幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
小学一年生の頃。
ツナはイタリアへ真に会いに飛んでいた。
(あー久しぶりだなー。今回はいよいよ! 新居に招かれて炎真に会えるんだよな。うん、楽しみだ)
そんな事を考えながら空港を出たツナは、地図を貰っていたので新居へと赴く。
途中途中で全力疾走したのは良い思い出らしい。
「ここ・・・だな」
ノックをしようと扉に手を伸ばすと、鍵が開いている事に気付いて。
中から音がすることに気付いて。ツナは、慌ててドアを蹴り飛ばして中に入る。
まずは一人目と二人目。真の奥さん。たしか・・・美恵さんだったか。まだ息があるのを確認して、肉体的な怪我を妖術を使ってゼロにする。
「おじさん!! ・・・おとう・・・・・・さん?」
「お? ツナ! 大丈夫か? いや、父さんもびっくりしてなー」
「逃げろ・・・ツナ君逃げろ!!」
「おじさん? おとうさん?」
「大丈夫だツナ。もうすぐ医者が来る」
「おじさん助かるの?」
「もちろんだ」
ツナは笑顔で顔を上げると、子供とは思えない殺気に包まれた声でこう言った。
「助ける気もないに良くそんな事が言えるなD」
そして、素手の状態でX BURNERを放った。
「ぐっ!?」
「ゾンビみたいに長生きしやがって。いい加減成仏しろよクソ霧が」
「おやおや、これは驚きましたねぇ。私の幻術を見破るとは・・・その姿と言い、初代霧の守護者の名を知っているといい、貴方は何者なんでしょうねえ?」
「沢田綱吉。アンタが成り代わってたクソ野郎の(不本意だが)息子だよ」
ツナはそのまま額と両拳に炎を灯すと、満身の力を込めて。Dの肉体の一部に強撃を加えた。
「ッッ!!?」
そこはもちろん、男としては狙われたらお終いな部位で、まあ、つまり、股間であった。
「ッ! ヌフフフフ・・・! これは・・・ん・・・これは手酷く・・・やられました・・・っ・・・貴方と今戦うのは分が悪い・・・お暇させて・・・もらいましょう・・・!」
「・・・待てよD!!」
なんてことを言ってみたが、今のツナに彼を追う気は全くない。すぐさま踵を返し、真へ駆け寄る。
「おじさん、大丈夫!?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
「・・・馬鹿言ってんじゃねー。エネ!!」
「了解ですご主人!!」
虚空から現われた青いジャージ姿の少女。エネは真に近づくとその体に触れる。
「ちょっと体中が痒くなりますよー」
「は? え?」
(あ、奥さん気絶してたから何も言わなかったけど、細胞を無理矢理活性化させて自己治癒力を上げてるから痒くなるのか)
ツナはそう思い当たると、一応救急車を呼んでおく。
それから一夜経って。
「命に別状は見られませんが、一応一晩泊まって行きなさい」
という医者のありがたい御言葉によって、古里家は一部屋に固まって入院していた。
「いやいや。助かったよツナヨシ君」
「あ、お礼ならエネに」
「ご主人が助けてって言うから私は助けたんです。ご主人がお礼言われてください」
「・・・・・・じゃあ、おじさん。あの時見ず知らずの俺を雨宿りさせてくれたお礼と、今後の付き合いの貸しという事で」
「・・・アハハ! いいよ。その代わり、ほら、炎真」
「初めまして」
「初めまして。俺、綱吉!」
「ぼ、僕炎真」
「わたし真美!」
「よろしく!」
「よろしく・・・」
「よろしく!」
何だかんだで、予定通り古里炎真と仲良くなり、父親も母親も救う事が出来たツナだった。
「ツナ兄!」
「いや、真美ちゃんのお兄ちゃんは炎真でしょ」
「ツナ君・・・」
「ね。炎真も何か言ってあげて」
「真美をよろしく・・・?」
「・・・・・・。真!! 炎真に何を教えたぁあぁああ!!」
「いやーツナヨシ君怖いなー」
はっはーと笑いながら聞き流す真と、炎真の教育について強く語るツナの姿がそこにはあった。
「・・・エネ姉!」
「お、私はお姉ちゃんですか?」
「あー・・・はいはい」
大人っぽいツナに誰も突っ込まない恐怖。
ツッコミの重要性は計り知れません。