幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
何度二十二時前に投稿ボタンを押そうとしたことか。
その思いは前書きでは収まらない―――っ
(文はここで途切れている。
「・・・・・・。ここ、どこ」
ツナは気がついたらお屋敷の前にいた。周りには黒服を着た怪しい男達ばかり、きれいなドレスを着た女性もいるが、どこか上品さには欠ける。
(・・・・・・こういう時って場違い感が半端ないんだよなぁー)
ツナはあくまで子供らしく振舞いながらその会場を歩いていた。
「・・・・・・わーすごー・・・い」(ゆか・・・・・・た・・・?)
その時、ツナはつまらなさそうにしている可愛らしい少女を見かけた。その子が着ていたのは驚く事に日本の衣装、浴衣だった。
「ねぇ、何してるの?」
「つまんないの。みんなたのしそうなのに、わたしだけ」
「僕もおんなじだよ。じゃあ何かして遊ぼうよ」
「あそぶ? いいの?」
「みんな楽しんでるのにつまらないなんてダメだよ! もっと、楽しまなくちゃ!」
「うん。そうだね!」
ツナは少女を連れてお屋敷の中に入って行った。
「ここは君の家?」
「ううん、ちがう。わたしもしらない」
「ふーん」(ってぇあの紋章。ボンゴレの系列か?)
「ねぇ、あなたのなまえは?」
「綱吉だよ。ツナって呼んで」
「ツナ・・・ヨシ・・・? もしかしてにほんじん?」
「うん。そうだけど、ここは日本じゃないの?」
「ここはイタリアだよ。わたしにほんがだいすきなんだ! あなたは、なんでここにいるの?」
「お父さんが連れて来てくれたから、よく分からないんだけどね。そう言えば君の名前は?」
「わたし? わたしはねかのん!」
「かのん? それともカノン?」
「にほんごのひらがなだよ。かのん。かのん=N=アポローニっていうの」
「アポローニ・・・?」
改めてかのんを観察してみると、美少女の類に入る方だった。桃色の髪に赤みがかった目、ちょっとクセ毛が目立つが、とても可愛らしい少女だった。
「ところでNって何?」
「なかがわ、わたしのにほんのみょうじだよ」
「日本の名字? なんで?」
「わたしね、おとうさんがイタリアじんで、おかあさんがにほんじんなの!」
「それで、名前の間に日本の名字が入ってるんだね」
二人が、廊下を歩いていると。
突然。パシュッ、と空気の抜けるような音が聞こえた。その音に続けて何かが倒れるような音がする。
(今の音は何だ!?)
「? どうしたの?」
ツナが前方を注意してよく見ていると、二つ向こうの部屋の扉が開いて、余裕そうな表情で男が出てきた。
「・・・・・・な、ガキ」
「・・・おじさんどうしたの?」
「・・・何してたの? みんなあそこに集まってるのに」
かのんは素、ツナはあえてとぼけて庭のパーティ会場を指して見る。
「あ、ああ。おじさんも今から向かう所なんだ。トイレを済ませてね」
「へぇーそうなんだ~」
「ツナヨシくん?」
ツナは歩いて去ろうとする男の背中に向かっていった。
「僕てっきり、おじさんがスパイであの部屋でデータを盗んだと思ったけど、違ったのか~。でも、サプレッサーの音がしたよね。誰か、撃ったんでしょ」
「・・・・・・何の事だろうね。おじさんはただトイレに」
「ごまかすんじゃねェよ。トイレなら一階にもある。わざわざ二階まで来る必要はないはずだぜ? ねぇ? お・じ・さ・ん」
「それ以上話すんじゃねーよガキ」
ツナの目の前にサプレッサーつきの銃が突き付けられる。
「わお」
「それ以上喋ったらぶっ殺す。というか、二人ともぶっ殺す。目撃者は殺しておかねーとな」
「できんのかよ。ってかやらせると思ってんのかよ」
そういったツナは、その頭部とその両手に綺麗なオレンジ色の炎を灯していた。
「え、ツナ、ヨシくん?」
「おま、まさか。ボンゴレの・・・・・・!」
「くらえ、普通のパンチ!」
炎での加速+いつもの撃ち方で、ツナの拳の威力は銃弾よりも速く、鉄球よりも強い威力で放たれた。それは子供の身長という事で、男の急所を正確に打ち抜いていた。
「おグゥッ?!」
「あ」
「え・・・・・・」
白目をむいて気絶した男を、ツナは憐れそうな目で見ていた。
(すまん。名もなきスパイよ。今の威力は使い物にならなくなったかも知れないな。ごめん)
「す、すごいよ。ツナヨシくんすごい!」
「え? そう?」
「うん。なんかタダモノじゃないってかんじ」
「ああ。そう? ってか見つかったらマズイから逃げようぜ」
「うんっ」
二人で屋敷内を逃げ回っていると、スーツを着た小さな赤ん坊や、優しそうなお爺さんとすれ違ったが、ツナはそんなこと気にしてはいなかった。
「ねぇツナヨシ・・・ううん。ツナくん」
「は? え? 何?」
「わたしね、おおきくなったらツナくんのおよめさんになっていい?」
「ん? ん? いいけど」
ツナには『いい?』の部分しか聞こえてなかったので、素直に返事をしたのだが、よく考えてみるとこの状況でいい? は一体何を表しているのか。ふと彼女の顔を見てみるとふにょふにょと頬が緩んでいた。彼は首を傾げるが、その時は大して気にも留めなかった。
しばらく進んでいると、突きあたりの部屋に着いた。何がいてもツナ的に怖くなかったので、豪快にして慎重に、ドアを開けてみる。
「・・・・・・あれ? 誰?」
「・・・こっちのセリフだ。ドカスが」
高校生ぐらいの強面のお兄さんがいました。
「あ、あわわ・・・・・・」
「ねぇ、お兄さん。あなた強い?」
「あ? 当り前だろうが、俺はXANXAS。ボンゴレの十代目を継ぐ男だ」
「へぇ~強いんだ? じゃ遊ぼうよ。 ザンザス」
ツナは鋭く目を細めると、その眼から殺気という殺気を一点集中でXANXASに向ける。
(!? コイツ・・・並の殺し屋でもできねェ事を・・・後ろのガキはビビってねェって事は、殺気を視線に乗せて送ってきてやがるのか。恐ろしいガキだ・・・一体どんな奴の息子なんだ!)
「おーここにいたのかXANXAS。探したぞ」
「ジジイ」
「おっ。ツナ、お前もここにいたのか」
「あ、おとーさん」
「なっ」(
「カノン。帰るぞ」
「はーい。じゃーね。ツナくん」
「うん。じゃーね」
ツナは極めて普通に、そう普通に別れの挨拶をした。
―――帰り道。
「楽しかったかー?」
「うーん。どうだろー。でもかのんちゃんとは仲良くなったよ?」
「コーデリアさんとこの一人娘か・・・・・・。あの子は美しいというよりは可愛いの方に育ちそうだよな~」
(それな)「おとーさん。結局みんな何してたの?」
「パーティといってな、楽しいものだぞ」
「へぇー」(マフィア同士のパーティ? どうせ腹狸共の腹の探り合いだろ)
なんともかわいくない子供である。
それでは。
バイチャ! (最近のブーム)