幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
京子とハルは、デモを起こした人民が如く看板を持っていた。
「悪いわねツナ。私はこの子達につくわ」
「・・・私も・・・、・・・ボスごめん」
「イーピンも!」
「え・・・。えぇ・・・?」
「私達も京子達につくわ。修行しっかりね!」
女装したリボーン、ジャンニーニ、フゥ太が女性陣についた。それを確認したツナは溜め息を吐かざるおえなかった。
「ハァ・・・。久しぶりに家事しないと行けないのか・・・・・・」
「久しぶり・・・?」
―――台所。
「一応聞くぜ。どうするんだ? ツナ」
「・・・うん・・・。俺的には別に話してもいいと思うんだ」
「そう、なんスか?」
「うん。というか、大空のリング戦の前と十年後に来た日に京子ちゃんには何が起ってるか話したことがあるんだよ・・・」
「京子に・・・話したのか!?」
「流石に相撲大会じゃ納得できなかったみたいで、俺が誤魔化そうと思って異種格闘技戦って言ったんだけど、やっぱり気になったみたいでさ。全部話したことがあるんだ。だから今回も話していいと思う。彼女達はああ見えて強い子だから」
「十代目がそうおっしゃるなら・・・」
「むむぅ・・・京子が自分から聞きたいと言ったのか・・・」
「とりあえず、今日は自分達のことは自分達でして見ましょう。俺こう見えて家事は得意です」
「俺はしたことないっす」
「俺もねーな」
「極限に皆無だ!」
ツナは仕方ない。とため息をついた後。家事を始めた。洗濯を完璧にすませ、料理を作る。
「あ、の。十代目・・・。これは・・・?」
「え? 本格イタリアンフルコース」
「いや、大丈夫なんすか?」
「あっはっはー。舐めないで。そこらのイタリアンよりうまい自信があるよ」
そう言いながら笑うツナは、背中に手を回しズボンに挟んでいた銃を抜き去って撃った。撃たれた銃弾は今まさに料理に手を伸ばしていたリボーンの頬をかすめた。
「出て行けリボーン。これを食っていいのは俺達だけだ」
「いいじゃねぇか! 俺も食いてぇぞ!」
「女性陣についたのが間違いだと覚えておきな・・・」
「チッ」
「というか十代目、その銃どこで・・・」
「正一君が持ってた銃」
「チェルベッロを撃ったあの銃ですか!?」
「うん。そーだよー」
ツナは言いながら料理の続きを作っていく。リボーンはツナに怒られるのが怖いのか、台所の入り口でさっきの自分の行動を呪っていた。
―――次の日。
「じ、十代目!? 右腕!!どうなされたんですか!?」
「え? 食われた」
「何に!!」
「ボンゴレ匣」
いやー。怖いね~と笑うツナは服の袖が二の腕から千切れて無くなり、腕には包帯がグルグルと巻いてあった。
「匣兵器が!?」
「前回もそうだったんだけど、開匣した途端に襲ってきたんだよ。上に覆い被さって顔を執拗に舐めてくるから退かそうと手を伸ばしたら食われた」
「は、ハハ・・・」
「振り解こうとしたら腕中に歯が食い込んで血だらけになったんだよ」
から笑いをしながらツナは料理を作る。今日のメニューは日本食のようだった。
「「「「いただきます」」」」
「・・・みんな、ちょっといいかな」
「なんですか? 十代目」
「明日二人に全部話してみようと思うんだけど・・・」
「十代目が決めたのなら異存はありません!」
「まぁ、いいんじゃねーの」
「何かある前に極限に俺達が守ればいいのだ!!」
「その通り。じゃあ、話すことにするよ?」
全員から了承の返事を貰ったツナは、どのように話すべきか食器を洗いながら考えるのであった。
―――翌日。
「あ、ビアンキ。京子ちゃんは?」
「え、あ。外よ。買い物に行ってるわ」
「ありがとね」
ビアンキに京子の居場所を聞いたツナは、その場から音もなく消えた。
「消え・・・た・・・」
「あれがツナの亜音速行動だ。簡単に目で追うことはできねーぞ。ハイスピードカメラでも捉え切れねーんだからな」
京子を探して町中を飛び回ったツナは、京子を見つけた後。全てを話した。
「という感じなんだ」
「うん・・・。また、ワガママ言っちゃってごめんなさい・・・」
「いや、いいよ。どうせハルが言い出したことだろうし・・・。話しておいた方が守りやすいって知ってるからね」
「そっか」
「そうさ」
「腰に着けてるのがツナ君の匣兵器?」
「あ、そうだよ。これが俺の匣兵器。今のところでっかいライオンなんだけど、じゃれ方がキツくてこんな風に・・・」
包帯が巻かれた腕を見せるツナ。京子は息を呑んでいたが、彼はあまり気にしていなかった。
「大丈夫なの・・・?」
「ああ。みんなで無事に過去へ帰る。この思いは変わってないから安心して欲しい」
「・・・うん」
アジトに帰ったツナはハルにも同じように今の状況と、そしてこれまでのことを話した。
「えーと、ハル? 大丈夫か?」
「は、はい! 大丈夫ですよ! 話してくれてありがとうございます!」
(あー・・・ウソ、だな)
「スゴイ話ですね! びっくりしましたー! あっ。ツナさん今修行中なんですよね。わざわざハルのためにスイマセン! もう行ってOKですよ」
「ん?」
「修行の時間が勿体ないです!」
「あ、分かった・・・」(一人にしてやらないと、か)
台所を出たツナはミーティングルームに移動する。そこには全員がそろっていた。
「あ、ディーノさん」
「よ、ツナ。修行の進み具合をチェックしに来たぜ。家事ばかりにうつつをぬかしてねーだろーな」
「え、あ。はい。もちろん。こんな事になっちゃってますけど」
ツナはつい昨日、右腕の後に噛まれた左脚も合わせて見せる。それを見たディーノはツナの匣はそんな物だったか? と思案する。
と、そこでボンゴレのスクリーンとスピーカーにエマージェンシーのマークが現われた。
「!?」
「何だこいつは!」
『緊急事態! 緊急事態です! ボンゴレの回線をジャックするものあり! 現在対抗中ですご主人!』
「それもしかして白蘭か? エネ」
『ええ。その通りです』
「流していいよ。流さないと向こうが文句を言ってきそうだ」
『イエッサー!』
少女の声が響くと同時、モニターの映像が割れて白蘭が顔を出す。
『ハハハハッ! また邪魔されちゃったね』
「やぁ白蘭」
『退屈だったから遊びに来ちゃった。食べるかい?』
「わぁーい。いただきまぁーす! じゃなくて! 何しに来た」
『“チョイス”についての業務連絡さ。ほら、日時については言ったけど場所については言ってないよね。六日後お昼の十二時に、並盛神社に集合』
「!!」
「分かった。並盛神社だね」
『とりあえず必要な準備して、仲間は全員連れてきてね。少なくとも過去から連れてきたお友達は全員だよ』
「なに!!」
「全員って」
「なんだと!!?」
「まぁ、妥当だよね」
『みんなで来ないと君達は失格だからね』
そう言うと白蘭はモニターの電源を落とした。
「全員か・・・予想はしてたけど、色々マズいな・・・」
「にしても白蘭はどーやって回線に割り込んだんだ?」
「セキュリティがザルなんだぁ、アマチュア共がぁ」
スクアーロの登場によって修行の歯車は華麗に回り出した。