幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活   作:軍曹(K-6)

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ポッキーDay


第七十四話 Ver.アップ

継承式会場の一室。ツナはゆったりと椅子に腰掛け紅茶を飲んでいた。

 

「十代目。よく落ち着いていられますね・・・」

「慌ててもどうにもならないし、炎真君があんな事望んでするとは思えない。誰かに操られてる気がするんだ・・・。あ、でも。操られてるって言っても骸みたいな操りじゃなくて」

「裏から誰かに指示されてる。ってお前は言いたいんだな?」

「うん。その誰か、は分からないけどそんな気がするんだ」

「まぁお前がどう思おうとこれからお前達はシモンと戦い、命の取り合いをしなくちゃならねぇ」

「そんなの関係ないよ。俺は友達とケンカしに行くんだ」

「十代目!」

「沢田!!」

「その通りっス!! ぶっ飛ばしましょう!!」

「まったくだ!! 極限に勝つ!!」

「負けるわけにはいかないのな!」

 

そのすぐ後、台車の上に岩をゴロゴロ乗せてタルボが現われた。

 

「もしや、そいつがボンゴレリングか?」

「さすがに、勘がええのおアルコバレーノ」

「お、おい。ツナ・・・?」

 

みんながボンゴレリングの強化失敗を悟るなか、ツナはその中の一つを手に取った。

 

「炎を・・・求めてる」

「・・・・・・?」

 

ツナは大きく巨大な炎を灯す。それはオレンジとベージュの混ざった炎だった。

 

「これが・・・綱吉君の炎・・・・・・!」

「なるほど! そうするんスね! 十代目!!」

「極限に理解したぞ!」

「えっと・・・こうか?」

 

そしてツナの指に形状が変わったリングが填まっていた。ほとんど大空のリングVer.Xと同じ形だが、所々パーツの形が変化していた。

 

「名付けるなら―――

 

 

―――大空宇宙(だいくうちゅう)のリング。かな」

「それはボンゴレリング自信が選んだ、お前達の能力に最も適した形なのじゃ。その姿こそがボンゴレ十代目と、その守護者のためだけの専用シリーズ。その名を、VG(ボンゴレギア)

「九代目! シモンアジトの場所の目星がつきました!!」

「そうか」

 

会議室に移動し、その場での首脳が集まって会談を進める。

 

「ボンゴレイタリア本部に連絡し、資料室にあるありとあらゆる蔵書や古文書を調べましたが、シモンファミリーに関する文献はある時代以降全て破棄されていました」

「・・・てことは・・・」

「やはりシモンの連中の言うように・・・、過去のボンゴレ内部にシモンファミリーの存在そのものを抹殺する動きがあったようじゃな」

「で、どうやって分かったんだ? シモンのアジトは」

「初代シモンがボンゴレⅠ世へプライベートで送った手紙が残っていたのです。ただし両ファミリーが結成される以前の手紙で、ボンゴレとは関わりのない遺品の一部として別室に保管されていました。その為破棄を免れたのでしょう。初代シモンはその手紙に海外へ旅に出た時の様子を、綴っていたのです。その中の一つで彼は船が難破し、漂流した末に辿り着いた無人島について記しているのです。初代シモンはその島を気に入り一族全員を住まわす聖地にしたいと言っています」

「聖地・・・」

「場所はどこじゃ?」

「太平洋、強い磁場がありコンパスが利かないとしながらも、初代シモンは予測で出した緯度と経度を記してます。この辺りかと・・・」

「日本からそう遠くない」

「ここならば我々の戦力を集めるのにもそれほど手間取りません」

「そうと決まれば出発の準備じゃ!! シモンが完全覚醒するまで七日しかない!! ボンゴレの総力をあげてシモンと戦わねばならぬ!! ありったけの構成員と武器を集結させよ!!」

 

九代目がボンゴレボスとしての威厳で部下に指示を出そうとしたが、それに待ったをかける声がした。

 

「待ってくれないか、ボンゴレⅨ世(ノーノ)。頼みがある」

「な、何だね?」

 

額に炎を灯したⅠ世に見えるツナ(彼自身に言ったら多分キレる)が九代目の指示を遮って結構偉そうな態度で進言した。

 

「戦うのは俺達、ボンゴレ十代目ファミリーだけにしてくれないか」

「なにぃ」

「何故だ!!」

「俺の言い分はただ一つ。この戦いはボンゴレとシモンの戦争なんかではないこと。俺が、()()()()()()()()()()()()だ」

「・・・・・・・・・!!」

「そういうことなら、俺達も存分に力を振るえますよ!!」

「極限に友人として戦うぞ!」

「友達のために戦うのは当たり前なのな!」

「それと、炎真はたくさんの人を殺したいわけじゃない。あいつは俺と違って心のそこから優しい炎を灯せる。絶対に、人殺しをさせたらいけない」

「君達でだけなど、いくら何でも無理だ!!」

「沢田ぁ!! 甘っちょろいこと言ってんじゃねぇぞぉ!! こいつはマフィア間の大戦争だぁ!!」

「違うな。待っているのは大切な友人だ」

「・・・沢田綱吉」

「?」

「お前の好きにしろ。ボンゴレⅩ世」

「「「「!」」」」

「・・・静かにしたまえ!!」

 

Ⅰ世のような貫禄を持っているツナ以外はその気迫に押し黙る。

 

「継承式が中断された以上、ボンゴレの全指揮権はいまだ九代目のわしにある。皆、わしの命令に従ってもらうぞ!!」

「ハッ」

「シモンファミリーの討伐は、ボンゴレⅩ世(デーチモ)とその守護者に一任する」

「なっ!!」

「クソジジィ」

「しゃっ」

「ただしリボーンも同行すること」

「・・・また来るのか、この家庭教師様は」

「リボーンに命ずる。お前からシモンへの一切の攻撃を禁ずる!」

「わかった」

「以上じゃ。ガナッシュ! ただちに船の用意じゃ!!」

「はっ」

「解散!!」

 

並盛まで帰ってきたツナは、ケーキ屋で見かけた京子とハルに行ってきますの挨拶をしてとりあえず自分の家に帰る。

 

「ただいま」

「あらっ、そのキズ。また転んだの? さっき他の学校のメガネの男の子がツナ君へってこの包みを置いていったわよ」

「メガネの・・・? 入江・・・あ。正一君か」

 

手紙には正一の近況と、包みの中身の話だった。

 

「X BURNER用、新型HP(ヘッドフォン)CL(コンタクトレンズ)・・・」

「準備万端だな」

「もちろんさ」


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