幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活   作:軍曹(K-6)

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第七十五話 開戦

船で座標まで着いたツナ達の目の前で、空間が割れて島が現われた。

島の周りは遠浅のため、大型船から下りて小型ボートで向かうことになった。

 

「見た目より距離があったね」

「流されねーようにしっかりとボートを固定するぞ」

「あ、うん」

 

 

「思ったより早かったね」

「「「!!」」」

「やあ」

「待ってたよ。ツナ君」

「ヤッホー。お兄ちゃん!」

(隠せっ!)

(あっヤベッ)

(本当に君達は・・・)

「・・・君達だけで来たのは正解だと思うよ。大勢で来ればボンゴレ側の夥しい数の死体が積み上げられることになっただろうからね」

「俺達以外のな」

「くっあいつ等・・・。って言うか十代目今なんて言いました?」

「クロームは? 無事なのか?」

「そりゃあもう天使のようなカワイ~イ顔をして、俺のベッドでオネンネ中♪」

「ぶっ殺す!!」

 

ツナの炎が額に灯る、死ぬ気とまでは行かないにしろ、体のリミッターを外した状態だ。

 

「ん!? おい・・・待て・・・。何故奴らまでいる。あの不吉な連中をこの島に呼び入れたのはお前達か」

「?」

「不吉な連中?」

「マフィア界の掟の番人」

復讐者(ヴィンディチェ)!!」

「何しに来た。イェーガー」

「! ・・・何故、貴様がその名を・・・」

「これは俺の予想だが、ボンゴレⅠ世のと初代シモンの約束でも果たしに来たのか?」

「! ・・・・・・・・・・・・」

 

次の瞬間、ツナの首に復讐者の拘束具が取り付けられた。

 

「ガッ・・・」

「テメェ、復讐者! 何のつもりだ!」

「沢田綱吉は、何やら面白そうな情報を持っているようだから連れて来いと言うのがボスからの命令だ。よってお前を復讐者の牢獄に連れて行く」

「十代目!」

「ツナ!」

「沢田!」

「みんな、こいつらには逆らわないで!」

 

ツナはそう言うやいなやポケットから人型の紙を取り出して、投げる。

 

「頼むぞ、コピー体!」

 

そしてツナは夜の炎を潜って復讐者の牢獄へ移動させられた。

守護者対シモンの戦いは本物のツナがいないだけで、原作通り進む。

 

 

―――復讐者の牢獄。

 

気絶していたツナが目を覚まして一番に見たのは、復讐者達に囲まれる自分だった。

 

「我らをアルコバレーノにした奴の情報を吐け」

「知らねーよっ!」

「ならば、あの少女をここに呼べ。彼女なら」

「知らねーよ。アイツも、俺も」

 

ツナがそう答えた途端。復讐者によって普通では考えられない量の拷問が行われた。

 

「ガハッ・・・・・・」

「もう一度だけ問おう。我らをアルコバレーノにした奴の情報を吐け」

「・・・知らねー・・・っつってんだろ・・・。俺は・・・いや、俺達は・・・おしゃぶり(ああいうの)に触れれば・・・その仕組みが分かる・・・。分かれば・・・後は簡単・・・だろ・・・?」

「・・・?」

「・・・おしゃぶりの・・・所持者を・・・書き換えてやれば・・・良い。それ・・・だけで・・・所持者は変わる・・・。そう・・・だろ?」

「つまり、貴様は何も知らない・・・と」

「当たり・・・前だ。なんっ・・・だったら・・・お前等が元アルコバレーノってことも、初めて知ったよ! 初耳(しょみみ)だぞ・・・初耳(しょみみ)

初耳(はつみみ)・・・ではないのか・・・?」

「初耳とも読むだろうが」

 

ツナは身体中ボロボロの状態で拘束されていようと、軽口を叩く余裕はあった。

そこからツナは何日間かに渡って言葉の真偽を確かめるために拷問を受け続けた。

 

「イェーガー君。彼は本当に何も知らないのかい?」

「ああ、そのようだ・・・・・・」

「うわっ。ミニマムサイズの復讐者・・・ってかアルコバレーノ?」

「そうさ。僕はバミューダ・フォン・ヴェッケンシュタイン。元アルコバレーノだ」

「・・・知りたいこと。分からなかったと思うから・・・俺、帰っていい?」

「帰れるとでも?」

「出来る、出来ない。じゃないんだよ・・・やるんだ」

「へぇ・・・」

「緊急脱出用に持っててよかった黒のリング!」

 

ツナが指に嵌めた黒いリングから夜の炎が燃え上がり、ツナの体はシモンの聖地に飛ばされた。

 

 

―――シモン島。

 

「おい。嘘だろ!?」

「エンマ自身がブラックホールに!!」

 

「・・・これ、どういう状況?」

「ツナ・・・君!!」

「よう俺」

「やぁ俺」

「帰ってこい」

「ういーっす。任せた」

「あいよー」

 

軽く二、三言かわして片方のツナが炎と人型の紙に戻る。

 

「さて、炎真君。いま、助けるよ」

「逃げて!」

「俺が今まで逃げたことがあったか?」

「でもツナの奴、どーする気だ!!」

「考えられるとすれば一つ・・・、ブラックホールごとかき消すしかねぇ。ビッグバン並の超パワーでな」

「超パワーっつったらX BURNERっスね!!」

「いいや、それでも足りねぇ」

「な」

「X BURNERより、遥かに強力なパワーが必要だ」

「X BURNERより!?」

 

ツナは胸の前で腕をクロスさせる。

 

「オペレーション―――

 

 

 

 

―――――――――(ダブル)(イクス)

『了解しました、ご主人(ボス)。XX発射シークエンスを開始します。NEWパーツよりカウンターバーナー噴射』

 

「今までのX BURNERと構えが違う!!」

「両手を前に・・・」

「「!!」」

「ま・・・、まさか・・・!!」

「両手撃ち!!」

 

「待ってろ炎真!!」

 

「X BURNERを両手で!?」

「そんな事すれば炎圧で後ろに吹っ飛びます!!」

「その為のVGのニューパーツなんだ。ツナの腕を見てみろ。発射方向と逆方向に反動を受け止める柔の炎が吹き出している」

 

『カウンターバーナー及びLRバーナー、炎圧上昇』

 

【「・・・ん? 両手から剛の炎を出し、前方に放つ?」】

【「そう、もしも・・・なんだけど、背中に何かしらの支えがあれば出来るかな?」】

【「ウチの考えではそんな頑丈な壁はそうないと思う・・・。でも面白そうだ。つぎに作るコンタクトとヘッドフォンには両手撃ち用のプログラムを入れておく」】

【「あ、え? もう過去に帰るんだけど?」】

【「それでも作る」】

【「え・・・」】

 

(ありがとう、スパナ。完璧だ)

『ゲージシンメトリー!! 発射スタンバイ!!』

「はぁっ! (ダブル)(イクス) BURNER(バーナー)!!!」

 

両手撃ちX BURNERを完璧にこなしたツナは、ゆっくりと地面におりた。ツナが地面に降りた瞬間、大地の重力とはまた違った形でツナに重みが加わった。

 

「ちょっ、真美ちゃん!? な、何用!?」

「うへへ、本物のお兄ちゃんだぁ~。お兄ちゃん大好き~」

「いや真美ちゃん? ちょっ、どこ触って・・・!」

「お兄ちゃん怪我してる! どうして!? あ・・・あいつ等か・・・」

(復讐者が復讐されちゃうかな・・・? この子怒るとマジで恐いからな・・・)

「お兄ちゃんあいつ等に何されたの!? 大丈夫?」

「大丈夫大丈夫ー。それよりも真美ちゃんに手当てしてもらいたいなー(棒)」

「・・・うんっ!」

 

大地の炎で飛んでいった真美の背中を見てツナはため息をついた。


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