幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活   作:軍曹(K-6)

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第五十六話 真六弔花

怪我をした仲間の治療をしたりしていたところで、リボーンが声を出す。

 

「たった今、ジャンニーニからイタリアの主力戦の情報が入ったぞ。XANXUSが敵の大将を倒したらしい」

「「「「オオッ!!」」」」

「マジっすか!」

「せっかくのニュースに水を差すようだが、喜ぶのはまだ早いな。大将を討っても兵力に圧倒的な差がある。ミルフィオーレが新しい大将を立て長期戦になれば・・・」

「その心配もねーぞ。敵は撤退をし始めたそうだ」

「おおっ」

「え!? ってことは! 勝利じゃないか!」

「まーな」

「これならいける!! ボンゴレの戦力は想像以上だ!! 主力部隊を追い込むなんて!」

「急に興奮しやがって・・・」

 

メローネ基地のみんなが興奮に満ちあふれた時、その声は響いてきた。

 

『いいや。ただの小休止だよ。イタリアの主力戦も、日本のメローネ基地も、すんごい楽しかった』

立体映像(ホログラム)・・・)

「白蘭サン!!」

『ボンゴレの誇る最強部隊の本気が見れちゃったりして、前哨戦としては相当有意義だったよね♪』

(・・・前哨戦。あぁ、まだやる気か)

 

ツナは冷ややかな目で出現したホログラムを見ていた。

 

『メローネ基地で僕を欺こうと必死に演技する正チャンも面白かったなぁ』

「!! じゃあ僕が騙してたのを・・・」

『うん。バレバレだよ。確かにこの戦いを逆に利用して、敵に寝返る計画はよく出来ていたし、正直ボンゴレと手を組むなんて思ってもなかったけど、正チャンがいつか敵になるのは想定の範囲内だったからね。だって昔からずーっと正チャン、僕のすることなすこといつも否定的な目で見てたもん。まさかミルフィオーレのメインコンピューターにウイルスを流し込むなんて思わなかったけどね』

「ウイルス・・・? 何ですか、それ・・・」

『あれ、知らないの? 一度本部の全システムが乗っ取られたんだけどね、もう取り戻してウイルスも駆除したよ』

「くっ・・・クククッ」

 

ツナは堪えきれなかった笑いが漏れ出した。いぶかしげな表情で全員から見られるが、ツナは笑うことをやめない。

 

「www・・・なぁ、()()()()()()()()()()()()()のか?」

『沢田綱吉クン。それはどういう事か―――。「はいはいはーい! 水面下での工作終了でーっす! 電脳少女ことエネちゃん復活!!」』

 

白蘭のホログラムがぶれたと思ったら、彼の傍にフヨフヨと浮かぶ青い少女が現われた。

 

「この声・・・アジトのメインコンピューターをハッキングした!」

『正解、正解。その通り! ずーっと水面下で情報抜き取ってたのにミルフィオーレの皆さん気付かないんですもん。私としてはつまらなかったんで、一度暴れたらもの凄い抵抗してくれましてね? 面白いもんだから気取られないように気配を消して行動を再開したらあら不思議。喜びの舞いを踊って平常運転に戻っちゃいました! 傑作でしたよwww』

「ミルフィオーレのメインコンピューターと技術者をそんな簡単に欺くなんて・・・」

『へぇ・・・生きてたんだ。というか、人間味のあるウイルスだね。見た目もまるで本当の女の子みたいだ』

『当たり前です! なんて言ったって私は、超絶プリティ電脳ガールなんですから!』

「あの少女、何者・・・!?」

「恐らくツナが知ってんだろ」

「え? あ、うん。知ってるよ」

「「「「「?!」」」」」

「彼女はエネ。彼女の本当の肉体はちゃんと現実にあって、そこからパソコンを通して全世界のありとあらゆる電脳世界を飛び回れるのが特徴。彼女にとってコンピューターのセキュリティはゲーム感覚で倒せるスライムだって」

『ご主人のためですからね! まぁ、最も張り切るまもなくあっさりと突破できたので不完全燃焼だったんですよ! で、なんか敵の大将がちょー格好つけてるじゃないですか! 思いっきり邪魔してやろうと登場した次第ですっ! っていうかいい加減ゴキブリのように湧いてでてくるのやめてくれません? いちいち潰すのも面倒なんですけど』

『ホント、君厄介だね。何で君ボンゴレにいるの? ウチに来ない?』

『断ります。ご主人がいる所に私ありですから!』

『ふーん。じゃあ、そのご主人とやらを消せばいいのか』

『ご主人を相手に? 無謀すぎですよwww。それこそ無謀です』

 

エネは空中を泳ぐように飛び回ると、光の粒子になって消えた。

 

『アハハ。とっても愉快な子だったね。誰がご主人かハッキリさせて、僕に従順して貰わなきゃ。さ、てと。そろそろちゃんとやろーよ。沢田綱吉クン率いるボンゴレファミリーと、僕のミルフィオーレファミリーとの正式な力比べをね』

(正式な力比べ・・・? ・・・ん? メール?)

『もちろん7³をかけて、時期的にもピッタリなんだ。正ちゃんやこの古い世界とのお別れ会と、新世界を祝うセレモニーにさ♪』

「何お前、もしかして「僕は新世界の神になる」とでも言うつもり? やめときなって、各地にマーレリングが散らばってる状況でどうやって戦うと?」

『う~ん。ま、それが本物ならね』

「分かってたけど偽物か・・・」

 

ツナはかすかに笑っていた。

 

『もちろんそれもランクAのスゴイ石なんだよ? 7³はもっと特別なの』

「って事は他にいるわけだ」

『そ。紹介するね。彼等が本物のミルフィオーレ六人の守護者。(リアル)六弔花♪』

「「「リ・・・真六弔花!?」」」

(まーた中二病くさい名前が・・・)

『んん。彼等こそが僕が新世界を創るために選んだ真のマーレリング保持者にして僕の本当の守護者達だよ』

「知らないぞ!! 僕が知らない人間がミルフィオーレにいたなんて!!」

『正チャンに心配事増やすとメンドくさいからね。僕はこう考えたんだ。ただ腕っ節の強い人間を選んでもたかがしれてる。なぜならリングの力の要はより強い覚悟だからね。そこで、強い上に常人離れした“覚悟”を持った人間を世界中から捜し回ったんだ。しかもその「覚悟」が僕への「忠誠」になり得る人間をね。世界は広いよねー。おかげで彼等と出会えたよ。例えば彼は・・・ご覧のように大自然に恵まれた大変美しい故郷の出身なんだけど、「覚悟を見せてくれないか?」って言った途端。故郷を捨ててくれたよ』

 

そう言った直後にモニターに映ったのは火山が噴火し森が焼け付くとても同一の場所とは思えない光景だった。

 

「まるで地獄絵図だな」

「こんなことが・・・」

『怖いよねー。ここまでアッという間だよ。まさか僕への忠誠を示すために、生まれ育った木も山も村も村人も全部消してくるとは思わないじゃん』

(思っとけよ・・・)

「・・・ツナの方が良心的だな・・・」

「・・・ええ、一撃で地殻ごと吹き飛ばしてくれる方が、精神衛生的にいいっス」

「吹き出したマグマの中になにかいるよ」

 

ツナのその言葉に白蘭は笑顔になると、映像をズームしてくれた。

 

「何だ?」

「動物・・・?」

「「!!」」

「奴だ!」

「口笛を吹いてる!」

「マグマの風呂にでも入ってるつもりか!」

「ありえない・・・。のに、何故獄寺氏達はそんなに落ち着いて・・・?」

「いやぁ・・・だってさ・・・」

「宇宙空間の零気圧の中余裕の表情で手を振るのがウチのボスだからだぞ」

「「「「「!?!」」」」」

「いやいやいや。それは流石に」

「え゙!? ・・・みんな、出来ないの・・・?」

「出来ねーって前もいっただろうが馬鹿ツナ!」

「イテッ!」

 

ツナとリボーンがいつものを繰り広げている隣で、話はどんどん進んでいった。


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