転生したら転性した挙句に篠ノ之箒に成っていたISプラス2期   作:銭湯妖精 島風

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番外編 勝手にクロス 3話目

 

 

箒への教育を施し彼女は少しマトモになった筈だ

 

なってなかったら再び教育するだけだが

 

そんな訳で少し遅くなってしまったが織斑 千冬の部屋へ向かい、鍵を取り出して差そうとしたがドアノブを捻ってみると鍵はかかっていなかった

 

不用心だな と感じつつドアを開けて中に入ると織斑 千冬が缶ビール片手に晩酌をしていた

 

「何処に行っていたんだ?」

 

ツマミのチータラを齧りながら彼女は私に尋ねてくる

 

「少し野暮用ですよ、野暮用」

 

空いてる椅子に座り彼女に答え

 

「何処で寝れば良いですか?」

 

「ベッドかソファーだな、流石に敷布団は用意出来なかったが掛け布団は予備が有ったから何方でも寝れはする」

 

そう言い織斑 千冬は奥の部屋を指差す、そこには真新しい枕と掛け布団が有ったので

 

「ではソファーで休ませて貰います、先に休ませて貰いますね」

 

「あぁ、おやすみ」

 

彼女の返事を聞きソファーへ移動してリボンを解き畳んでから、ローテーブルに置いてメガネも外しリボンの横に置き、ソファーに身体を横たえ

 

「・・・1人の夜、か」

 

一月(ひとつき)ぶりの一夏が隣に居ない夜に気付き一夏に会いたくなる

 

今、一夏は何をしているだろうか?きっと既に事故の事は耳に入っている筈だ、姉さんに詰め寄っていたりするのだろうか?

 

それとも変わらぬ日常を過ごしているだろうか?

 

彼女の顔が見たい、声が聞きたい、その肌に触れたい

 

「・・・嗚呼、まるで恋い焦がれる乙女の様だな私は」

 

いや、まさに 恋い焦がれる乙女そのものだ

 

早く目処をつけなければ私のSAN値が先に尽きてしまう、既に私は一夏の居ない生活を送れない身体になっているのだから

 

「寝よう、睡眠は大切だ」

 

掛け布団を頭まで被り目を閉じる、まずは体力を回復させてアイディアを出さねばいけない、自分が思っているより疲れていた様で直ぐに夢の世界に旅立った

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

春の空気も去り木々には青葉生い茂り、初夏の空気を少し感じる

 

 

私が原作筋(こちら)に来て早くも1週間の時が流れたが、未だ解決の目処がついていないのが現状だ

 

そもそも量子変換をした上でデータ転送する、というプロセスなのはわかっている、だが意図的に世界線を越えるとなると話は変わってくる

 

2つの世界線で相互通行出来ないと安全とは言えないし、仮に越える手段を確立したとして私の居た世界とは限らない

 

帰還に必要な最低条件は、手段の確立と私の居た世界の観測 だ

 

エネルギーに関しては紅椿の絢爛舞踏を使用する予定だから心配ない

 

「・・・解決しているのがエネルギー問題だけとは、な」

 

フィクションで よく有る、装置は完成したが必要なエネルギーを用意出来ないヤツとは逆のパターンだ

 

私が此方へ来れている以上は世界間の移動は可能・・・マクロスに出て来るフォールド航行技術、マブラヴのG弾による次元の裂け目を発生させる方法

 

「・・・構想はある、でも どう作ったらいいのかが分からん」

 

用意された個室で空間投影された表示枠に図面を書いては訂正し、書いては訂正しを繰り返しては書き直して並べて見て思考する

 

「行き詰まっているわね、箒」

 

「あぁ、焦るばかりだ」

 

実に1週間ぶりに姿を現した乙姫に答え、彼女に尋ねる

 

「乙姫、お前の役割は祝福と道を示すコト、だったよな?」

 

私の質問に首を傾げ

 

「そうだけれど、それが?」

 

「私以外の者にも祝福を与える事は可能か?」

 

真っ直ぐに乙姫を見据え問うと彼女は予測していた様子で

 

「可能よ、ただ祝福は選べる訳じゃないわ」

 

真っ直ぐ私を見据え目を逸らさずに乙姫は言う

 

「そうか、分かった」

 

私の居た世界には正体不明の敵ことフェストゥムが居る、その上に皆城乙姫と同じ様な言動をするコア人格が居る

 

そこで私は一つ推測した、乙姫は皆城乙姫と同じ様な能力を有しているのでは無いのか、と

 

まぁ能力的には織姫に近いと思うが

 

とにかく彼女に確認した結果は私の予想通りだった訳だ

 

私に与えられた祝福は、『体感時間の低速化』と呼べば良いのだろうか?それだ

 

まるで来栖操の様な祝福だ、まぁ悪くないが

 

さてフェストゥムと乙姫の出てくる作品、それは蒼穹のファフナーだ

 

 

ファフナーとISの共通点、コアを内包しよく分からないエネルギーで稼働していること、神話に出てくる名前を使用していること、コアが意思を持っている事、何かしらの能力を得る事が有る事だ

 

恐らく乙姫は単一能力を喚起して目覚めさせる力が有るのだろう

 

彼女の協力で次元間を移動し並行世界へ渡航できる能力を有する者を見つければ帰れる可能性も強まる

 

そう、この世界には400以上のISコアが居るのだから、1人ぐらいいる筈だ

 

「ふぅ・・・どうにしろ時間が掛かりそうだな」

 

「安心しなさい箒、そんなに掛からずに帰れるわ」

 

ガックリ肩を落とし溜息を吐き弱音を吐くと乙姫が 相変わらず真顔で私に告げる

 

 

「どういうことだ乙姫?」

 

驚いて尋ねたが瞬きの瞬間、目の前にいた筈の乙姫は消えていて代わりに紅椿が立っていた

 

そういえば紅椿を見るのも久しぶりな気がする

 

「部屋に篭ってばかりでは身体に毒です、少し外の空気を吸って来てはいかがでしょう?」

 

相変わらず和服の似合う美少女の紅椿の言葉を聞き

 

「そうだな、少し散歩をする事にしよう。ありがとう」

 

私がお礼を言うと紅椿は柔らかく笑みを浮かべ消える

 

私の能力不足なのか、彼女達の意思で現れたり消えたりするのか、イマイチ分からない、とりあえず散歩へ向かう事にした

 

部屋を出て青葉が茂る木々が並ぶ道を進む、今日は平日で生徒は授業中なので誰も居ないし私はIS学園の制服を着ていないので大丈夫な筈だ

 

やはり約1週間部屋に篭っていたら日差しが少し眩しく感じる

 

そういえば時期的にはラウラとシャルロットが転入してくる頃だ、私が何もしなくても2人は救われるだろう

 

「・・・それで良いのか?」

 

本当に それで良いのか?

 

世界が違い、私の友人本人では無いが彼女達は私の、私達の大切な仲間じゃないのか?

 

2人に原作筋以上の救いを与えてはダメなのか?

 

否、否である

 

「救えると分かっている、救う方法を知っている、救いたいと思っている、救う理由には充分だろう」

 

そう、救わない理由なんて幾らでも用意出来るが、救う理由なんて友達だから、で充分だ

 

私なら出来る、私と織斑 一夏なら彼女達を救える。1回目の時以上に確実にラウラを救えるし、シャルロットの心を癒せる筈だ

 

「・・・また一夏にからかわれそうだ」

 

1人苦笑して噴水まで辿り着き、居るとは思っていなかった人物がいる事に気付き足を止め彼女と目を合わせる

 

「待っていたわよ、クギミヤちゃん?」

 

表情こそ猫の様に掴み所が無いが隙も無く、いつでも動作が出来る体勢をしている

 

生身では十中八九 私では彼女に勝てないだろう

 

「約束をしていないので謝罪はしないぞ?私に何の様だ?更識生徒会長」

 

このタイミングで現れた彼女を警戒しつつ尋ねる、最悪学園外に逃走する事も考えなければならないかも知れない

 

「あら、なんか冷たく無い?お姉さん泣いちゃう」

 

そう言って彼女は泣き真似をする、本当に掴み所が無く彼女のペースに乗せられる気がする

 

「・・・用が無いなら私は散歩に戻るが?」

 

彼女から目を逸らし彼女の横を抜けようとすると

 

「貴女は何者なのかしら?」

 

今まで猫の様な掴み所のない雰囲気を纏っていた彼女が急に鋭い雰囲気を纏い尋ねてくる

 

「私はクギミヤ ケイ、織斑 千冬から聞いていないのか?」

 

と言ってみるものの、口先で彼女が納得する訳が無いし彼女なら ある程度既に調べているのだろうし

 

「そうね、今はクギミヤと名乗っているみたいね? 貴女の事を調べたけれど、貴女に関して一切の痕跡が無かったわ。存在しない筈の人間が存在している場合、考えられるのは裏世界の住人よ」

 

つまり彼女がわざわざ私に会いに来たのは、私が裏世界の住人か確認しに来た訳か

 

「やれやれ、私は自分の目的以外には興味が無い。そっとしていて欲しいのだが?」

 

一足一刀の間合いを開け私は彼女に言う、と言っても裏世界の住人では無い証明は難しい

 

「私は生徒会長、IS学園を護る義務が有るわ。不穏分子を見過ごす事は出来ない、目的は何かしら?何故 未登録の専用機を所持しているの?」

 

やはり更識 楯無は一筋縄ではいかない様だ、真実を伝えても信じて貰えるとは限らない、寧ろ火に油を注ぐだけかもしれない

 

かと言って嘘をつく必要も無い

 

「はぁ・・・私の目的は家に帰る事だ、少々帰るのが困難でな?専用機に関しては・・・話す必要があるのか?話してもいいが此処では話せない」

 

流石に誰が聞いているか分からない場所で話す内容では無いので、そう言うと

 

「なら場所を変えましょう、逃げようとしても無駄よ?」

 

「・・・分かっている」

 

素直に従うのが得策と考え、彼女に従う

 

やれやれ、面倒だ

 

 





お待たせしました


あけましておめでとうございます

番外編は、もうしばらく続くと思います


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