幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
「《XグローブVer.V.R.》って言った所かな」
「この時代の沢田は指に装着したリングを手の甲に宿し、力を引き出していたという・・・。それが、まさか試練の末の形態だったとはな」
「俺もあまり自信はなかったけどな。飛躍的なパワーアップと言われて、この伝説の試練くらいしか思いつかなかった、というのが正直なところだ。もっとも、
ツナがグローブに力を込めると、澄んだオレンジ色をした綺麗な炎が燃え上がる。
「ワオ。少しだけ、僕の知ってる君に似てきたかな。赤ん坊と同じで僕をワクワクさせる君にね」
「一緒にしないでくれるかな。そのダメツナとさ」
「・・・ここから先は好きにして良いんだろ? 赤ん坊」
「ああ・・・・・・。そういう約束だからな」
「じゃあ。始めようか」
雲雀は懐から匣兵器を取り出し、そこに雲の炎を注ぎ込む。そうして開いた匣兵器から出てきたのは、紫の炎をまとったトンファー。そのトンファーを構えた雲雀から、凄まじい殺気が放たれる。
「ふーん」
「ひっ」
「なっ」(なんて炎!! ・・・・・・いや殺気!! 今まで抑えていたというのか・・・!! これが、雲雀恭弥!!)
「この闘いにルールはない。君に選べるのは、僕に勝つか・・・・・・死ぬかだけだ」
「じゃあ雲雀さんも死ぬ覚悟はあるんですよね?」
そう言ったツナから重力が放たれた。巨大な手で上から押さえつけられるような感覚。だがそれは、
(ツナの・・・殺気!)
「へぇ。やっぱり時間軸が違うとそこまで違うものなんだ」
「当たり前です。しかし雲雀さんも成長したんですね。十年前は何度かこの殺気だけで沈んだというのに」
「ワオ。誰それ」
「ま、これ以上強くすると
ちなみに、Ver.ボンゴレリングよりずっとピーキーな特性のVer.ウラヌスリングに慣れているツナからしてみれば、この程度はじゃじゃ馬の内にも入らない。
そして、そんな会話の最中にもツナは動いていた。
「よし。特性は掴んだので、さ。瞬殺ですよ!」
「やれるものならね」
その場に炎の形跡を残してツナの姿がかき消える。そして、視認できなくなった。
「・・・ツナの奴、所々で自分の足で加速してるな」
「・・・? どういう事だ?」
「よーく耳をすませてみな」
「・・・・・・・・・」
ほとんど音がしないトレーニングルームの中に、小さな足音が所々で混じる。
「!?」
「アイツは死ぬ気の炎も使わず、肉体一つで音速を叩き出す。この勝負、俺達の世界の雲雀ならどうなったかしらねーが。こっちのヒバリにツナが負けるわけがねー」
「それを分かってて、好きにさせたのか!」
その言葉のすぐ後には、トレーニングルームの床をヘコませる一撃をモロにくらい雲雀は床に倒れていた。
「ほらな」
「・・・」
「リボーン。ちょっと提案があるんだけど!」
「何だ?」
「ちょっと一人で練習しててもいい? 久しぶりに
「・・・・・・(汗) ちょっと待て、ジャンニーニに一番硬いトレーニングルームを聞いてみる・・・」
「あ、うん・・・・・・」
と、数分後にツナが連れられてきたのは、先程までいたのとは二回り程小さいトレーニングルーム。
「ここは匣兵器などの試運転も兼ねてますので、死ぬ気の炎のコーティングもしてあります。十分暴れられるかと」
「うん。それだけ分かれば十分だよ」
そう言ったツナは、魔術を使い部屋を囲う金属をとある少女達と合同で作り上げた
「さて、じゃあ視てることだろうし正真正銘俺の本気でやるかな・・・付き合ってくれるよね? 扇ちゃん」
「・・・もちろん。私が先輩の頼みを断るわけがないじゃないですか」
「一応僕も出ておくよ。万が一もあるしね」
「ん。頼む」
そしてツナはその姿を上条当麻に戻すと、忍野扇と向かい合う。
「さぁ、扇ちゃん。やろうか」
「ええ。言っておきますが、私も強くなりましたよ?」
「はいはい」
そして、二人の人外がぶつかった。
「うっはー。相変わらず二人の戦闘は激しいね・・・。カリキュレイト=フォートレスにしていなかったら位置バレしてたかもね」
「「連続普通のパンチ」」
「これカメラ捉え切れてないだろうな・・・。何が起っているのか分かるのは間近にいる僕と、当の本人達だけだろうね」
二人の人外の攻撃は空気を叩き潰し衝撃波を生む。その衝撃波単体でも地球を割ることができる威力だというのに、演算型・衝撃拡散性複合素材はその衝撃までも零にしてしまった。
凄まじい速度と力の拳と蹴り。死ぬ気の炎や現代兵器。様々なものがぶつかり混沌とした空間を作り出す。
「「・・・フッ。CHAOSだな」」
上条と扇は口を揃えてそう言った。科学と魔術、炎と冷気、拳と蹴り。様々な力がぶつかり立ったカオス空間で三人の人外は笑っていた。
「いや、僕は確かに人外だけど。彼等を視てると認識を改めざるおえなくなる。僕は人外・・・彼等は人の身に甘んじてる神様だと思うよ」
「クハハ」
「はっはー」
「「必殺マジシリーズ」」
「お、こりゃマズいかも。対象を防御するスキル「
人外の二人の両拳に力が溜まっていく。
「「両手連続マジ殴り!」」
「うおっ! 僕を守り忘れた。まぁ、いいか。僕は死なないよ「
そして、部屋の中のカメラは壊れ、壊れる直前に拾った音だけがアジト内に響いた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「ふぅっ。何とかなったみたいでよかったぜ」
「・・・つ」
「・・・疲れましたね・・・」
「はぁー・・・、久しぶりに全力で体動かしたぜっ」
上条と扇は隣り合って寝転がる。
「記憶が飛んでるみたいだから報告しとくけど、一時間程戦っていたからね。君達は」
「「WoW」」
二人の少女が影の中に戻ると、体を沢田綱吉に戻してから少年はトレーニングルームから出て行った。