幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活   作:軍曹(K-6)

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第六十四話 修羅開匣

『敵襲! 敵襲! 日本沿岸に白蘭の反応ありですっ!!』

 

爆音のアラームと共に告げられたエネのその言葉に、ツナ達は気持ちを引き締める。

 

「襲ってくると思いますか?」

「強引に襲ってくると思うよ。誰が一番に来るか分からないから、とりあえず位置バレしてるこのアジトからは早々に退避したいんだけど」

「あ、でしたらハルに良い考えがあります! ハルの知り合いに不動産屋のおばあちゃんがいるんです! 「隠れ家」にいい物件があるから家出する時は言ってね! ってよく言われてました!」

「不動産屋、ねぇ・・・」

「案外盲点で、いいかもしんねーな」

「「やったー」」

「いいのかよ。じゃあみんなでその不動産屋へ行こうか・・・。と、イカロスは恐らくまとまって行動してるであろうあいつ等の無線とレーダーを破壊してきて。連携をうまく取れなくする」

「了解です。マスター」

 

ツナの指令に頷いて、イカロスは翼を広げてマッハ24の速度で飛び出した。

 

「・・・行かせて良いのかい!?」

「ええ。空の女王(ウラヌス・クイーン)は簡単に堕ちませんからね」

『原作では落とし物でしたけど』

「それを言っちゃあお終いよ」

 

そして一同はその不動産屋へ移動する。

移動した彼等は、やたらと事情通な川平のおじさんのおかげで小学生探偵(ザクロ)を撒き、これからの方針を話し合おうとした所で、キキョウ・トリカブト・ブルーベルの三人が現われ、トリカブトの腕の中にユニが囚われた。

が、もちろんγが王子様の如く救出した。

それでも真六弔花の圧倒的な力にひれ伏してしまうと思われた所で、トリカブトがアッパーカットで飛ばされる。

 

「どこを見ている。お前達の相手はここにいるぜ」

 

「ツナ君!」

「十代目!」

 

「・・・いつも眉間にシワを寄せ・・・、祈るように拳をふるう・・・。あれが・・・ボンゴレ・・・X世(デーチモ)

 

※ウチのツナの場合ただ不機嫌なだけ。

 

「しまった!」

「ボンゴレの奴いつの間にあんなところまで!」

「俺のスピードを甘く見るな」

「哀しき者よ」

 

トリカブトがその服の前をはだけさせ、胸を出す。そこには匣が埋まっていた。

 

「胸に匣が埋まってる!」

「ディーノから連絡のあった修羅開匣だな」

 

「いきますか、トリカブト・・・」

「息止めるから、まった!!」

 

そして修羅開匣が起った。空間を呑み込むような開匣の後、そこにいたのは蛾のような羽を持ったトリカブトだった。

 

「終焉の時」

 

「なっ!! 景色が回り始めた!!」

 

「この幻覚・・・チョイスの時より強いな・・・」

「修羅開匣とは、人間と匣兵器の能力を掛け合わせたもの。蛾の擬態を進化させたトリカブトの目玉模様を見たものは、一瞬にして五感を狂わされ真実を見失うのです」

「消えた!」

 

「何が何だか分かりません!!」

「目が回るよ!!」

 

「くっ。天地がつかめない」

「・・・・・・仕方ないか」

 

ツナは一度目を瞑る。

 

「ムダです。一度模様を見たものは目をつぶろうとこの幻覚を破ることはできない。超直感でも―――」

「――ばーか。誰が目を閉じたままだっつったよ」

 

今一度目を開いたツナの目は、青く光るつくられたような目が填まっていた。

そして辺りを一度見回したツナは一瞬でかき消えると、トリカブトの位置を正確に掴み攻撃を当てた。

 

「何?!」

 

「どーなってやがる」

『凪さんも知ってるでしょう?』

「うん。あれは」

「『“神々の義眼”」です』

「「「「神々の・・・義眼!?」」」」

『その特性は様々。超光速の挙動を捕らえる動体視力に、物体を透過する透視能力。他者の眼球を掌握する視覚操作。そして今回は因果律を操作して世界を書き換えるような幻術であろうと見破る解析能力の恩恵です!』

「もうアイツ一人でいいんじゃねーかな」

『それは言ったらおしまいですよリボーンさん? ご主人は、本当に一人で出来るんですけど・・・。みんなで協力するってのが楽しいんじゃないですか!』

 

「必殺マジシリーズ マジ殴りX BURNER!!」

 

殴った拳を即座に開いてX BURNERを撃つツナ。その威力は計り知れず、真六弔花の面々は撤退を余儀なくされた。

 

「みんなー、大丈夫ー?」

 

間延びした声だが、攻撃が加えられていた仲間を心配するような声をツナは空高くからかけた。

 

「かなりダメージを負っちまったな」

「γ! 皆さんの所へ!」

「ハッ」

 

こうしてまた、ボンゴレの面々は場所の移動をせざるおえない状況に追い込まれた。


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