、ハープはFM星人だから、『スターフォース』を受け入れられないんだよね。
「残念だが、我らのチカラはオマエたちにしか受け入れることが出来ないのだ。あのハープというFM星人は我らと周波数が違い過ぎる……その点ウォーロック、オマエはFM星人でありながら、我らに非常に近い周波数を持っている。故にオマエたちでなければいけないのだ」
ドラゴン・スカイが事情を説明してくれる。周波数か…
「その口振り……オマエら、まさかAMプラネットの生き残りか……?」
ロックもAM星人だけどね。
「……いかにも。我らはAMプラネットの生き残りだ」
「FMプラネットとは、違うんだね」
確かFMプラネットの隣にある星、だったかな?
「AMプラネットってのはFMプラネットの隣に浮かぶ星さ……そこにはFM星人と同じく電波のカラダをもったAM星人が暮らしていて、昔はお互い双子星として友好な関係が続いていたんだが、今のFM王の代になって突然戦争が始まった……イヤ、あれは戦争なんてモンじゃねぇ。……FMプラネットからAMプラネットへの一方的な攻撃だ。そして、最後にはヤツが出てきた……FMプラネットの最終兵器……『アンドロメダ』がな!!『アンドロメダ』の凶悪なチカラの前にAM星人たちは瞬く間に全滅させられた……まさか生き残りがいたとはな」
ロックも信じられないといった心境らしい。
「しかし、何でAM星人のオマエたちが敵であるオレにチカラを与えようとしている?」
その質問には、既にボクから説明下手の評価を受けているペガサス・マジックが答えてくれる。
「ウォーロック、では逆に質問するが、何故オマエはFM星人と戦っているのだ?」
質問を質問で返すなぁーーッ!!
アンドロメダによって地球を飲み込ませないために……だったような。ダイゴさんも関係していた……ハズ。
「ケッ!そんなコト、オレの勝手だろ!」
「ならば我々も勝手にやらせてもらうぞ……」
「チッ!好きにしやがれ!!」
「では、チカラを与える前に言っておこう。……オマエたちは、弱い」
「何だと!?」
「我々は見ていたのだ……オマエたちがあのジャミンガーに手を焼いているのを、な」
「あ、あれは……出力が足りなかったんだ!ロックマンはスピード寄りの万能型……ベルセルクがあれば、あんなヤツ……!なぁ、そうだろ、スバル!」
「まぁ、そうだね。ああいう特化型には中々攻めきれないってのはあるよ」
「そうだ。我らはオマエたちの能力は認めている……しかし、単純に出力……パワーが足りないと感じているのだ。スターフォースなら、その足りない出力を補える」
なるほど……やっぱりパワーが足りてないのか。ゲームの時よりも、大分良い評価をもらってる気がする。
「しかし、我らとしてもオマエたちにただスターフォースを与えるわけにはいかない……スターフォースを手にするために星の試練を受けるのだ、星河スバル、そしてウォーロックよ……」
「その『星の試練』とやらは、どのようなモノなんですか……?」
「ヘヘッ!それでこそスバルだぜ!……あのヤロウに、オレたちのチカラを見せてやるぞ!」
「意気込みは十分ということか……では、早速試練の開始だ。……ビジライザーをかけて辺りを見回してみるがいい」
…………あっ、居たぞ。あの趣味の悪い金色のデンパくん……間違いない、星の番人だ。
「全部で5人……星の番人が授ける試練を突破してみせよ。……健闘を祈るぞ」
そう言ってペガサス・マジックを始めとしたAM三賢者は行ってしまった。
や、やっと星の試練か……
「よし、行くぜスバル!」
「うん!ウェーブインだ!」
……しかし、周りにウェーブホールはない。
「それじゃ、一旦アマケン外観に出ようか……流石にもうダイナミックウェーブインはしたくないよ」
「そうだな……」
やっと次から戦闘メインに書ける……