星河スバル(偽)の戦闘録   作:星屑

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皆さんのありがたい感想・評価を生け贄にして、本日最後の投稿をアドバンス召喚……




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 ーー疑似宇宙ーー

 

 …ビジライザーを宇宙服の上からなんとかズラして装着することに成功したボクは、疑似宇宙装置へ続くウェーブロードを見ていた。

 

「やっぱり宇宙空間にも、ウェーブロードはあるんだね」

 

「当然だ、宇宙空間にも電波は存在するからな………しかし……」

 

「この疑似宇宙空間にはウェーブホールがない……というか、あってもロックのデータカードをトランサーにセット出来ないね」

 

 …まずはこの疑似宇宙空間から脱出しないと……

 …出入口は……地球だ。ドアの開け閉めをしてたのは……

 

「やっぱり閉まってる……あのスタッフの人を探して、ドアのロックを解除しよう」

 

「おう!スタッフの女は………居たぞ!……金星のレプリカの側でダンス中だ!」

 

 おお、ロック有能!

 

「め、めがまわるわ、もうダメかも……」

 

 呂律がもうまわってない……ていうか、回転中に喋ると舌噛むぞ!

 

「スイマセン!外に助けを呼んでくるので開閉用のカードか何かを下さい!………ちょっとポケット失礼します!」

 

 …スタッフの人に聞こえるように大音声で叫び、スタッフの人のポケットを探る。

 …宇宙空間で人間がダンスを踊っても、回転速度には限度がある………!その隙に………あったぞ、トビラカードだ!

 

「よし、急いで脱出しよう、ロック!」

 

 トビラカードを地球のレプリカに空いている隙間に差し込む。ゲェッ………暗号式!?

 

『オープーン!暗証番号を入力するのだ。……ヒントは太陽系の惑星の数』

 

 ええと、水、金、地、火、木、土、天、海………8だ!

 

『暗証番号を確認した。………オープーン!』

 

「よし、外に出たよ!」

 

 入り口に誰かいる!さっき受付してもらった人だ!

 

「あの、疑似宇宙のなかで集団催眠事件です!全員が白鳥の舞を踊っているんです!助けを呼んで下さい!」

 

「しかし、予備の宇宙服が全て破壊されているんだ……助けにいくには宇宙服が足りない……」

 

「なら、これを!」

 

「ああ、助かった……って、この宇宙服、小さな穴が空いているぞ!何か尖ったものでも触らなかったか!?」

 

 …まさか、取り損ねたHPメモリ!?あれは長方形で四隅が尖っていたハズ……何てモノを置いているんだ!

 

「これ以上穴が広がったら、宇宙空間での活動は不可能になる!クソッ!助けに行きたいのは山々だが……この施設は頑丈に出来ているから破壊して救出することは出来ないし、この近辺に宇宙服を扱っている場所はない!このままでは………」

 

 …やっぱりキグナスを倒すしかないのか!

 科学館内のウェーブホールに近づき、ロケットの影に隠れるようにロックのチカラが宿ったカードをトランサーに読み込ませる………

 

「(ロック!行くよ!)」

 

「(おう!とっととキグナスのヤロウをデリートしちまうぞ!)」

 

 電波変換!星河スバル、オン・エア!

 

 ーー科学館のウェーブロードーー

 

「フゥ、やっとウェーブイン出来たね」

 

「オイ、あっち見てみろ、スバル………ラッキーだ。こことさっきの宇宙はウェーブロードで繋がっている………あの先はおそらくさっきの疑似宇宙だぜ」

 

「うん、早く助けに行こう!」

 

「へっ!あのオンナを助けに行くんだろ?」

 

「違うから!皆一緒だよ!」

 

 …茶化さないでよ……それに途中でウェーブロードが途切れている……

 

「あれは………ブラックホール発生装置……アレで電波の流れを変えれば……」

 

「だが、確か壊れて修理中だったな。……ウィルスによるシステムダウンなら、そいつらをぶっ倒しゃあ解決だぜ!」

 

「OK!……まずはブラックホール発生装置だね」

 

 ーーブラックホール発生装置の電脳ーー

 

「やっぱりウィルスに侵されていやがったか!」

 

「急いでいるんだ……悪いけど遊んでる暇はないよ」

 

 …ビリーエースが2体とそのGタイプ!

 ビリーエースは空中に浮遊しながら雷球を発射してくるウィルス。

 その雷球は、着弾するとカラダを痺れさせ、一時的とはいえ行動不能に追い込むことのできる危険な攻撃のため、決して油断は出来ないだろう。

 しかし、本体の動きは緩慢で狙ってくださいと言わんばかりだ。…つまり何が言いたいかというと……

 

「ウォーロックアタックの、カモなんだよォッ!」

 

「ウオォォォッ!」

 

 ロックの雄叫びと共に、瞬時にノーマルタイプのビリーエース一体に接近、ヒートアッパーで殴り飛ばし、デリートする様を見ることなく次のビリーエースへ。

 

 メットリオなんかは目玉と輪郭しかないのに、多くの感情を察することができたけど、このビリーエースは敵がすぐ側に迫ってるっていうのに、さっきまでと全く反応が変わらない。……ロングソードで斬り捨て、最後のGタイプに接近する。

 

 ノーマルのビリーエースよりも、大きな雷球を発射してくるが、追尾性能があってもこんなノロマに捉えられるほどヤワじゃない。ここまでにチャージしていたロックバスターを放ち、命中を確認してからパワーボム先生を投げる。・・・きたねぇ花火だ。

 

 よし、終わった……!急いでオンに切り替えないと!

 

 ーーブゥーン!

 

「作動したみたいだな……これでウェーブロードに変化が起きてるハズだぜ」

 

 ーー科学館のウェーブロードーー

 

「よし、道が繋がってる!先を急ぐよ、ロック……! 」

 

「オマエがそんなに焦ってるなんてな……」

 

 …いいから、黙ってて!

 

「知り合いの命が掛かってるんだ……!それに被害者全員死亡……ただ一名を除いて……とかになったら後ろ指を指されることになる……まともに出歩けなくなるよ!」

 

 母さんにだって負担を掛けることになってしまう。

 …それだけは!

 

「マジか……」

 

 マジなんだよ、最近の電波社会は……!

 

 ーー疑似宇宙のウェーブロードーー

 

「やっとついた……ほら、あそこだ!ウェーブインするよ……!」

 

 あと、何分だ……それとも何時間かは持つのか……?

 もし、ボクみたいに宇宙服に小さな穴が空いている人がいたら……!?クソッ!何もわからない!

 

 ーー疑似宇宙の電脳1ーー

 

「この奥だな……キグナスのヤツがいるのは……ヤツのことだ。今頃ニヤけた顔してアイツらが弱っていく様を見物してるに決まってる……よし、行くぞ!」

 

 わかってる!RTAだ!容赦しないからな、キグナス!

 

「このウェーブロード……」

 

 何時ものカタチじゃない?…アトラクションに付き合ってる暇は……!

 

『クエーーッ!』

 

「何処だ!?」

 

「スバル、上だ!」

 

 え?うわぁぁぁぁぁ!……なんだ、オウガテイルかと思った……ってそうじゃない!この喋りそうなアヒルは……

 

『そこのオマエ!何者だ?』

 

「うわっ!ホントに喋った!」

 

『クエーー!オレたちはシタッパー!キグナス様の忠実な僕だ!』

 

「…そういや聞いたことあるな。キグナスの手下には妙なアヒルどもがいると……」

 

『…アヒル?今アヒルと言ったのか?クエーーッ!赦さん!……オレたちはれっきとした白鳥だ!』

 

 

「全然白っぽくないじゃないか!……これならブラックスワンならぬ、イエロースワンのほうがまだマシだ!」

 

『き、気にしてることをよくも……食らえ!星のダンス!』

 

 隊列を組んで踊り始めた……?ッ!星が落ちてくる!

 

「避けろ!スバル!」

 

 ボクはポケモンじゃない!クソッ、後で丸焦げにしてやるからな!……絶対にだ!

 

『クエッヘヘヘヘ!!どうだ見たか!?』

 

「中々やるな……あのアヒル」

 

 ロックが認めた、だと!?いや、煽ったのか……

 

『ま、また言いやがった!クエーー!もう許さねぇ!

 アヒルの恐ろしさを思い知らせてやる!』

 

「あっ、今自分でアヒルって……!」

 

「自覚はあるってことか」

 

『……クエーー!』

 

 また星を落としてきた……もうムチャクチャだ!

 

『クエーー!絶対にオマエを星屑にしてやる……みんな配置に付け!』

 

 …どこかに飛んで行った……?

 

「オイ、スバル……向こうを見ろ……あそこにあるロケットを使ってあの鳥どもを撃ち落としてやれ……そうすればさっき見た道をふさいでいる星が退けてさきに進めるようになるはずだ」

 

「わかった……パワーボム投げて撃ち落とせないかなぁ?」

 

「無理だ!……射程が足りなすぎる!」

 

「わかった……フゥ……よし、行くよ!……撃ち落としたシタッパーどもは焼き鳥にして、キグナスに返上してやろう!」

 

 ちょっと、落ち着いた!シタッパーどもめ……どうしてくれようか……

 

「そ、そこまでしなくてもいいと思うぜ?」

 

 チッ、しょうがない……ロックの協力を得られなくなったら本末転倒だしな……

 

「んじゃ行くよ!」

 

「おう!」

 

 

 

 …着いた!このロケットを操作して………今だ!

 

『く、クエーー……これじゃ焼き鳥だぜ……キグナス様ァ!』

 

 よし、倒したぞ……次だ!

 

 ーー五分後ーー

 

 これで、最後!

 

『く、クエーー!』

 

「へっ、ざまぁみろだ」

 

 まったくその通りだよ!

 …あ、通路を塞いでいた星が取り除かれた……

 やっぱりこのアヒルたちの仕業だったのか!

 

「よし、先に進めるようになった……!」

 

 ーー疑似宇宙の電脳2ーー

 

 まだ続けるのか……

 

『クエーー!待ってたぜ!ここはオレの持ち場だ……オマエを星屑にしてやるぜー!』

 

 …そこォッ!

 

『く、クエーー!覚えてろー!』

 

 セリフが三下過ぎる……

 

 ーー五分後ーー

 

 狙い打つ!

 

『クエーーッ!?キグナス様ー!』

 

 終わりだ!早く先に進まないと、委員長さんが、皆が……!

 

 ーー疑似宇宙の電脳3ーー

 

「うおぉぉぉ!」

 

『クエーーッ!』

 

 これで四匹目……

 

「オイ、スバル……先に進めるようになったぜ……おそらくキグナスはすぐそこだ……気を引き締めろよ」

 

「へん!誰に言ってるのさ……!」

 

「その調子だ……」

 

 ーー疑似宇宙の電脳・最深部ーー

 

「…見つけたぞ!」

 

 その羽引きちぎってくれるわ!

 

「…ん?こんなトコロに、人間?誰ですか?アナタは……」

 

「オイ、キグナス……オマエだろ?」

 

 …やっぱりロックの知り合いだったのか、キグナスって……

 

「…まさか、ウォーロックかい?フフフ、驚いたな、こんなトコロで会うなんて……それにしても何だい、その格好は?キミともあろうものがそんな小さな子供に取り憑くとはね」

 

「それはお互い様だろうが!オマエもそんな青瓢箪を利用してるじゃないか。……合体する前のそいつ、1人でこんな大事起こせるようなタマには見えなかったぜ?オマエ、何を吹き込んだ?」

 

「フフフ……別にボクは何も……これは彼の意思さ……ね、そうだろ?」

 

「…裏切られたんです。フライングジャケットはワタシが開発したのに!天地さんは、それを……」

 

 ーー疑似宇宙・現実世界ーー

 

「ハァハァ……あ、あそこに映っているのは……まさか……ロックマン……?アレは夢じゃなかったの?」

 

 白金ルナは驚愕と安堵をその表情に浮かべ、次に何故か気恥ずかしくなり、そして腹が立ってくるのを感じた。

 …ワタシは一度しか会っていないハズなのに…?

 

『…裏切られたんです。フライングジャケットはワタシが開発したのに!天地さんは、それを……自分の手柄にしようと……』

 

「そ、それは誤解だ!僕はそんなことしない!誓ってもいい!!」

 

『おや、聞こえていたんですか?天地さん……今さら言い訳は見苦しいですよ』

 

「本当だ!断じてそんなコトはしていない!……人の発明を横取りなんて!」

 

『天地さん、ワタシはアナタに感謝しているんですよ……だってアナタのお陰で気づいたんですから。裏切りこそ、この世の本質だとね』

 

 ーー疑似宇宙の電脳・最深部ーー

 

「…ダメだ、コイツ、全く耳を貸さないな……」

 

「なら、話を聞かざるを得ない状況をつくるだけだ!委員長さんたちが、今この時も、酷い目に遭っているんだから!話はその後……キグナスはデリートしていいんだよね、ロック?」

 

「おう!話を聞かないヤツにはチカラづくだ!……でないと、こっちがやられるしな!」

 

「そこの小さいの、中々言うじゃないか……ウォーロック、『アンドロメダのカギ』はちゃんと持ってるんだろうね?……今ここで返してもらうよ、フフフ……さぁ、いくよ」

 

「もう、裏切られるのはゴメンです……裏切られる位なら……裏切られて傷つく位なら……こっちから傷つけてやるんだ!」

 

「来るぞ!容赦するなよ!」

 

 当たり前!

 

「行くよ、ロック!ウェーブバトル、ライドオン!」




今回のスバル君は割とガチなスバル君。

知り合いが死ぬのは……という気持ちが強い模様。

あと受付の宇宙服の下りは完全オリジナル。
普通助けにいきますよね……?

感想・評価お待ちしております。

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