幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
獄寺・山本・クローム、突撃隊メンバー一応の修行は完了し、いつでも突撃は可能という状態になっていた。
ちなみに、数日前にγ達は解放している。ツナが約束をしたのだ。向こうの“姫”を絶対に助けると。ただ向こうの戦力として戦っても良いし、何もしなくてもいい。本当の意味での解放だった。
「さて、みんな大丈夫?」
「ええ」
「おう」
「うん」
「じゃあ説明するわよ。敵のアジトは並盛の地下ショッピングモールにある。そのショッピングモールにあるダクトのいくつかが不自然だったのよ。それが雲雀のところに流れ込んだミルフィオーレアジトのダクトの位置と一致。二つの図面を重ね合わせる事で、敵アジトの正確な位置を把握済み。そして、地下駐車場の発電室ダクトから潜るのがベストよ」
「分かった」
「では、次に私の方から装備の説明をします。まずは“オートマモンチェーンリングカバー”。長い名前ですが、要は使わない時に自動的にリングの力を封じ、敵から探知されにくくなる機能を搭載しています。そして特別製の無線機、一斉に送受信両方の周波数が変化するので盗聴の心配もありませんし、機器同士の周波数は寸分違わずに同調変化しますから音質もクリアなのです!!」
「レオンからもプレゼントがあるぞ。レオンの体内で生成された死ぬ気の炎に強い糸で縫ったシャツだ。・・・ツナは要らねーだろ?」
「まぁ、そうだけどさ・・・」
ツナは自らの先生の自分に対する信頼がどこか別の方向へ飛んで言ってるような気がして、思わずため息をついた。
「じゃあとりあえず、俺達が本隊と思わせて凪と雲雀さん達があの白くて丸い装置のところに迅速に向かう。そういう手順で良い・・・んだよね?」
「ああ。暴れてこい」
「リボーン! 良いのか!?」
「ツナが静かにジッとしていられるわけねーだろ。特にこういう場合はな」
「やっぱり酷い事言ってるよね。リボーン・・・」
「ボス、この地図の通りに行けば良いの?」
「ん? そうそう、いざとなったら床や壁を無視して進めば良いし。それに、凪なら大丈夫」
「うん・・・!」
その作戦会議の日の夜、ボンゴレアジトの倉庫予定地にミルフィオーレが攻めてきたのでツナ達はミルフィオーレアジトの方へ突撃することになった。
ショッピングモールまで見送りに来てくれたビアンキに子ども達を任せ、囮役のツナ、獄寺、山本、了平、ラルの五名はダクトの中へ消えていった。
「地下三階のC5ポイント、第二格納庫の上だ。よし、図面通りだな。このまま中央の施設を目指すぞ」
「面倒臭くなってきたな・・・」
「おい、バカを言うな」
「だって、凪に暴れるから堂々と侵入しろって言ってきたんだよ? じゃあ暴れなきゃ」
「・・・・・・ハァ」
「武~。一発やっちゃって」
「おう」
その場に斬撃音が響き、ダクトが細切れになった。綺麗に着地したツナはみんなの無事を目線で確認していた。
「ハァ~~~。モグラでなく人間のガキだ~」
「でけっ!」
「デカいねぇ・・・」
「筋肉モリモリっすね」
「マッチョマンの変態って奴な」
「方法は?」
「瞬殺でいいんじゃないっすか?」
「見てらんねーのな」
「んじゃそれで」
その言葉のすぐ後、ツナは容赦なく剛の炎を撃ち込んだのだった。
「よしっ。
「施設破壊に入る前に、この奥にある警備システムサーバを破壊するんだったな」
「そうだ。警備システムをダウンさせれば、基地内の索敵能力をマヒさせることが出来る。その機に乗じて主要施設の破壊と、入江正一への奇襲をする」
「奇襲・・・ねぇ」
「十代目、まさか。『真っ正面から叩き潰した方が早くない?』とか考えてません?」
「お、良く分かったね」
「やめておけ沢田。いくら想定より基地内の敵の数が少ないとは言え、それは洒落にならん」
「まぁ、確かに。俺達五人がそろって移動できるならまだしも、もし分断とかされちゃったら意味ないしね・・・」
「分断? どうやって」
「そりゃこのパズルでに決まってるじゃんっ!」
「「「「パズル?」」」」
「この地図を見て。どこで区切っても綺麗な正方形になってる。恐らくこれはパズルの匣。基地全体がゴゴゴと動いて―――」
「よし、行くぞー」
「はいっす」
「あ、ちょっ! 待ってよ!」
慌ててツナはみんなを追いかけた。
と、次の一本道で
が、もちろんツナが正直に戦うはずもなく、亜音速で残像すら残さず一本道を通り抜け警備システムのある部屋まで辿り着いていた。
「さてさて、頼んだよラル・ミルチ。原作通りになってくれ~。俺がいないのに気付いてもどうしようもないだろうし。さて、このメローネ基地を通して、ミルフィオーレの全世界のアジトに俺の相棒を送り込んでやろ・・・っと」
ツナは鼻歌を歌いながら警備システムのコンピューターに影から取り出した一つのタブレットPCを繋ぐ。
「・・・さて、起きてるか? 仕事だ“ENE”」
『突然の仕事ですねぇ。以前は何でしたっけ? 古里真とその家族の回復でしたっけ? で? 今回の
「警備システムを通してこの基地の全コンピューターの掌握、それが終わったら全世界のミルフィオーレの基地をよろしく」
『え? 何ですかそれ、寝てても出来るんじゃないですか?』
「まぁ、得意分野だろ?」
『ええ。任せてください。私に電脳世界のことで勝てる奴なんかいませんからね』
「じゃあ、頼んだぜ」
『お任せください。
電脳世界。それは0と1で構成された宇宙のような空間。そこに存在する
―――電脳世界。
「さーて。私のご主人からのオーダーですから、派手に行きますよ」
メローネ基地内の警備システムのコンピューターのとあるデータベースから彼女の侵攻は始まる。
青い少女、エネはその両手に454カスールカスタムオートマティックと、ジャッカルを握って駆け出した。