幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
「あ、獄寺君?」
「十代目!」
「はいはい。綱吉さんです」
「・・・おちついて、いらっしゃいますね?」
その言葉にツナは確信を一つ持つ、そもそも
「まぁね。・・・もしかして。ひとつ聞いてもいい?」
「は、はい。なんでも」
「六道骸ってどんな奴?」
「・・・守護者ですけど。マフィアを恨んでる。そんな男です・・・?」
「あ、なるほど。これは平行世界だわ」
「へいこ・・・?」
(そもそも。『マーレの大空と甘味を仲良く食べた過去』がある時点でこの事件ないと思ってたんだけど、そうか・・・平行世界に飛ばしてきたか・・・)
どうも自分の暮らしていた時間軸とはかなり違う歴史を刻んでいると知り、ツナは余計なことを口にしない方が良いと判断する。
「いいですか、十代目。過去に帰ったら、この男を探してください」
「へ?」(正一君大人っぽくなったなー・・・)
「こいつさえいなければ・・・ミルフィオーレも・・・白蘭もこれほどまでには・・・・・・」
「白蘭・・・」(マーレの大空ってそんな名前だったよね。ビャクラン)
「次に念のためですが・・・」
「獄寺君」
「な、何でしょう」
「ありがとう。そんなになるまで俺の事心配してくれてたんでしょ? 大丈夫。俺が何とかするから」
「十、代目っ!」
と、そこで目の前の獄寺が煙に包まれる。
「十代目ぇ・・・?」
「獄寺君・・・」
「あ。十代目も十年後に来てたんですか・・・」
「同じ時間軸かな?」
「?」
「獄寺君。俺の拳は?」
「空気も潰しますっ!」
「うん。同じ時間軸だ」
ツナは納得したように頷くが、どうも獄寺は理解できていないようで、
「何が起ってるんですか?」
「えーっとね。ここは違う過去から派生した未来・・・所謂平行世界ってヤツなんだよ」
「はぁ・・・なるほど」
「この状況。一言で言うと
「カオス・・・ですね」
ツナはお腹が減ったのか、影の中からパンを出して食べ始める。
「しかし、ここ・・・どこなんスかね」
「並盛じゃない? ってか並盛希望」
「日本じゃないってことも考えられますね」
「外国かぁ・・・」
「・・・やはり」
「! 誰だ!」
(誰だ! 誰だ~♪ なんて言ったら怒られるよね)
「初めまして、さようなら」
「ん?」
「敵!! 十代目!! 下がってください。ここは俺に!」
「じゃ、未来での力量試しと行こうよ!」
ツナは軽くそう言って、バックステップでその場を離脱する。獄寺はダイナマイトで攻撃をするが、攻撃を返され。さらに拘束された。
「おーい。獄寺君大丈夫?」
「すみません・・・」
「やはりリングを使いこなせないのか・・・。宝の持ち腐れだな」
「リングを使いこなす・・・?」
「何それ」
「オレを恨むな。死ね」
「お前が死ねよ。もう」
ツナはそう言って、相手と一気に距離を詰める。そして力を最大限に抜いた手刀を叩き込んだ。
「ゔっ」
「よっと」
「ぐぅっ」
「・・・どしたの?」
「なる・・・、ほどな・・・」
「女!?」
「なかなかどうして。見所はあるようだな沢田綱吉。オレが全力を出してもお前の戦闘能力には及ばないだろうぜ・・・。最も・・・・・・、旧時代的においてな」
「?」
「それだけではこの時代。生きてはいけないぜ!」
撃ち出された弾丸に混じってツナの前に姿を現したのは、
「む、ムカデ・・・!?」
うぞうぞと動く多足の虫、大きさをのぞけばそれはムカデと称するものだ。
だが、大きさは最大種の数倍あり、頭部に何やら紫色の炎のようなものまでまとっていた。
「10代目!」
「はぁ・・・。ムカデだけは苦手なんだよなぁ・・・」
そう言ったツナは、自らの周りを囲むムカデを初代零地点突破の両手でつかみ、凍らせた。
「―――ッ。なるほど、どうやら聞いていた情報よりできるようだな」
「・・・あんた誰? こっちはまだ死ぬ気にすらなってないんだけど?」
「!? ・・・オレの名はラル・ミルチ」
獄寺を拘束していた罠が解除され、ツナの方に駆け寄ってくる。
「十代目、お怪我は!?」
「してないよん」
「派手に暴れすぎた。このままでは奴らに見つかるのも時間の問題だ」
「奴ら・・・?」
「敵でしょう」
「これをボンゴレリングに巻き付けろ。マモンチェーンといって指輪の力を封印する鎖だ」
その鎖を拾ったツナはポツリと呟く。
「これさ。マーモンがおしゃぶりに巻いてたのと似てない?」
「マーモン、チェーンですから、働きは似たようなものなんでしょう」
「帰れたら聞いてみようか。これの仕組み」
「今から対策を練っておくのもいいですもんね!」
「・・・・・・?」(こいつらヴァリアーと仲良しなのか・・・?)
その後暫く、歩いて夜が深くなってきたので野宿をすることにした。
「えー? マジで?」
「文句を言うな」
「どこにあるかさえ分かれば走って行けるんだけどなー・・・。一人で」
「置いていかないでくださいよ、十代目!?」
「大丈夫大丈夫」
何が大丈夫なのか小一時間程問いただしたくなった獄寺だが、ツナ相手にそれもできないため断念する。
「・・・お前達のことは、写真でしか見たことがない」
「「?」」
「だが、十年バズーカの存在と面影で、何者か識別できた」
「「・・・・・・?」」
「時間ができたんだ。知ってることを話してやる」
「あ、ありがとうございます」
「オレは、ボンゴレ門外顧問の組織に所属している」
「父さ・・・沢田家光の?」
「じゃあ、お前は・・・味方なのか」
「ああ・・・。ボンゴレ全体に緊急事態が発生したため、十代目ファミリーの状況を調べる命を受けやってきた」
「緊急事態?」
「そうだ。ボンゴレ本部は二日前に壊滅状態に陥った」
その言葉に驚いた二人だが、状況が聞きたかったツナが獄寺を黙らせ続きを促す。
大体の状況を聞いたツナが質問を口にした。
「つまり、そのミルフィオーレとかいうファミリーがボンゴレを潰しに来てるってことですか?」
「ああ、そうだ。・・・アルコバレーノはリボーンも含め皆死んだ。その他にも何名か関係者が死んでいる」
「そう・・・ですか・・・。何か音が聞こえない?」
「音?」
「―――!!」
「?」
「敵だ! 感傷に浸ってる場合ではなくなった。奴らは強い! 見つかったら終わりと思え!」
「マジ?」
「喜ばないでくださいよ十代目・・・」
岩の影に隠れたツナ達は、視線の先につい最近見た機械兵を見つけた。
「ゴーラ・モスカ!」
「ゴーラの二世代後の機体だ。ストゥラオ・モスカ」
彼らが息を潜めながら話していると、突如モスカがこちらを向く。
「気付かれた?」
「見つかるか。ストゥラオはリングの力を感知するシステムを搭載しているが、マモンチェーンでリングの力は封じているだろ?」
「こっち来てるけど・・・」
「? バカな・・・。お前達、ボンゴレリング以外のリングは持っていないな!?」
「あ! あー・・・。昨日ランチアさんにもらったリング・・・」(あとウラヌスリング・・・)
「そのリングは・・・! 何故話さなかった!?」
「これも力あるリングだとは思わなかった・・・としか・・・・・・」
ツナはカラ笑いしながら目線をそらす。
「三人でも倒せる相手じゃない! 全滅だ・・・」
「へっ弱気じゃねーか。自慢のリングの力とやらは役に立たねーのかよ」
「戦いは力だけではない! 相性が重要なんだ!!」
「―――確かに相性は大事かもしれないね。でもさ」
一瞬の間を置いて、爆発音がその場に響く。獄寺達がその方を見ると、腰すら入ってない腑抜けた体勢で拳を振り抜き、燃えるモスカの残骸の前に立ったツナがいた。
相変わらずの破壊力(小並感)