転生したら転性した挙句に篠ノ之箒に成っていたISプラス2期 作:銭湯妖精 島風
その後、後は大人に任せて遊んで来い と部屋を追い出され行くあても無いので、とりあえず旅館を出て砂浜の方へ向き
「・・・良い天気だ」
雲も少なく蒼く澄んだ空を見上げて呟き考える
遊んで来いと言われたが、水着は用意して来ていないし、そもそも私服は運動をする前提にしていない
どうせ泳いだり出来ないのなら、静かに読書でもしたいが、持って来ていない
つまり、暇を持て余す
「・・・適当な場所を探すか」
部屋に帰る訳にもいかないので、適当な木陰を探し昼寝でもしようと横に身体を向けると、図ったかの様に水着姿の一夏が立っていた
「そろそろ話も終わると思って、迎えに来たよ?」
ニコニコと笑み言う一夏を真っ直ぐ見つつ
「迎えに来てくれたのは有難いが、私は水着を持って来ていないのだが?」
まさか服のままで泳がせるつもりでは無いよな?と考えつつ伝える
「安心して?束さんが用意してくれてるから、束さんだしサイズもバッチリだと思うよ?」
そう言い、一夏は白いスイムバッグを差し出してくる
「あ、ありがとう?」
どうやら先に外堀を埋められてしまっていた様で、少し困惑しながらスイムバッグを受け取る
「ちなみに、何個か候補があったんだけど、ソレを選んだのはアキヒロ君だから」
ニヒッと悪戯に成功した子供の様な表情をして一夏は私の腕をガッシリ掴み更衣室が有る方向へ引っ張って誘導する
「え?ちょっま、待て一夏、待って、待って下さい、マジで」
私には何が何だかよく分からなくなってしまって一夏に誘導されるがまま更衣室へ連行され、私服を脱がされ気付けば白色の水着を着ていた
「・・・手際が良過ぎじゃないか?」
「え?ん〜箒で脱がすのは慣れているし、マドカって小柄だから水着ぐらいだったら比較的楽だよ?」
困惑する私を知ってか知らずか、一夏はドヤ顔で言い
「さ、アキヒロ君が待ってるよ?行こう?」
「ちょっと待ってくれ、何でアキヒロ・フランクランドが私を待っているんだ?」
再び私を誘導しようと腕を掴む一夏を真っ直ぐ見て尋ねる
「ん〜?ん〜・・・ほら、やっぱり妹の恋は お姉ちゃんとして応援したいし、それが自分が認めた友達だったら尚更じゃない?」
一夏は、まさに聖女の様な優しげな表情で私の頭を撫でて言う
色々と思う所は有るが、ツッコミを入れた所でスルーされるのは目に見えているし、アキヒロに会えるなら些細な問題だ
とくに何故、私がアキヒロへ恋をしている事を一夏が知っているのか、とかだ
そんな訳で流石に日焼けが怖いのでパーカーを羽織ってから一夏に誘導され砂浜へ出る
「漸くか、待っていたぞ?マドカ」
泳ぐためか髪を纏め上げた髪型の箒に発見される
「あ、あぁ・・・すまない」
少し目を伏せ謝ると
「別に責めている訳じゃない・・・よし、マドカ ビーチバレーでもどうだ?丁度組み替えるところなんだ」
ビニールボールを拾い私へ差し出してくる
「・・・良いのか?」
私が戸惑っていると
「勿論だ、海は楽しむものだからな」
「そうだよマドカ、せっかくなんだから楽しもうよ」
2人は私に優しく言ってくれる
私が静かに頷くと
「では・・・アキヒロ、マドカをチームに入れてやってくれ」
「了解、こっちだマドカ」
何故かラウラを肩車した状態のアキヒロが頷き私を呼ぶ
その光景に若干戸惑いつつアキヒロとラウラの元へ近寄る
「ま、また会えたなアキヒロ」
「あぁ、そうだなマドカ」
身長の関係で彼を見上げて言うと、彼は答えてくれる
ただそれだけの事だが、私は十二分に幸せを感じている
そして彼を見上げているので必然的にラウラと目が合い
「ふむ、お前がマドカか。教官や一夏にソックリだな?まぁ姉妹なら似てても不思議では無いか、まぁ一先ずはヨロシクと言っておこう」
なんか品定めをされている様な気がしてならないが、気にしない事にし、ビーチバレーのコートに入り配置に着くとラウラはヒラリとアキヒロから飛び降り着地し、適度な場所に立ち構える
「・・・降りるんだな」
「ん?当たり前だろう?アキヒロの肩車は悪くないがビーチバレーをするには適さないからな」
私の呟きに、お前なに言ってんだよ みたいな表情をして答えるラウラを見て一先ず納得しておく
そんな訳で私・ラウラ・アキヒロ チームVS一夏・箒・鈴の試合が始まった
試合は意外と白熱し、ラウラとアキヒロの無駄に洗練された無駄の無い無駄な動きの合体技は観客を大いに沸かせた
なんか悔しいので、私もアキヒロとの合体技を思案をしてみたが、アキヒロとラウラの合体技を超える技は思いつかない
何せ私と彼は出会って1日しか経過していない訳だし
とりあえず、アキヒロに アナタと合体したい と言ってしまいそうになったが、何とか我慢する
「く、流石は一夏、侮れんな。すまん殺しきれなかった」
「任せろ、アキヒロ 肩を借りるぞ」
とりあえず接戦になり、ラウラが上手く打ち上げたボールをアキヒロの肩を踏み台に飛び上がり、超時空サッカー宜しく空中で回転しボールを蹴る
「くっ、しまった」
私の放ったボールを箒が受けるが、弾いてしまい私達のポイントになる
「今の凄かったね?」
「なかなかやるなマドカ」
「たまたまだ」
そんな感じで皆にウケが良かったので、少し照れてしまい若干ツンデレみたいな答えになってしまったが、気にしない事にしよう
それから何とか勝ち星を手に入れる事が出来た
まぁ白熱はしたが、勝ち負けよりは楽しむ事を優先したゲームなので、勝敗は気にしないでおこう
とりあえず、アキヒロの事を少し知る事が出来たのは嬉しかった
お待たせしました