幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活   作:軍曹(K-6)

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第四十一話 覚悟とリングの力

「ミルフィオーレのブラックスペル」

「ブラック・・・スペル・・・?」

「京子ちゃん達もあそこにいるんだよね?」

「いくぜ! ボンゴレリングからマモンチェーンをはずせ!」

「「!!」」

 

ツナと獄寺はとりあえず言われた通り行動する。

 

「じゃあオイラがもらう! 手ェ出すなよ、太猿兄貴」

「しっかりやれよ野猿」

「くっ」

「うわああん!!」

「うろたえないでランボ!! 京子さんとハルさんをお願い!!」

「その体じゃ無茶だよイーピン!!」

「へっへー」

 

野猿は匣兵器から死神の持つ鎌を取り出した。

 

「じゃあ行くぜ! オイラの得物達!! ショアッ」

 

野猿が鎌を振るい、死ぬ気の炎を飛ばす。が、その攻撃が拡散されたエネルギーに吹き飛ばされる。

 

「十代目。どーっスか? この赤炎の矢(フレイムアロー)の威力」

「うん。純粋にすごいと思うよ」

「兄貴。誰だこいつら」

「抹殺者リストに載ってたかも知んねーが、消えていく人間をいちいち覚えちゃいねーな」

「だよなっ!」

 

山本が獄寺に変わり戦う。経験の差か、ツナ達の知る山本とは似ても似つかないその洗練された腕に、ツナは安心して任せられると思い、みんなの方へ駆けていく。

 

「みんな大丈夫?」

「しっかりしろよ」

「ボンゴレ! 獄寺氏も!」

「だから言ったじゃないですか。絶対ツナさん達が助けに来てくれるって」

「おぉ・・・十年後ハル・・・」

「はひ? 何だかハル・・・。急に背が伸びたみたいです!」

(中身は成長してないようで・・・)

「・・・・・・! あれ? た、大変! 京子さんがいない!」

「え!!」

「もしかしたら・・・、さっきの爆風で・・・!」

「探してくるよ」

 

ツナは京子を探しにその場から消える。最も消えたように速く動いただけなのだが。

 

「前言撤回だ野猿。くだらん雑用任務に転がり込んだ久々の大物。見逃す手はねぇ。手を貸すぜ」

 

再度攻撃が始まった。

 

 

「京子ちゃーん? 笹川京子さーん?」

 

ツナは倉庫の中をキョロキョロと探す。

 

「京子さーん・・・?」

「あ」

「お」

「ありがとう。来てくれたんだね、ツっ君」

(ツっ君? どれだけ仲良くなってるのこの時間軸・・・)

「ごめん・・・。私足くじいちゃった」

「え? そりゃ大変だ」

「・・・あれ? なんだろう。何か幼くて懐かしい感じがする」

「とりこぼしは無しだぜ」

 

京子(天然)がいたことでほのぼのした空間だった場所に、野太い男の声がする。

 

「なぁに、すぐに済むさ。雨の守護者(メインディッシュ)を待たせらんねーからな」

「・・・・・・!!」

「下がってて」

「ツっ君・・・」

「やらせはせん。やらせはせんぞっ!」

 

ツナが格好付けた時、後ろで音がする。

 

「へ?」

「ツナ君・・・?」

「あ、え!?」

「ツナ君だ! よかったー。みんなで探してたんだよ。リボーン君と獄寺君も。あれ? ここ、どこだろ・・・?」

 

と、そこに炎の刃が飛んでくる。

 

「少し後ろに!」

「う、うん!」

 

その一瞬で立ち位置が変わり、ツナが身を挺してその炎の刃から京子を守った。

 

「ツナ・・・君」

「はっ! 痛くも痒くもねーな・・・」

「ほう。その炎の色は大空の属性・・・、なかなかのレアだぞ小僧。だがタラタラと相手してやるつもりはない。向こうに雨の守護者ってでけー得物を、待たせてるんでなぁ」

「あぁ、こっちも長く戦うわけにはいかないさ」

「まさか勝つつもりか?」

「当たり前だ」

「格好つけたいお年頃か、小僧!」

 

そう言って、太猿は炎の刃を放つ。それをツナは死ぬ気の零地点突破 改で受け止める。

 

「好きな女の子を守るって言う状況でぐらい、格好つけたっていいだろう?」

 

ツナはそう言って大空のリングに死ぬ気の炎を灯した。

 

(炎が変わりやがった・・・。ただデカくなったんじゃねぇ・・・、純度の高い大空の炎になっている・・・。経験で分かる。あーゆーのはやべぇ・・・)

「怖じ気づいたか?」

「ぬっ!! ふざけるな!! 女と炎は使いようだ!! テメーのようなうるせーハエには、殺虫剤をまくだけだ!」

 

匣兵器から高速回転する飛来物が飛んでくる。それをツナは飛んでかわすが、ホーミングのようでツナを執拗に追い回す。

 

「逃げ切れるものか!! 黒手裏剣(ダークスライサー)はお前だけを貫くぞ!!」

 

逃げるようにして、その場に残した炎に反応するそれを見て、ツナは答えに辿り着く。

 

「炎に反応する・・・。まさに追尾ミサイルだな」

「その通り!! お前の発するようなデカい炎のみを追尾し、炎を吸収する度に加速する!! そしてしまいには目標物の1.5倍の速度に達する!! 回避は不可能だ!!!」

「―――ねぇ。誰に説明してるの?」

「なっ!?」

 

太猿が慌てて振り向くと、簡略化された髑髏が描かれた紋章(ゼブル・エンブレム)の上に立つツナがいた。

 

「バカなっ!」

「思った通り、炎を消したら追ってこなくなったよ。流石に光速までは着いてこられないみたいだし」

 

そして、ツナはその手を太猿に向けてのばす。その手からは冷気が漂っていた。

 

「―――ッ! バカな!! ほ・・・、炎を・・・。凍らせるなど!! こ・・・・・・、これではまるで噂に聞いたボンゴレ十代目・・・!! 貴様何者だ!!!」

 

死ぬ気状態じゃないにしろ、零地点突破は元から使えていたツナは、振り下ろされた鎌を凍らせる。

 

「のわっ!!」

「並盛中学校二年A組、沢田綱吉。ボンゴレ十代目(仮)だ」

「ぬおぉ!!」

「連続 普通のパンチ」

 

そして、ツナ達は。気絶した彼らを捕虜として捕まえた。

 

「・・・なんで捕虜として捕まえるんすか? 十代目」

「敵から有益な情報を得るっていうのは、いつの日も常套手段なんだよ? 獄寺君」

「ですが」

「拷問なら任せて! 口答えする度に下半身からゆっくり、ゆっくりと凍らせていって・・・くふふ」

「十代目、楽しそうですね!」

「でしょ!? 何かこっちが悪者みたいだけどな!」

「よっしゃ。そうと決まりゃ抵抗出来ないように、リングや匣兵器も根こそぎ取り上げときましょう!」

 

二人がワイワイやっている後ろで、山本達は何が何だか分からないといった様子だった。


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