転生したら転性した挙句に篠ノ之箒に成っていたISプラス2期   作:銭湯妖精 島風

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番外編 勝手にクロス 5話目

 

 

 

紅椿のメンテナンスが終わりに差し掛かった頃、整備室の電子ロックが正しく解錠された音が聞こえたので振り返ると、水色の髪をした気の弱そうな美少女が入室して私を見て固まっていた

 

「驚かせてしまった様で すまない・・・私はクギミヤ ケイ、諸事情でIS学園に居る者だ」

 

私が簪へ言うと彼女は私をジッと見て警戒した雰囲気を纏い

 

「・・・何故、中に入れたの? 鍵は掛かっていた、専用の電子キーが無いと解錠出来ない筈なのに」

 

やはり姉と同じく最低限は武術を納めている様で今は隙なく私を見据えて尋ねてくる

 

「姉の影響で少々手先が器用でな? ちょちょっと操作して解錠しただけだ」

 

私にとっては大した難易度では無かったし、この世界のセキュリティーレベルは彼方より低いのかも知れない

 

私の言葉に簪は信じられないモノを見る目で私を見て

 

「じゃ、じゃぁ貴女の目的は何?整備室なら他にも有るのに、何故此処を選んだの? 」

 

簪の質問はもっともだ、だから彼女が納得する答えを口にする

 

「何故? 此処に打鉄弐式(かのじょ)が居て、苦しんでいたからだ。私は彼女達がより良い状態でいて欲しいからな」

 

そう言い簪から打鉄弐式へ目を向けると、彼女はニコニコとしていたので私も微笑みを返す

 

それを見て簪は困惑した表情になり

 

「・・・分からない、どうゆう事? 何処を見て笑んでいるの? そこには何も居ない、何も居ないのに!! 」

 

だいぶ混乱している様子で尋ねてきたので

 

「・・・居るとも、此処には私と お前と彼女達が確かにいる。お前には見えていないかも知れないが、私には見えている」

 

簪に そう言いつつ彼女達を簪に見える様にするには どうしたら良いか考える

 

私のステータスゴーグル(メガネ)を貸すか?いや、コレはアクアビットで売ってる物だから特別な物じゃ無い筈だ

 

やはり心の繋がりの度合いなのだろうか?

 

「とりあえず打鉄弐式のコア意識が苦しそうだったから私は彼女を楽にする為に此の整備室に入った訳だ、今は大分 顔色も良くなったから安心してくれ」

 

私の言葉に簪は相当混乱している様子で口をパクパクして言葉が出ない様子だったので、紅椿のメンテナンスを終わらせる事にした

 

もともとメンテナンス自体も終わり掛けだったので数分掛からずに終わり再び簪へ振り返ると、いつの間にか近付いていてガン見されていた

 

「・・・然程珍しい訳じゃ無いと思うが?」

 

工具を片付けながら簪に言うと

 

「うぅん、こんなに綺麗に正確に素早く作業をする人を私は見た事ない」

 

そう言い何かグイグイ来る感じで言われる

 

正直、先程とのギャップに戸惑っているが、まぁ良いだろう

 

「・・・何故ここに未完成のISが居るんだ? 」

 

理由は知っているが話の掴みとして、武装の殆どが無い打鉄弐式に目を向けて簪に尋ねる

 

「それは・・・」

 

簪は悔しそうな表情を浮かべて言い淀む

 

「すまない、聞くべきでは無かったか・・・考えれば分かる事だったな」

 

簪に謝ると彼女は首を横に振り

 

「うぅん大丈夫、此処に打鉄弐式があるのは私のワガママでも有るし・・・」

 

そう言う彼女の眼には不安の色が見える

 

「・・・織斑 一夏の登場で凍結した自身の専用機を引き取り、独自で完成させるつもりだった、訳か」

 

「な、なんで・・・」

 

私の言葉に簪は驚いた表情をして言ったので

 

「分かるさ、彼女に触れたしな? 悪い事は言わない、このまま1人で専用機開発をするのは辞めて人を頼れ。手探りで続けていたら最低でも数年掛かるぞ?」

 

本来IS開発とは個人で行う物ではない、一部例外は居るが複数名で作業をして何ヶ月何年も掛けてやる事なのだ

 

それを簪は全て1人でやろうとしている、時間も余裕も無くプレッシャーのみのしかかって行く状態になっている

 

私もアクアビットが有るからこそ自分が出来る最大のパフォーマンスが発揮出来る訳なのだから

 

 

私の言葉に簪は俯き手を強く握りしめる、彼女も薄々は分かっていたのだろう

 

「・・・簪、お前は何の為にISを・・・打鉄弐式を纏う? 」

 

真っ直ぐに簪を見据え尋ねると

 

「私は・・・私は姉さんを超えたい、もう1人で立てるって証明したい!」

 

そう言う彼女の眼から不安は消え決意が映る

 

「よし・・・簪 お前は1人ではない。常に お前の傍らには彼女が居るのを忘れてはならない、共に過ごす時間が彼女との絆になりチカラとなるのを忘れてはならない」

 

簪から彼女へ目を向けると、彼女はヤル気のポーズを取っていたので笑む

 

「・・・うん、私は打鉄弐式と一緒に姉さんを超えてみせる」

 

簪も私の言葉にヤル気になってくれた様だ、よかったよかった

 

 

さて、次はどうしようかと考えていると、簪がメガネを外し目を擦り瞬きを数回して目を丸くしていたので

 

「どうかしたか?」

 

首を傾げつつ尋ねると

 

「さ、さっ、さっきまで誰も居なかったのに、そこに居る、居る!! 」

 

妙に混乱した様子で言うので一度、打鉄弐式を見るとパーっと満面の笑みを浮かべていたので

 

「そうか、よかったな。本当の意味で彼女に認めて貰えた様だぞ?」

 

 

私の言葉に簪は戸惑っていたので

 

「だから、お前は本当の意味で打鉄弐式に認められたって事だ」

 

「わ、私が打鉄弐式に?」

 

簪の言葉に頷き

 

「さぁ姉を越えるにはやるべき事は沢山ある、始めようじゃないか」

 

 

「わかった」

 

私は打鉄弐式のパーツの入っているコンテナを開け中を確認する

 

「荷電粒子砲が2門、薙刀が1振り、6連装ミサイルポッドが8門・・・なるほど」

 

「え?なんで分かるの?まだ組み上がってすらいないパーツだよ?」

 

信じられないモノを見る目で私を見て簪は言う

 

「分かるさ、私は競技者では無く技術者なんだ」

 

メンテナンスや修理の時に、いちいち図面を見なくても作業出来る様に姉さんに叩き込まれたから出来る芸当だし、打鉄弐式の完成した姿を知っているからでもある

 

「もうすぐ道が繋がるわ」

 

「・・・そうか」

 

相変わらず唐突に現れて言うだけ言って乙姫は消える

 

鍵は やはり簪と打鉄弐式なのだろうか? 自分のコミュ力の低さに絶望してしまいそうだ

 

「1週間、私と お前で作業をすれば1週間で打鉄弐式を万全の状態に出来る。手伝わせてくれないか?」

 

「え・・・そう・・・」

 

私の言葉に簪は小さく声を出し考え始め数分後に私を見据え

 

「分かった、お願い。彼女の為にも」

 

私は頷き端末の配線を打鉄弐式に接続して

 

「骨子となるプログラムは構築済みだ、あとは武装を組み立ててエネルギー分配と重心バランスの調整、マルチロックオンシステムの構築だ」

 

荷電粒子砲(春雷)マルチロックオン・ミサイル(山嵐)の火器管制システムを構築し調整を始める

 

姉さんなら数時間で終わらせてしまうだろうが、私は1日は掛かってしまう

 

作業をしていると簪が目を輝かせて私を見て来たが、おかしいな簪は技術者サイドだったか?まぁいいか

 

そんな訳で宣言通り1週間で打鉄弐式を完成させて、慣らしをする為にアリーナへ出ると人で混み混みしていた

 

「・・・なぁ、今日何曜だ?」

 

「え?えーっと・・・土曜日、だよ?」

 

いかん、ずっと室内にいたから曜日感覚がブレてるし、疲れている様だ

 

目の前に男装女子と一夏が見えるが、幻覚だろう。多分

 

「軽く動いてみよう、微調整ぐらいなら此の場で出来るからな」

 

「うん、ありがとう」

 

そう言い簪は打鉄弐式を纏い歩行を開始したので私も念の為に紅椿を纏い、緊急事態に備える

 

間違いなくラウラが来るし、流れ弾が飛んできて当たったら普通に死ぬ

 

「どうだ?」

 

「うん、歩行は問題無い」

 

そう言い簪は浮遊を始め各部の具合を確かめ始める

 

「彼女を救ってあげて箒」

 

「あぁ分かっているさ乙姫」

 

相変わらず唐突に現れた乙姫の言葉に頷き答える

 

彼女へ祝福を与えよう、道を進める様に障害を取り払ってやろう

 

今度は間違えたら片腕では済まない可能性もあるしな

 

 





お待たせしました


次回、激突?

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