幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
第十八話 棒倒し
体育祭の季節ですね。ここ並盛中でも体育祭は超ビッグイベントです。準備期間中から学校の雰囲気がガラリと変わって私もわくわくしてます。我が校では縦割りでA・B・C組に分かれてチームを作るのですが、組同士の対抗戦はとても白熱するんです! 特にクライマックスに男子が行う“棒倒し”は総大将が棒のてっぺんに登り、相手の総大将を地面に落としたチームが勝ちという変則ルールなのですが、「これこそ体育祭の華であり、男子にとって一年で一番の見せ場なんだ!!!」と、毎日お兄ちゃんに聞かされます。そのお兄ちゃんはというと・・・・・・・・・。
「“極限必勝!!!”」
相変わらず燃えています。(ここまでのモノローグ担当京子
「これが明日の体育祭での我々A組のスローガンだ!! 勝たなければ意味はない!!」
(あぁ・・・縦割りのせいで了平さんと同じチームに・・・あの人絶対棒倒しで俺を総大将にとか言ってくるよ・・・。それにしても了平さんは今日も熱いな・・・。ほら、妹さんの京子ちゃんが心配そうに見てますよ)
「ウゼーっスよねあのボクシング野郎」
「・・・獄寺くん」
「十代目?」
「了平さん、先輩・年上。もっと敬意を持って接しようよ。ね?」
「は、はい」
「ん」
年上である了平に敬意を払えない極寺を微量の殺気混じりで注意するツナ。微量の殺気はカリスマに変わると学習済みだ。
「今年も組の勝敗を握るのはやはり棒倒しだ」
「ボータオシ? ってなんですか十代目」
「地面に立てた棒をみんなで支えて、相手の棒を倒した方が勝ちって言うのが一般的なルールだけど。並中では棒倒しの上に大将を据えて大将が地面に着いたら負けって言うルールなんだ」
「例年、組の代表を棒倒しの“総大将”にする習わしだ。つまりオレがやるべきだ。だがオレは辞退する!!!」
「「「「!! え゛!!?」」」」
「オレは大将であるより、兵士として闘いたいんだー!!!」
((((単なるわがままだ―――!!!?))))
(も~、お兄ちゃん・・・!)
「だが心配は要らん。オレより総大将に相応しい男を用意してある」
「え。笹川以上に総大将に相応しい男だって?」
「一のA、沢田ツナだ!!」
「いや、だから綱吉です・・・」
「な!?」
「おおおっ」
「十代目のすごさを分かってんじゃねーかボク・・・」
「獄寺くん」
「了平先輩はっ!」
「・・・何で俺・・・・・・」
「賛成の者は手を上げてくれ! 過半数の挙手で決定とする」
「一年にゃ無理だろ」
「オレ反対~」
「負けたくないもんねぇ」
「つーか、冗談だろ?」
「笹川がやった方が良いだろ~」
「ツナ? 何言ってんだ?」
「わっ山本」
「手を上げんか!!!」
((((命令だー!!!))))
「うちのクラスに反対の奴なんていねーよな」
「おい、おまえっ」
((((こえ~っ))))
「獄寺君の意見に賛成―!!」
「サンセー―――!!」
「この勢いならいずれ過半数だろう。決定!!! 棒倒し大将は沢田ツナだ!!」
((((この人メチャクチャだ―――!!))))
(・・・ついでだ。全員潰すか。風歩くらいならできるだろうから・・・居合い払いもできるか?)
「すげーな、ツナ!」
「さすがっス」
「ビビったっス」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・ちゃおっス」
「・・・・・・・・・」
「こっち見ろツナ」
「・・・・・・」
「総大将つったらボスだな。勝たねーと殺すぞ」
赤ちゃんの体で並中の制服をきたリボーンを徹底的に無視するツナに、リボーンは少しさみしさを感じながら構ってもらおうと頑張ったのだった。
「先輩達から白い目で見られるし・・・。総大将か・・・・・・、不幸だなぁー」
「やれんのか?」
「ん? 何で?」
「無理だとか、駄目だなんてオメーが言わなかったからだろうが」
「・・・まぁ、棒の上にただ乗ってるだけならいいんだよ。引きずり下ろすために殴る蹴るの暴行が行われるんだぜ? 重火器持ち出したいな・・・・・・」
「恐ろしいこと言い出すんじゃねー」
ツナは何かを撃つ構えをしながら家に帰る。
―――次の日。
ツナは家族みんなに見送られ、体育祭へとかり出された。
百メートル走で三位くらいをとってツナは棒倒しに備えることにした。
だが、何の因果か獄寺と了平によってC組大将高田が倒された。
そして。
『各代表の話し合いにより、今年の棒倒しはA組対B・C合同チームとします』
原作通りの流れとなった。
「B・C連合の総大将、誰にする?」
「サッカー部の坂田だろ?」
「レスリング部の川崎も強いぞ」
「僕がやるよ」
「「「「ヒバリさん!!」」」」
「あ、制服のままでっ」
「「「うわああっ」」」
「向こうの総大将とは、もう一度闘ってみたかったんだよね」
「それでは棒倒しを開始します。位置についてください!」
「あはは―――。すっげー数の違い」
「ツナさんファイトー!!」
「がんばって―――っ」
『用意。開始!!!』
開始と同時。B・C連合の人間が早々にツナのいる棒まで上ってくる。
「おう。もう来たの?」
「っしゃあ!」
引っ張られ、揺らされ、ツナは落ちそうになるが何とか耐える。
(というか、これってヒバリさんを直接叩きに行った方がいいんじゃ・・・。じゃあそうしようか)
ツナはそう決めると、自分自身の跳躍力に死ぬ気の炎の推進力を加えて棒から大きく飛び立つ。
「!? 十代目!?」
「ワオ。君の方から来てくれるなんてね」
「それがお望みでしょう? 雲雀さんは」
棒の上の狭い土台の上で踏ん張れる雲雀と、空中で彼のトンファーを捌くしか無いツナ。
だが、十数度弾きながらもそこに留まっている時点で実力の差は歴然だろう。
「余裕そうだね。君」
「まさか、落ちないように気を遣ってるんです。ギリギリですよ」
「ウソ。君笑ってるじゃん」
「あ、やっぱり分かっちゃいます?」
「良い性格してるよね、君って」
「あはは。雲雀さんにそう言われると褒められてる気はしないなぁ」
「小動物・・・? 肉食動物・・・?」
「さあ? どっちでしょうね」
「自分ではどっちだと思うのさ」
「オレは草食ですよ。でも、シマウマやヌーなんかとは違う。古代の、肉食動物にだって楯突いた草食恐竜ですね」
「へぇ」
「自分からは手は出しませんけど、降りかかる火の粉は払うつもりなので」
「それで、草食恐竜ね・・・」
「そろそろ終わりにしましょうよ。雲雀さん」
「嫌だよ」
「お断りします」
ツナの放った居合い払いで雲雀の体が空中に投げ出される。
「くっ!」
「あはっ。俺の勝ちだ」
雲雀が地面に落ち、A組の勝利が決まった。
だが。
「おいでよ草食恐竜。もしかしてもう闘えない?」
その挑発に乗ったツナは棒から降りてくる。
「もう棒とか関係ないですね。ただの余興です」
「いくよ」
トンファーの連撃を弾いてかわすツナ。雲雀は弾かれていることにムカついたのか、弾かれないような位置へとトンファーを撃ち込むが、同様に弾かれる。
「トンファーって腕ごと動かさなきゃいけないから意外とかわしやすいよね。刀とかだと手首のスナップで斬る向き変えたりできるんだけど」
「咬み殺す」
「じゃあぶち殺す」
ちなみに、二人の闘気に当てられたのか、周りでは乱闘が起こっていた。
「すごい出し物ですね」
「思い出に残る体育祭だな」
雷迅は使ってません。これ重要。多分