幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
リボーンside
「ねぇ、リボーン。最強のチーム作っていい?」
ツナがそう言ってきたのは今朝のことだった。
「んあ? 勝手にしろ」
「うん。勝手にする~」
俺も寝ぼけてたんだな。そんな回答しちまって、数分後にその危険性・・・というか、どんなチームが出来上がるか予想がある程度ついて、慌ててツナを探したが見つからず、その日の夜にツナが名簿を書いて戻ってきた。
「リボーン。一応、俺のチームに参加しても良いよって
その名簿は明らかにおかしかった。
沢田綱吉(ボス)・ディーノ・獄寺隼人・山本武・榎本貴音・忍野扇・安心院なじみ
「ツナ?」
「ん~? あ、それはあくまで仮定だから。でも、やるからには勝たないとね。リボーン?」
「そ、そだな」
アイツの男のくせにママンに似た女顔で妖艶な笑みを浮かべられて、俺は思わず頷いちまった。ま、別に呪いを解こうとは思ってねーし。楽しめればそれでいいんだけどな。・・・ツナがうつってきてやがる。
Sideout
日曜の朝―――
ランボの笑い声が響くそんな朝。ツナは不機嫌そうな顔で身体を起こす。窓の外に、ランボ・イーピン・家光の三人が見えた所で、ツナは合法的な方法を思いついた。
「次は屋根にタッチして帰ってくるぞ!」
「おう!」
「パパサンガンバル!」
「んー、んー、んー・・・・・・。
朝食もまだ食べてないしなあ。大体俺、あのぐうたらな父親、そもそもあんまり好きじゃないんだよなあ―――いやもう、はっきり言っちゃえば嫌いだし。もう大嫌い。帰ってきたからって声かけるような仲じゃ、そもそもないんだよ。たとえ正面から目が合っても無視するくらいの気持ちがあるだろう。
でもまあ、そうだな、血の繋がった息子として、父親相手にそんな態度を取るのも器がちっちゃいか。嫌いな相手ともコミュニケーションが取れてこそ、一人前の男だろう?
あくまでも親に接する際の当然の態度として、ちょっとだけ相手をしてやるさ。いやもう本当。全然会えて嬉しくなんかないけど、せめてその振りくらいはしてやるのが最低限の礼儀って奴かな?
ふっ、俺も甘い」
ツナは服を一瞬で脱ぎ捨て着替えると、クラウチングスタートの姿勢を取る。
そして。
一気にかけ出した。
「帰ってきたのか、クソ親父ぃぃぃいいいいいいいいいい!!!」
「ぐぼああああああ!!!」
「遭いたかったぞ。このヤロォぉおおおおお!!」
ツナの全力の突っ込みと払いが炸裂し、家光の身体がクルクルと宙を舞う。
「うおっ?! おおっ?! はああああ!?」
「ああ、もう。全然帰ってこないからさぁ、どっかでおっ死んでんじゃねーのかって気が気じゃ無くってー。だからさぁ、もっと殴らせろ、もっと投げられろ目を回せ!」
「その辺にしといてやれ、ツナ」
「・・・・・・うぃ」
宙を舞っていた家光の身体が、庭に叩き付けられた。
「グハッ!?」
「ふぅ。スッキリした。さあ朝ご飯だ朝ご飯♪」
「父親の扱いが酷くないか息子よ・・・」
「・・・じゃあ、もっと父親らしいことしてくれる?」
「グッ」
「父子で戯れるのも良いけど、今からお客様がいらっしゃるんでしょ?」
「日曜の朝から? 非常識だなぁ・・・」
「仕事の仲間だ! 船が夜中に着いたものでな。お前達、来なさい」
「はい! ご無沙汰しています」
「よお、コラ!!」
「うわっ。勢揃いしてる。CEDEFとコロネロ・・・って、コロネロの代理が・・・へぇー。ってラル・ミルチ小さい!?」
(呪いのことを理解していないのか・・・?)
いや、まあ知ってたけど。と言う言葉は飲み込んで、ツナはまさに今知りましたという演技をした。
「よろしくな、ツナ」
「うん。よろしく~」
「歓迎するぞヘボライバル」
「倒しに来たぜクソライバル」
「負けると分かって良く来たな」
「負け戦はしねーぜ、コラ!!」
「おーい。痛くないのかーい?」
「あなた・・・」
「ああ。他の仕事仲間も紹介するぞ。ガタイのいいのがターメリック」
「こんにちは」
「メガネの女性がオレガノだ」
「初めまして」
「仕事の現場では、バジルとオレガノが肉眼で石油を発見し、オレとターメリックがスコップで石油を掘り、コロネロとラルがバケツで運ぶってわけだ」
「シンプルね」
「母さんに間違った知識を与えるな!! ・・・コホン。まず、石油を掘る仕事。と一言に言ってもそれぞれ別の役職が担当しています。
まず、油田の存在の可能性が高いと思われるサイトを、最新科学的知見とデータ分析、電気検層、人工衛星による地質写真、人工地震探査、地上の目視探査、海上からの音響探査などで特定しなければいけません。この全ては地質学者の仕事で」
「もういいだろツナ。博識なのは伝わったから、重箱の隅をつついてやるな」
「俺がつついてんの、結構真ん中辺にあるおかずなんだけど」
「言ってやるな。あれで本気なんだ」
「もうね。了平さん並の誤魔化し方だと思うよ。だって、あの人流れ星にあたって怪我をしたとかいって誤魔化してるんだぜ?」
「言ってやるなって」
「でな、奈々。しばらくバジルとコロネロを家に泊めてやって欲しいんだが・・・」
「はいはい。わかりました」
「え。嫌な予感しかしない」
「家族が増えるよ」
「おい馬鹿やめろ」
「やったねツナ君」
「やめろって言ってんだろ!?」
「相変わらず賑やかで楽しそうだね♪」
「・・・白蘭」
「へぇー。ここが綱吉クン家かー」
キョロキョロと家を見る白蘭に、ツナは親のような目線でくってかかる。
「来るなら来るで、連絡ぐらい入れろ! 何も用意してないじゃねーか!」
「安心してー。ケーキ買ってきた♪」
「紅茶入れるから座って待ってろ!」
「はーいっ」
家の中に入りながらツナが指をスナップすると、庭にテーブルと椅子が出現した。
「ケーキ並べておくよー」
「はいはい」
ツナは白蘭の突然の行動に、多少ムカついてはいるようだが「まぁ、仕方ないか」といった風に流していた。
「・・・で? 何でまた、突然俺の家を調べて尋ねてくるような真似をしたんだよ」
「いやー。ほら、代理戦争」
「・・・なるほど。大空のアルコバレーノの代理か。全く、いつも突然現われるんだから。せめて前日には連絡を入れろっての」
「今回は連絡したんだけど?」
「・・・・・・・・・。午前三時・・・。どこが前日だ!? ホントついさっき入れてるじゃねーか! 五時間前を前日というのかお前は!!」
「寝る前が前日でしょ?」
「ちっげーから。お前デジタル式の時計を買ってよく見てみろ! 午前零時ちょうどで日付が変わるだろうがっ!」
「そう言えばそうだね♪」
「・・・・・・。ハァ。で? お前のことだから、ただ俺に「僕らも代理戦争に参加するから~」って言うことを伝えに来たわけじゃあないんだろ? ・・・つか、美味いなこのケーキ。どこの?」
「イタリアの有名なとこの。まぁ、ユニちゃんは用があるとかで日本に来るのはギリギリになるみたいなんだ。で、僕にアイディアがあるんだ」
「読めた。白蘭、お前の次のセリフは」
「「同盟組もうよ。綱吉クン♪」だ」
「・・・ハッ。もう、綱吉クンはそうやってすぐ人のセリフを先読みするんだから」
「だったらもうちょっと上手く話の流れを掴ませないようにすることだな」
「どうすりゃいいの?」
「先読みさせないコツは一つ。流れを乱せばいい」
「へぇー」
「そういや、ブルーベルは元気か?」
「うん。元気さ。君に会いたがってたよ」
「俺、なんかしたっけ?」
「相変わらずの朴念仁だね~」
「ふむ。まぁ、受けるか否かの返答はまた後日。俺のチームのメンバーと話し合いをしてからにするよ」
「うん。そうして。僕は首を長くせずに待てるから」
「逆に首を長くして待つことを誰が出来るんだよ」
「骸君とか?」
「あぁ~。幻術組ね。とりあえず、今日はもうお開きと行こう」
「そうだね。それがいい」
白蘭は消えるような様子で、ツナは食器を片付けにそれぞれ解散した。