幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
『ということで、僕らを倒したら今度こそ君達の勝利だ。ミルフィオーレはボンゴレに全面降伏するよ』
「白蘭サン!! 力比べって・・・。一体、何を企んでるんですか!!」
『昔正チャンとよくやった。“チョイス”って遊び覚えてるかい?』
「!」
「?」
『あれを現実にやるつもりだよ♪ 細かいことは十日後に発表するから楽しみにしててね♪ それまで一切手は出さないからのんびり休むといい』
「じゃあそうさせて貰うよ。絶対襲ってこないんだな?」
『うん。保証するよ。でも、君達はもう逃げないとね。君達のいるメローネ基地はもうすぐ消えるからさ』
「「「!?」」」
「消える?」
『正しくは基地に仕込まれた超炎リング転送システムによって移動するんだけどね』
「! それって、リングの炎を使ったテレポーテーションシステム・・・? 完成してたのか?」
『まだ、この規模の物体じゃなきゃムリなんだけどね。凄まじいエネルギーと時間がかかるから、一生に一度見られるかどうかだよ。じゃあ、楽しみだね十日後♪』
そして輝きと共にメローネ基地は消滅した。ツナ達がいた研究所を残して。
「うひゃー。基地が消えたよ・・・」
「テレポーテーションってのはスゲーな」
「極限にここはどこだー!!?」
「あ、了平さん。十年前の!」
「彼が来たことで七つのリングがそろい、結界が出来たことで我々は移動しなかった!」
「ボンゴレリングってすごいんだね・・・」
「何言ってやがる。お前の力に合わせてグレードアップを続けるウラヌスリングの方がスゲーに決まってんだろ」
リボーンの言葉にツナは手を打ち、正一は勢い良く振り返った。
「う、ウラヌスリングって何だい?」
「え、あ。このリングです」
「こ、これは・・・底知れないパワー・・・まさか! 綱吉君、君もしかして黒曜でこれに炎を!」
「灯したけど・・・」
「それでリング探知機が爆発したんだ! あー・・・そのせいで色々予定が崩れるし・・・」
「なんかごめんなさい」
「沢田、生きていたか・・・」
拳を握りしめ、感動に震える様子の了平にツナはタジタジになりながら、
「いえ、まぁ・・・。というか俺は死にませんけどね!」
「うむ! そこは心配していない。しかし、これは一体どういう事だ・・・?」
「掻い摘まんで説明しますと、オレ達は今大体十年後の未来にいるんです」
「むっ!? その時点でよく分らんのだが・・・」
「えぇとですね・・・・・・」
ツナがもう少しわかりやすくしないとなーと頭をフル回転させていた時だった。
それが飛んできたのは。
「でッ!」
ツナの頭に勢い良く当たり、手元に落ちてきたそれは、ボンゴレの紋章がついた匣だった。
「この時代のボンゴレ十代目より君達に託された、“ボンゴレ匣”だ」
「おーイテテ・・・」
「あ! 大丈夫かい!?」
「いえ、気にしないでください・・・。ただ側頭部に匣が当たっただけなので・・・」
「結構痛いよね、それ・・・」
『ゔお゙ぉい!!』
「んなっ!?」
ツナの耳をスクアーロの声が叩く。周りのみんなは必死に耳の痛みを我慢するツナに首を傾げた
『ヴァリアーから通信を繋げとの要請です・・・。ミルフィオーレに盗聴される恐れがありますが・・・』
『いいから繋げェ!!』
『怖いから繋ぎますよ! ヘッドフォンの音量に気を付けてください』
『てめーらぁ、生きてんだろーなぁ!!!』
「スクアーロ!」
「っるせーぞ!」
『いいかぁ!! こうなっちまった以上、ボンゴレは一蓮托生だ。てめーらがガキだろ―と・・・』
無線の向こうで何やら鈍い音がする。
『てめっ』
『沢田綱吉』
「!」
「この声・・・」
『乳臭さは抜けたか。十日後にボンゴレが最強だと、証明して見せろ』
「分かった。大人しく座って待ってなよ。XANXUS」
『ッ! ゔお゙ぉい!! そこら辺にまだミルフィオーレがいるんじゃねーだろうなぁ!!』
『シシシ。いねーよ』
『いませんよー』
『ああ? じゃあ今の殺気は!』
「俺だよ俺。沢田綱吉が放ちましたー。よし、八厘でミルフィオーレのボスクラスか。行ける」
ツナはよしっとガッツポーズをして小躍りする。その間にも話は進んでいた。どうやらこの場の全員、ツナの行動は無視する方向で話がまとまっているようだ。
「ツナ、正一に大事なこと聞いてねーぞ。だから踊るのやめろ」
「あ、うん。何?」
「入江正一。お前、オレ達のファミリーになるのか?」
「あ」
「へ? ダメかい?」
「がっ、あっさり・・・っつーかヌケヌケとー!!」
「ウチも行く所がない。雇ってくれ、ボンゴレ」
「あ、そっか。スパナ・・・」
「どうするんだ? ツナ」
「俺かよ!!」
ツナはリボーンの流れるような責任移動にため息をつく。
「心のままに言ってやってください。イヤならイヤと、十代目!」
「え。隼人、もしかして俺の身上忘れた?」
「へ?」
「俺は面白いことをするために生きてる。入江さんには色々されたけど、楽しかったし」
(((楽しかったのか!?)))
「このまま入江さんと手を組んでたら、白蘭と戦えそうだからね。俺はいいよ。これからもよろしく」
「あぁ、こちらこそヨロシク!!」
「スパナも頼むよ」
「んん」
「そうと決まれば僕にはやらなきゃ行けないことが山ほどある!」
「正一、技術的な話なら手伝う」
「ありがとうスパナ! さあ、忙しい十日間になるぞ!」
「じゃあ俺達は白蘭の言葉通りのんびりさせて貰おうかな・・・」
「いいっスね!」
「いいな!」
「お前達は修行だ。ツナは足りすぎてるから休憩できるんだぞ」
「「えぇ!?」」
「アハハ・・・。でもすごかったね。あんな身体能力一体どこで?」
「禁則事項でーす」
「なっ、なんだよそれ! 綱吉君!?」
一通り正一をからかったツナは、そのまま出口に向かって歩き始める。
「さぁみんな。帰ろうよ!」
「「「はい!」」」
ツナ達は一応無事にアジトに帰ることが出来たのだった。