幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
「さて、ツナ」
「ん? 何?」
「お前も俺が鍛えてやろうか?」
「うーん。じゃあ一週間ほどかけて体のエンジンかけていこうか!」
「・・・・・・は?」
「死ぬ気弾撃って良いよ~。リミッター外してどんどん行かないと。体が温まらないからね!」
「そんな気楽に死ぬ気弾撃たれるヤツ俺は初めて見たぞ」
そんな事を言いながらリボーンは躊躇無く銃を撃つ。
復活したツナはズボンとシャツはちゃんと着ていた。
「ふっかーつ!! 死ぬ気で鍛える!!」
「死ぬ気でやれよ。もし後継者争いに敗れたら、お前だけじゃない。お前の仲間も皆殺しにされちまうんだからな」
「・・・その時は、ボンゴレ壊滅させてでも止めるさ」
「できそうで怖ぇーぞ」
*
「・・・ん? どこここ」
気がつくとツナは崖の上にいた。
「何ここたっか!」
「早くも第一段階突破か。しかしホント基礎体力だけはあるな」
「舐めんなよリボーン。俺はそんじょそこらの人間とは違うんだから。神ツナだぜ?」
「いっぺん死んでこい」
「鉛球を撃つなし!!」
「死ね」
「ストレート?! そんなに神ツナが不満ですかぁ!?」
暫く、というか一日リボーンとのお遊びで時間を費やした。
ちなみに、帰ってきてすぐに家光は布団で眠っていた。
―――次の日。
「さて、ツナは基礎体力が十分って事は証明されたからな」
「確認のためだけに、四回もクライミングさせられたからね・・・」
「つーことで次は第二段階だ」
「ほぼワンツーステップで第一段階突破なんだけど・・・。実感わかないなぁ」
「沢田殿!! 順調に第二段階とは、流石ですね!」
「バジル君・・・。体は大丈夫なの?」
「ええ。ロマーリオ殿と親方様の薬草のおかげでかなり良くなりました」
「で、なんでここに?」
「沢田殿の修行のお手伝いに来ました」
「てつ・・・だい?」
「第二段階はスパーリングだぞ。バジルをダウンさせたらクリアだからな」
「では始めましょう」
「なんか勝手に進んでいく・・・・・・」
ツナは思わず頭を抱えた。その横でバジルは飴玉のようなものを飲み込み死ぬ気モードへと移行する。
「手合わせ願います」
「死ぬ気モードなの・・・?」
「バジルもガンガン攻撃して言いからな」
「はい」
「と、とりあえずルール作ろう! ルール!」
「じゃあ俺が作ってやる。
一、回避可能な攻撃はしっかりと回避しろ。
二、ふざけずにマジメにやれ
三、バジルに気を遣うな
四、バジルが戦闘不能になるまで続けろ」
「・・・え。マジでそのルールでやるの?」
「ったりめーだ。俺はお前の本気がみてーんだぞ」
「沢田殿! 行きますよ」
「いいよ。いつでもどうぞ」
ツナのその言葉を開始の合図に、バジルが突っ込む。勢い良く拳を振るうが、ツナは軽くかわしてしまう。それを見たバジルはさらに連続攻撃をと移行するが、ツナは防ぐことなくすべてをかわしてしまう。
続けて放たれた叩き付けの攻撃を、後ろに跳ぶことで回避するツナ。バジルも攻撃の度に死ぬ気になり、攻撃力と速度を上げているがツナには届かない。
地面をこするような足払いを繰り出す。が、少し後ろに下がりかわされる。
追撃で飛びかかるような拳を繰り出した。が、体をひねることでかわされた。
勢いそのままに体をひねり裏拳を放つ。が、体を反らし避けられた。
そのまま一回転をし、もう片方の手で上から下へ叩き付けるような拳を打つ。が、後ろに高く跳んでかわされる。
空中では身動きが取れないと思い、地面に転がる石を大量に散弾銃の如く投げつける。が、空気を蹴り飛ばし避けられた。
「あぶねー。服がボロボロになる所だった・・・」
手合わせ、という名目だったのにバジルもだんだん本気になってきたのか、速度を上げて突っ込んでくる。それをかわし続けるツナ。崖を殴っていたバジルがツナがいないことに気付き辺りを見渡すと、地面をタタタ・・・と走っていた。
勢い良く突きを放ったバジルだったが、彼の目の前にはツナはおらず。振り返ろうとすると、指で頬を突かれた。
「よし、俺の勝―――」
その瞬間振るわれた拳をツナはかわす。
「沢田殿・・・。この戦いのルールを忘れたんですか?」
「・・・いや?」
今度はツナが動く番だった。一瞬で距離を詰め、バジルのケリを避け後ろに回った。
そして、バジルが振り返った時。感じたのは、
―――死。
その一つである。
だが、ツナの拳がバジルにあたることはなく、止められた。寸止めされたのだ。
「お腹すいた。ご飯にしようよ。リボーンに言ってみよう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。そうしましょう」
バジルはもうどう返せば良いのか判断が間に合わず、肯定することしか出来なかった。
だがこれだけは分かる。自分は完全に負けて───ツナには勝てないという事が。
「・・・・・・・・・」
背後を見る。
視界に映った光景は、先ほどの寸止めの衝撃で吹き飛ばされ、跡形も無く破壊された山だった。
「え。なに? イヤなの?」
ちなみに、勝負の途中から家光がいた。
「なぁ、リボーン」
「なんだ?」
「あれは俺の息子なんだろうか・・・」
「一言で言えば化け物だろうな。なんてヤツを育て上げちまったんだ」
「俺は何もしてねーよ・・・」
「でも気になるな。あのツナが、死ぬ気の状態であの拳を振るったらどうなるのか」
「世界が消えるんじゃねーの・・・?」
「ありえねー話じゃねーから怖ぇな」
ツナは気付いていなかった。手合わせを楽しんでいたから。