幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
話をしよう。あれは今から三十六万いや、一万四千年前だったか。まあいい、私にとってはつい昨日の出来事だが、君達にとっては多分―――
―――明日の出来事だ」
『何やってんですかご主人』
「いや、ちょっと地の文から始めようと思ったが始め方がつかめなかったから、それっぽいセリフで誤魔化してただけだ」
『ハァ・・・、相変わらず変わりませんね』
「人間そう簡単に変わらんよ」
軽快そうに笑うツナは自室のベッドに転がり、机の上に置いてあるタブレットPCから聞こえる少女の声に返答していた。
『って言うかご主人。この休暇どうするんですか? そもそも始めの目的忘れてません?』
「忘れるわけねーだろ。世界を巡って霊夢を助けることが出来る『何か』を探す」
『覚えててよかったです』
「正直
『(・・・なんかあれですね。ご主人が枷なしでもチートになりそうな勢いです・・・。いや、別に強いに越したことはないですけど・・・ご主人の精神が持つんでしょうか・・・)』
「(その為に私がいるんじゃないですか)」
『(こいつ、直接脳内にッ!)』
楽しそうなことを繰り広げているエネと扇を放って、ツナは立ち上がる。
「さて・・・と」
『どこかへ行くんですか?』
「あー、うん。ちょっと準備に」
『なんの?』
「バケモン専用のあれ」
『・・・は?』
ツナはそう言うと、自室を出て外へ向かう。Aゲートが確か森に通じていたはずだ。と、彼はAゲートから外へ出た。
「・・・よし、この森の中なら・・・ってぇ。バジル君。何してるの・・・?」
「! 沢田殿! 助太刀に参りました!」
「あ、それは純粋に嬉しいや」
「それで・・・恐縮なんですが・・・」
「ご飯・・・食べてく?」
「はいっ!」
数分後、食堂に場所を移したツナの前でバジルは人一倍多くの量のご飯を食べていた。
「ごちそうさまでした。とてもおいしかったと、京子殿とハル殿にお伝えください」
「あ、うん。きっと喜ぶんじゃないかな・・・」
「それにしても驚きました。本当に並盛の地下にこんな立派なアジトが出来ていたなんて!」
「あれ? 知ってるんだ」
「はい! 全てはボンゴレの勅命である死炎印のついたこの、「助太刀の書」に記してありましたから」
「助太刀の・・・書?」
「はい。このアジトへのルートとこの時代での戦い方が記されており、いざというときは燃えてなくなる極秘文書です。拙者がこの時代に来たのは十日前で、場所はスペインだったのですが・・・。その時、パスポートと匣兵器と共に置いてありました・・・」
「CEDEF・・・父さんのいる門外顧問印の匣兵器か・・・」
ツナはバジルの匣を眺めながら彼の話の続きを聞く。
「残念ながらここに来るまで仲間には誰にも会うことは出来ませんでしたが、この書と匣兵器のおかげで途中で出くわしたミルフィオーレファミリーを何とか撃退できたんです」
「あ、もう既に戦ってるんだ」
「ええ! 六回ほど戦闘を」
「へぇ~」
「つまり、何者かの指示でバジルはツナ達とは別のルートで鍛えられ、ここに合流したと考えられるわね」
「ビアンキ! 急に・・・というか鍛えるって・・・つまり仲間?」
「その通りです! 「助太刀の書」はこう締めくくられていました。若きボンゴレ達と共に、白蘭を砕けと!」
ツナはその言葉に満足そうに微笑むと、何故ここにビアンキがいるのかを尋ねた。
「そんなの決まってるじゃない。私は女の味方よ」
「・・・何となく分かった。京子ちゃん達が外に出たいって行ったんだね。恐らく、自分の家に行くために」
「ホント、ツナは話しやすいわ。説明の手間が省けるぐらいだもの」
「茶化さないで」
「じゃあ行きましょ。二人ともお待ちよ」
「え。俺も行くの?」
「隼人達が反対してね。護衛がてら着いてくることになったのよ」
「ミルフィオーレはもういないじゃん・・・。分かった分かったから睨まない! 着いていくから!」
というわけでツナは
『ご主人ご主人ちょっといいですか?』
「・・・・・・なんだよエネ。わざわざバイブレーション鳴らして知らせてきて」
『いえ。最強の体が欲しくなりまして・・・』
「コンピューター制御的な体か?」
『そうですね。ただの肉体でも強いのは自負しているんですが、何かしら強さが欲しいもので』
「ふむん・・・。お前、リングは?」
『持ってません』
「威張って言うことじゃねーだろ・・・じゃあ無属性で出場は出来そうだな・・・」
『え。マジで出るんですか?』
「スパナに頼んでみようか」
『何を頼むんですか・・・・・・?』
「イカロス」
『・・・・・・・・・・・・・・・は?』
ということで、ツナは正一とスパナにあるものの技術を伝え、制作をお願いしたのだった。
―――その日の夜。
「何? リボーン。こんな所に連れてきて・・・」
「一体何の部屋っスかね・・・」
「思ったより早く、機動力対策は出来そうだな」
「スパナなんかに負けられませんからね。ここはこの時代の十代目のコレクションルームの一つですよ」
「コレクション?」
「ちょっと失礼しますよ十代目」
ジャンニーニはツナの股下にメジャーを当て、短いですね足という。ツナはそれに短くて悪かったね。と返した。
「なんなのさ、一体」
「やはりサイズ的にもヴィンテージのあれがいいでしょうね。待っててください、すぐ用意しますんで」
「・・・・・・これは察せないんだけど、何するの?」
「一日早い課外授業って奴だ」
「は?」
そして甲高い轟音が響いてきた。
「これって・・・」
「素晴らしい。ガソリンエンジンと全く同じレスポンス、これなら行けそうです!」
「バイク!」
「このマシンは私も敬愛するレーサーレプリカですが、最新技術で弄ってあります。死ぬ気の炎を燃料に最高速度のアップ、更に対炎レーダーの対策もバッチリなんです!」
「いいかお前等、匣兵器だけじゃなくてこいつも白蘭との戦いの前に乗れるようにするからな」
「いや、白蘭とか関係なしにのりたくなるよ・・・これ・・・・・・」
「関係あるんだぞ。チョイスの戦場となるフィールドは直径十キロ。機動力が要るんだ」
リボーンの言葉に守護者はそれぞれ驚く。と、そこで獄寺が気付いて。
「ですがリボーンさん。オレ達ならともかく、すでに十代目は恐ろしい機動力をお持ちですよ」
「お前はこの状態の奴からバイクを取り上げるのか?」
「・・・・・・」
言われて獄寺が見ると、ツナはバイクの周りをグルグルと回ったり、エンジン付近に耳を近づけて音を聞いたり、随分気に入っていた。
「いえ、何も言いません」
「あ、でも・・・オレ達中学生・・・」
「リボーンさんっ!」
「安心しろ。この時代はのお前達はプラス十歳。ちゃんとこいつが発行されてる」
「ヒャッホォウ!!」
「ほら、またがってみろ」
言われて早速、ツナはバイクにまたがった。
「えーっと確か・・・左手のクラッチを握って・・・左脚のギアを蹴って・・・アクセルを回して・・・クラッチを離す・・・」
ツナは何とかバイクを乗りこなすことができ、それなりに楽しんでいた。