幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
X BURNERによって様々なものが無くなった空間で、入江正一の声が通信機から響いていた。
『ジンジャー!! アイリス!! ・・・あまり期待は出来ないが・・・、もし無事なら応答してくれ』
「やぁ、入江正一クン♪」
『!!』(この声・・・!!)
「何か色々策を巡らせてるみたいだけど、もう全部終わりにしようよ。じゃあね♪」
ツナはそう言うと通信機を握り潰した。
一方で、匣実験場で入れ替わった雲雀恭弥が予想以上の善戦をしていた。まぁ、当たり前だろう。雲雀は幻騎士の剣技を超える速度と動きのツナの愛気を何度か捌いている。大抵雲雀が仕掛けてツナが反撃するのが一連の流れだが、その反撃を見切ることが出来るほどに彼は成長していた。
だが、匣の起こす幻術には対抗する術がなく匣兵器の暴走が起きてしまった。
「・・・ツナ、草壁から緊急通信が入ったぞ」
「なんて?」
「十年前の雲雀が研究所近くで戦っているらしい」
「あ、じゃあ心配ないね」
「そーか?」
「うん。だってあの人ついこの間には俺の愛気、居合い払いに対抗して見せたからね」
「・・・化け物か」
「かもね。でも、まだ負けるつもりはないよ。俺も更に上があるしね」
「まだあんのか」
「あるよ。奥の手は最後の最後までとっとかないと。じゃ、研究所に向かおうか」
「ウチも連れてけ。ボンゴレ」
「え?」
「X BURNER用コンタクトはデリケートなんだ。ウチにしかメンテナンスは出来ない。それに、足手まといにはならない」
準備が出来た彼等は、ツナの機動力で出発した。
「大丈夫か? スパナ」
「問題ない」
第四ドックから大分進んで。
「リボーン。研究所はまだ?」
「ああ。直線ルートならすぐなんだが入り組んでてな」
「X BURNERで道を作るか?」
「それは最終手段だ」
と、目の前で仕掛けが作動し、行き止まりとなってしまう。
「・・・すごいさすが正一らしい仕掛けだ」
「邪魔」
かなり厚い壁なのだが、ツナの拳は簡単に粉砕した。
「相変わらず規格外なヤツだな。ツナ」
「そもそも俺規格の奴なんているの?」
「いねーな」
と、さらに上からブロック状のなにかが大量に落ちてきた。
「はぁ。連続普通のパンチ」
左手で撃ち出された連撃は、そのブロックを上方に吹き飛ばし、次の仕掛けのハエトリソウを殺した。
「あ、これまた落ちてくるな・・・」
再度今度は右手で繰り出された連撃は、ブロックを粉々に粉砕する。
その後、ミサイルに追い回されたりしたが、ツナはたいして気にしていなかった。と、気も抜けないまま前方からロケットが飛んできた。
それに対してツナは拳を握ったが、そのロケットは直前で何分割にも分かれると、最後にはトビウオになって襲いかかってきた。
「え。何それ面倒くさい」
トビウオを回避するためにスパナを切り離したツナは、剣を持った男に襲われた。
「ここは通行止めだ。研究所には指一本触れることも敵わぬ」
「幻覚を使うみてーだな」
「・・・あ・・・。ボンゴレ!! そいつが六弔花の幻騎士だ!」
「何でここに? みんなと戦ってるんじゃ・・・」
「・・・みんな? 貴様の守護者のことか。中々手こずったが奴らは今頃、藻屑と化しているだろう」
「あ、そう」
ツナはそう言うと、ハイパーモードを解除して地面に降り立った。
「諦めたか」
「ああ。ハイパーモードで戦うのを諦めた」
言いながらツナは、ウラヌスリングとボンゴレリング手袋も外してポケットにしまう。
「だってこうなったら、どっちが勝つかなんて
「そうだな」
次の瞬間、ツナの体が消えた。幻騎士が驚き気付くと、宙に浮いていたはずの彼の体にツナが接近しており、超強力な拳を叩き込まれた。
「来いよド三流。俺とお前の、格の違いってのを見せてやる」
「な、めるなァ!!」
一体どうやっているのか。恐らく円形状のこの部屋の壁を蹴って移動しているのだろうが、それを差し引いてもツナの動きは異常だった。空中で停止したり、加速したりまるで空中に地面があるかのように動いていた。
「本来の俺の戦い方は死ぬ気の炎とか、匣兵器とかじゃない。純粋な拳の肉弾戦だ」
質量を持った残像の拳“連続普通のパンチ”
それの両手版“両手連続普通のパンチ”
ツナが出す前に「必殺マジシリーズ」と言う、恐らくそれなりの全力技。
リボーンが知るだけでも技のレパートリーがあるとは言えないツナの技術。だが、
「神宿る拳を掲げ、突き進め。いつか敗北に辛酸を嘗めるまで、闘え。孤独な
「・・・・・・何。それ」
「ツナが言ってた言葉だ。何でも昔、知り合いから聞いたらしい。まさにツナにうってつけの言葉だって言われてな」
「神宿る拳・・・」
幻騎士相手に全力すら出さず、ツナは戦っていた。
「
「ッ・・・!」
ツナは楽しそうな言葉とは裏腹に、ツナの眉間には皺が寄っていた。
「もう、終わりにしよう・・・」
「まだだ!」
「終わりだよ」
いつの間にかツナはボンゴレリングもウラヌスリングもはめ直し、手袋を着けてハイパーモードになっていた。そして、煌々と輝くその両手を水平に持ってくる。
「時間を稼ぎやがった」
『ライトバーナー炎圧再上昇』
「!! あの炎の逆噴射!!」
『二十三万・・・二十四万・・・更に上昇!! レッドゾーン突入です!! もっと出せるように設定しておけよコラァ!!』
「・・・エネ」
「に・・・二十万オーバー? ・・・ウソだろ? 想定した最大出力を超えてる!!」
『レフトバーナー炎圧再上昇。二十三万・・・二十四万・・・、レッドゾーン突入!!』
「コンタクトは大丈夫なのか!!」
「それよりボンゴレの体が・・・・・・、あの炎圧に持つのか・・・」
「ツナだし、大丈夫じゃね」
『ゲージシンメトリー!! 発射スタンバイ!!』
「ういー」
軽い調子でツナはその手から剛炎を撃ち出した。