幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活   作:軍曹(K-6)

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第二十五話 沢田家光

家に帰ったツナが見たのは、大量に干されたつなぎ。泥だらけの長靴、ツルハシとヘルメット。酔っ払った子ども達と・・・リビングで寝転がるダメ親父の姿だった。

 

「・・・・・・」

「ツナ?」

 

リボーンの心配そうな顔に、ニコリと微笑むツナ。良かった。とリボーンが安堵したのもつかの間。

ツナの姿がかき消え、無防備な家光の腹部に掌底を叩き込んだ。

 

「ぐぼぉっ!!」

「やあおはよう父さん。俺としては今からつもりに積もった鬱憤晴らしという名のHA☆NA☆SHI☆A☆Iをしたいんだけど」

 

突如愛息子に叩き起こされ、なおかつそんな事を言われた家光は目を白黒させた。

 

「・・・つ、ツナ?」

「ああ、安心して。母さんは父さんが食べ尽くした料理の追加を買いにいってるから。うん、今なら全部話せるからゲロッちゃおうよ。父さんの仕事とか、俺がどんなことに巻き込まれてるのかとか、二年間イタリアで何してたのか。とかをね? スッキリすると思うよ? 母さんには内緒だからねー」

「つ、つつ、つつつっつつ、つ、ツナ!?」

「しっかりしなよ父さん。俺の名前に、“つ”は十個も要らないし、小さい“っ”なんかもっと要らないから。で、結局アンタ、イタリアで二年間何してたの。やっぱり父さんの仕事ってボンゴレ(マフィア)関連? ま、それが打倒だよね。バジル君のいう“親方様”ってのも父さん? 囮役をさせるなんて上司として大丈夫? しっかりしてよ? 何か知らないけど聞いた限りじゃボンゴレピンチじゃん。ダメダメだなぁ。俺よりダメなんじゃないの? (笑)」

「―――ッ?! リボォオォオォオォオオンッッ!!! お前、俺の愛する息子に要らんこと教え込みやがったなぁあぁあぁあッッ!!?」

「っるせぇぞ家光! 俺じゃねぇ! 元々だ! ・・・って聞こえてねぇみたいだな」

 

怒りと悲しみと憎しみと、色んなものが混じり合った叫び声をあげた家光は、凄まじい勢いで繰り出されたリボーンの跳び蹴りによって、地に沈められた。

そんな家光の様子を見てツナはため息をついた。

 

「ちょっとリボーン。確かにO☆HA☆NA☆SHIには肉体言語(そういうやり方)もあるけど手加減してよ。守護者の情報とか、父さんのこととか、色々聞きたかったのに」

「俺がこうしてなくても、どちらにしろ家光は暫く再起不能だったぞ? ・・・というか、自分で探せ。こんなのに頼らなくてもツナならできんだろ」

「・・・意図的な情報封鎖だよ、全く・・・。情報を集めるのも楽じゃないんだよ?」

「できんじゃねェか」

「じゃあちょっと部屋に戻ってる・・・」

 

面倒だなぁ。と言いながら階段を上っていくツナを見届けてから、リボーンは家の床に伏している家光を見る。

 

「・・・いつまでそうしてるつもりだ。家光」

「・・・友よ。・・・俺ぁ、暫く立ち直れない」

「慰めの言葉はかけてやんねーからな」

 

リボーンは床に伏したままそういう家光に冷たい言葉を言ってリビングの奥に消えていった。

 

 

―――次の日。

朝四時。

 

「ツナ―――!!!」

「あ?」

「朝飯取りに行かねーか!?」

「父さんの証言なら取っても良いけど」

「失礼しましたッ!」

 

釣り竿と網を持って入ってきた家光は、ツナの言葉にそのままUターンして消えていった。

 

(・・・? 何だったの?)

 

ツナはとりあえず寝なおし、七時ぐらいに普通に起きる。

が、起きてそうそう家光がランボに酒を飲ませようとしたため、慌てて止める羽目になる。

 

「うおっすツナ。で、どーなんだ、どーなんだ? 学校は」

「え?」

「さんすうだっけ? あれ笑っちゃうだろ!?」

「そりゃ中学生だからね・・・。流石に小学生の問題で唸ってられないよ・・・」

「そっかそっか。父さん、今回の滞在中にさツナに父さんの色んな経験談を聞かせようと、色々メモってきたんだぞ」

「ん? ついに吐く気になったんだ。いいよ、聞いたげる」

「―――っと思ったけど読めねぇわ! 俺の字汚すぎっ!!」

 

ツナはころころ行動を変える家光に首を傾げる。と、そこで。

 

「おぉ? なんだ、ツナ。色気づいてんな。それ指輪だろ?」

「ん? あぁ、ウラヌスリング?」

 

ツナは自分の左手の中指に填まるそのリングに目を落とす。

と、同時。自分の首にかけられたボンゴレリングに気付いた。

 

(あっれー!? 机の上にとりあえずで放置してたんだけどなぁー?)

 

ツナは何度か頭をひねった後、朝食を取り学校へと向かった。

その途中でバジルの様子を見に病院によった。

 

「失礼しまーす」

「おっす、ツナ」

「おはようございます! 10代目!」

「獄寺君に・・・山本・・・? 何してんの」

「いや、妙なことがあってよ」

「そーなんスよ」

「?」

「ポストにこんなもんが入っててよ」

「もしかしたら昨日の奴がらみかと思いまして。跳ね馬に、ここの場所は聞いてたんで」

「あ、ハーフボンゴレリング」

「知ってんのか?」

「やっぱ十代目も持ってるんですね!」

「あー・・・。その指輪はさ。ハーフボンゴレリングって言って・・・詳しくは知らないけどボンゴレファミリーに配られるものらしい・・・」

「じゃあ詳しく説明してやるぞ!」

「リボーン! ・・・ディーノさんも!」

「ボンゴレリングは全部で七つある。そして、七人のファミリーが持って始めて意味を持つ。ツナ以外の六つのリングは―――

 

 

 

 

―――次期ボンゴレボス沢田綱吉を守護するに相応しい六名に届けられたぞ

 




最後の一文が大きいのは、獄寺達が感じた衝撃をあらわしてるです。

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