幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
「ボンゴレリングは初代ボンゴレファミリーの中核だった七人が、ボンゴレファミリーである証として後世に残したものなんだ。そしてファミリーは代々必ず七人の中心メンバーが七つのリングを受け継ぐ掟なんだ」
「へー」
「十代目!! ありがたき幸せっす!! 身の締まるおもいっす」
(めっさ喜んどるし・・・)
「獄寺のリングは『嵐のリング』、山本のは『雨のリング』だな」
「何それ、なんかカンケーあるの?」
「あるぞ。初代ボンゴレメンバーは個性豊かなメンバーでな。その特徴がリングにも刻まれているんだ。
初代ボスは全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する。大空のようだったと言われている。ゆえにリングは「大空のリング」だ。
そして守護者となる部下達は、大空を染め上げる天候になぞらえられたんだ。
荒々しく吹き荒れる疾風 「嵐のリング」
すべてを洗い流す恵みの村雨 「雨のリング」
何ものにもとらわれず我が道を行く浮き雲 「雲のリング」
激しい一撃を秘めた雷電 「雷のリング」
実態のつかめぬ幻影 「霧のリング」
明るく大空を照らす日輪 「晴のリング」
っつっても、お前達の持ってるリングだけじゃまだ・・・」
「本調子じゃないんだろ? ハーフボンゴレリングって紹介された時点で分かってるよ」
「・・・」
「いって! 蹴ることないだろ!?」
「あの・・・、わりーんだけどさ・・・。オレは野球やるから指輪はつけねーなー。話しよくわかんねーし・・・」
「まぁそれ持ってたら昨日のロン毛がまた狙ってくるしね・・・」
「「!!」」
「遅くて十日後に・・・」
「アイツ・・・来んのか・・・。十日・・・」
「ん? どーしたの二人とも」
「これ、オレんだよな。やっぱもらってくわ。負けたまんまじゃいられねー質みてーだな。オレ」
「オレも十日でこのリングに恥じないよう生まれ変わって見せます!! 次は奴をぶっ飛ばします!」
「あ、うん。ファイトー・・・・・・」
二人を見送ったツナはとりあえずバジルのお見舞いに行こうとした。が、
「ちなみにもうすぐ「晴のリング」を持つ奴が来るぞ」
「晴・・・?」
「よしっと」
(何だっけその恰好・・・ぱお「パオパオ老師!!」・・・ん?)
「オレを鍛え直してくれるというのはまことか!!?」
「あ、やっぱり了平さんか・・・。確かにこれ以上ない晴だけど。どっピカーンだけどさ・・・」
「おっ、沢田。おはよう!!」
「おはようございます了平さん。それで・・・そのリングのこと、分かっていますか?」
「敵を迎え撃つのだろ!? 相当緊迫しているらしいな!! 昨日の出来事十日後のこと、指輪の話も聞いたぞ・・・・・・」
「え」
「全部忘れたがな!!」
「たちまち意味ね―――!! ・・・とりあえずオレからもう一度簡単に説明します」
「お、頼む!」
ツナは、これでもかというほどかみ砕いて現状の説明をした。
「では、このリングは沢田が跡を継ぐ、ボンゴレというマフィアの証なんだな?」
「はい。が、どうやら今着けているそれだけでは意味がないようでして。俺の前任のボンゴレ九代目と、門外顧問が別々の人間を推薦したため、それを奪い合う形になっています」
「モモンガ・・・顧問?」
「門外顧問です。モモンガ顧問ってどんな顧問ですか」
「むぅ・・・。極限に理解不能だが、これだけはわかるぞ! 要するに俺達はこの戦いに勝って、このリングを守り抜いた上で、相手のリングを取り上げれば良いんだな!?」
「おーっと、極限に短縮、簡略化した説明をありがとうございます。・・・でも、まあ。今はそれを理解して頂ければ充分です」
「・・・で、このリングだがそれぞれ種類が違うのか? ・・・お前がつけているのとは別物のようだが」
了平がツナが着けているリングを見つめ、訊ねてきたのでツナは頷く。
「そのハーフボンゴレリングは晴の守護者のリングです。確か晴は、“明るく大空を照らす日輪”ファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き、明るく照らす日輪となること。・・・それが役割です」
だよね。と小声でリボーンにツナが確認すると頷きが返ってきた。
「ふむ。それで先程俺を晴だといったのだな!」
「はい。了平さんの明るさは皆を太陽のように、明るく照らしてくれる。・・・だから、晴の守護者には貴方が相応しいと思うんですが・・・」
「・・・そのかけられた期待に、是非とも応えないといかんな」
「お任せしても良いですか?」
「極限任せろ!!」
(あーっもう。ホントまぶしいよ!)
「そうだ。パオパオ老師、今日は俺のために幼馴染みを呼んでいただいたとか」
「幼馴染み・・・?」
「腐れ縁だぞ」
リボーンがそう言うと、おしゃぶりが光り出す。
(あ、もしかして。コロネロ?)
「久しぶりだな。コラ!!」
「あ、やっぱり?」
「元気そうだな、コラ」
「その蹴りも相変わらずだね♪」
ツナは楽しそうにコロネロの蹴りを小手で防いでみせる。
「あ・・・。俺ちょっと学校に出向いてくるよ」
「ん? まぁ行ってこい」
―――学校。
応接室。
軽くノックをすると、中から単調な返事が返ってくる。
「誰?」
「沢田です」
「・・・入って良いよ」
「失礼します」
「一人?」
「わざわざ雲雀さんの前で群れるとでも?」
「まぁ、妥当な判断だろうね。・・・もしかして君が尋ねてきたのってこれが理由?」
そう言って、雲雀が掌をツナに見せてくる。案の定というか、そこにはハーフボンゴレリングが載せてあって、ツナは溜息をついた。
「その指輪はどこで?」
「この机の上に置いてあったよ」
「なんつーテキトーな・・・」
「誰の仕業か知ってるの?」
「不法侵入とかで咬み殺そうとか思ってるんなら、やめてください・・・お願いしますね。で、見せてもらっても?」
雲雀の許可をもらいツナはリングの刻印を確認する。
「これは・・・雲? 雲雀さんの性格も考えたらこれが適当な役割だろうなぁ・・・」
「? 何の話だい?」
「えーっとですね・・・」
ツナは一通りボンゴレリングについて説明する。
「・・・それで、その雲のリングは“何ものにもとらわれず我が道をいく浮雲”。何ものにもとらわれることなく、独自の立場からファミリーを守護する孤高の浮雲となること。というのが役割なんですよ」
「ふぅん・・・つまり、君達とは群れなくて良いけど。その守護者にはなってもらうっていうこと?」
「あ、イヤなら別にそう言ってくれていいんですよ。他の人を探しますから」
「何言ってるの? さっき君が言ったんじゃない。これは僕の役割だ。って」
「あれ、聞いてたんですか」
「強い相手と戦えるんでしょ? なら、やるよ。・・・弱い相手ばかりを噛み殺していてもつまらないだろ?」
「ええ。せめて自分と同列か、さらにその上と戦ってみたいですよね」
「・・・君」
「はい?」
「君となら、群れても楽しそうだね」
誰も見たことないであろう優しい微笑みでそう言われたツナは、一瞬でテンパりそして落ち着いた。
「え? 何ですかそれ。俺を『強いヤツをおびき寄せるホイホイ』みたいに思ってます!?」
「思ってるわけないじゃん」
「じゃあ何で群れても楽しそうとか、雲雀さんが言うんですか・・・」
「純粋にそう思ったからだけど」
「・・・・・・まぁ。嬉しいから良しとしましょう」
ツナは失礼しますと言って応接室をでる。家庭教師の旨も伝えて。
(山本は恐らくお父さん。雲雀さんはディーノさんかな? 了平さんはコロネロ。獄寺君は・・・? ま、いいか!)