幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活   作:軍曹(K-6)

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第六十二話 ツナの暴走と最終兵器

ボンゴレベースから山本と獄寺がバイクで飛び出し、イカロスは大きく翼を広げてベース前に立っていた。

 

「すごーい! みんなバイクに乗ってる!」

「イメージしてたマフィアの戦いと違います!」

「・・・ツナがいねぇな」

「え? どこだ? どこに行ったあいつ!」

(いつも通りの行動に出やがったか)

 

 

とあるビル角、ミルフィオーレの霧のリングトリカブトが飛んでいた。

と。

次の瞬間。彼の体が高速で地面に落ちていった。

 

「やぁ、トリカブト。だっけ? ヤッホー」

 

巨大な蠅王紋章の上に立つツナは、未だレーダーには移っていない。

 

「素朴の者よ」

「は?」

 

ツナが構えると、トリカブトは自分の体をウミヘビに変えるようにして襲いかかってきた。

 

「え、何これ」

「か弱き者よ」

「え。何こいつ超邪魔くさい。デイジーって奴じゃないなら別の場所に行きたいんだけど」

 

ウミヘビが雷属性の炎を纏っているのを確認したツナは、死ぬ気の炎を纏っていないただの拳を握る。

 

「連続普通のパンチ」

 

ウミヘビを物理的に砕いていくのは質量を持った拳の連撃。

 

「悲しき者よ」

「どっちが」

 

そして握った拳をツナは放つ。

その山を消し飛ばした拳圧を、空間を歪める拳をモロに食らったトリカブトは勢い良く吹き飛んで地面にめり込んだ。

 

『ボンゴレと交戦中の敵の炎反応消滅』

『よくやった綱吉君』

「んじゃ、ターゲットぶっ殺してくる♪」

『・・・ん? 今なんて言った? ちょっと! 綱吉君!?』

 

ツナは再度亜音速で飛び出した。

 

 

数秒後。

 

「見ぃつけた」

「わ・・・きた・・・」

「いっくよー。連続普通のパンチ!」

 

空間を叩いたツナは張られていたバリアを一撃で吹き飛ばした。

 

「ぼばっ」

「アハッ♪ そりゃ!」

 

その一撃で空間が歪んだ。ミルフィオーレの基地ユニットは見るも無惨な瓦礫の山となり、ツナはその中で余裕そうな表情で立っていた。

 

「ふぅ・・・。勝った?」

「お待ちください」

「うわっ! ・・・心臓に悪いなぁもう」

「デイジー氏の標的の炎、消滅と認めます」

「勝った?」

「う~ん。やっぱり死ねないのか~」

 

恐らくどこかで偉そうに誰かが解説していると思うが、ツナの目の前にいるデイジーは不死身の肉体を有していて、死ねないのが悩みだという。

さて、問題。全力が出せる相手が現われたらツナはどうすると思いますか?

 

正解は―――

 

轟音が響き、起き上がっていたデイジーの体が壁を突き破って遠くに蹴り飛ばされた。

 

「マジで? お前死なねーの!? どこまで壊したら死なないのか検証させなァ!」

 

吹き飛ばしたデイジーに着いていくために地面を蹴り亜音速まで加速するツナ。連続攻撃の一撃一撃がツナの普通の威力。その為、デイジーは少しずつボロボロになっていく。

 

「あれ? 何だこれ・・・」

『どうした綱吉君!』

「いやーこれトリカブトの仕業かなぁ・・・幻術世界に閉じ込められたかも」

『何だって?』

「まぁ、出るけどね」

『どうやって!!』

「こうやって―――必殺マジシリーズ マジ殴り!」

 

その一撃で、幻術空間だけでなく、その拳の先全ての空間を塵一つ残さず消し飛ばした。

 

「よっし」

 

「よしっ。じゃねぇえ゙ぇえ゙!! 何だぁその威力!!」

「おい、リボーン・・・。あれ、ツナか?」

「ああ、()()()ツナだ」

「そういや平行世界って言っていたが・・・あんなに違うものなのか?」

「あぁ、俺達の世界はどうやら7³によって強力に秘匿されていたようだ。それにツナと白蘭の仲が良い世界。どっちにしろ情報開示はされてねぇ」

「そりゃあさぞ驚いてるだろうな・・・。死ぬ気の炎を使わずにこの惨状を生み出す化け物と、向こうは戦わなくちゃいけないんだからな」

 

そして一方ボンゴレベースでは。

 

「ハハン。ついに捕らえましたよ」

「くそう!」

「まだ、私がいることを忘れないで・・・」

「そう言えばいましたね」

「可変ウィングシステム・・・安全装置(セーフティ)解除・・・。モード空の女王(ウラヌスクイーン) 起動(オン)。戦略用エンジェロイド、typeα“Ikaros(イカロス)”出撃します!」

「ハハン。何が来ようとムダですよ」

永久追尾空対空弾(アルテミス)発射」

 

翼から撃ち出されたそれは、キキョウの攻撃を意思を持ったかのようにかわし、攻撃を叩き込む。

 

「追尾機能付きですか。ですが、効きませんよ」

「モード変更typeΔ“Astraea(アストレア)” クリュサオル」

 

粒子線で構築された剣をもったイカロスがキキョウに斬りかかる。

 

「ハハン。こんなものが通用するとでも?」

「効く」

 

キキョウが己が身を守るために張っていたバリアを、クリュサオルが切り裂いた。

 

「!? ・・・ハハン。なるほど最終兵器と言われるだけはありますね。それに今ので逃げられそうです。なので先に行かせて貰いましょう。・・・?!」

 

炎のレーダーを確認しようとしたキキョウはその表示がされていないことに気付く。

 

「ムダtypeβnymph(ニンフ)Aphrodite(アフロディーテ)が展開してある。電子機器は無効」

「ハハン。やってくれますね」

 

 

 

―――その一方でツナは、何度も何度も何度も標的の炎を消しては生き返るデイジーを、何度も何度も何度も壊していた。

 

「はっはー。どこまで壊せる? どこまで持つ? お前はどこまで壊せるんだ?」

「ひぃー聞いてないよ! ボンゴレ十代目がこんな奴だなんて白蘭さんに聞いてないよ!!」

「当たり前じゃん♪ 何で俺の白蘭(友人)が友を売るようなことをするのさ。また今度アイツと甘味を食べに行かなきゃなー・・・」

 

ツナはそう言うと右手に力を込める。

 

「どんな形でも、標的の炎(ターゲットマーカー)が消えたら終わりなんだよね?」

「その通りです」

「じゃあ勝てるよ」

 

ツナは言いながら右手に込める力のベクトルを変えた。すると、彼の右手の甲に蠅王紋(ゼブルスペル)が出現した。

 

「それじゃあ、俺達の勝ちだ」

 

ガラスの砕けるような音と同時、ツナの開いた掌が触れたデイジーの胸にあった標的の炎が、マーカーごと()()()()()()()()()()()()

 

「「「「!!」」」」

「お仕事完了♪」

「な、何これ・・・」

「デイジー氏の標的の炎、消滅を確認・・・。復活不能・・・」

「これによりチョイスバトルの勝者が決定しました」

「勝者は―――、ボンゴレファミリーです!!」

「・・・イヤッホォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

ツナはその場で小躍りを始めた。訳の分からない歌まで歌い出してノリノリである。

いつの間にか取り出した笛で曲まで吹き始めた。吹いているのは『みwなwぎwっwてwきwたwww』である。別に禁断症状は出ていない。


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