幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
「秋だねぇ~・・・。夏が終わって秋が来て。一年が終わるのももうすぐなんだろうなぁ」
「なんか、ツナ難しい事言ってねーか?」
「アホ牛がブドウブドウって最近ウザくねースか?」
「栗もうまいぞ」
飛んできた毬栗がツナの背中に刺さる。
「て! てて! リボーンってぇ―――っ!!」
「ちゃおっス」
「刺さってる! 何じゃそれは!」
「これは秋の隠密用カモフラージュスーツだ」
「百人が百人振りかえるぞド阿呆! お前は本当に一流の
「ファミリーのアジトを作るぞ」
「また突拍子も無いね!? ・・・お前がそうやって突然言い出したことには絶対裏があるんだよな・・・」
「へー。面白そうだな、秘密基地か」
「子どもかおめーは! アジト、いいじゃないスか! ファミリーにアジトは絶対必要っスよ!」
「あー・・・うん」(影組のアジトがもう転々とあるからなー。正直イラナイ)
「決まりだな」
「どこに作るんだ? 裏山か?」
「なわけねーだろ!!」
「学校の応接室だ」
「「「!?」」」
「応接室はほとんど使われてねーんだ。家具も見晴らしもいいし、立地条件は最高だぞ」
(コイツ、雲雀恭弥と俺たちを絡ませる気だな!?)
「まずは机の配置変えからだな」
「オレ、十代目から見て右の席な」
(ハァ・・・マジか)
未来が何となく見えてきたツナだった。
―――応接室。
「へ~、こんないい部屋があるとはね―――!」
「君、誰?」
(コイツは・・・、風紀委員長でありながら不良の頂点に君臨するヒバリこと雲雀恭弥・・・・・・!!!)
「なんだあいつ?」
「獄寺、待て・・・」
「風紀委員長の前ではタバコ消してくれる? ま、どちらにせよただでは帰さないけど」
「!! んだとてめ―――」
「消せ」
前に出た獄寺のタバコの先だけが綺麗に吹き飛ばされる。
「何だコイツ!!」
(聞いたことがある・・・。ヒバリは気に入らねーやつがいると、相手が誰であろうと、仕込みトンファーでめった打ちにするって―――・・・)
「僕は弱くて群れる草食動物が嫌いだ。視界に入ると、咬み殺したくなる」
(こいつ・・・)
(やっかいなのにつかまっちまったぞ・・・)
「・・・へー。はじめて入るよ。応接室なんて」
「待てツナ!!」
「え?」
「一匹」
トンファーで叩かれ、ツナは応接室の奥に転がっていく。
「のやろぉ!! ぶっ殺す!!」
「二匹」
「てめぇ・・・!!!」
獄寺とは違い、何とか雲雀の攻撃をかわす山本。
「ケガでもしたのかい? 右手を庇ってるな」
「!」
「当たり―――三匹」
山本も気絶したところで、ツナの目が覚める。
「えーっと、獄寺くん? 山本? ・・・これって、どういう事?」
「起きないよ。二人にはそういう攻撃をしたからね」
「そういう攻撃しかできなかったの間違いじゃ・・・・・・」
「む。君、ムカつく」
「短気は損気ですよ・・・」
「咬み殺す」
雲雀のトンファーを両手の小手で受け止めるツナ。
「ワオ、素晴らしいね。君」
「対してお前はそうでも無いな」
「?」
「殺すって言う単語を口に出しておきながら、殺気がまったく見られないって言うのは、案外珍しいものだよ。本当に殺す気が無いのか、それとも殺すって言う単語をカッコイイと思って使ってる中二病患者かのどっちかかな?」
「・・・ねぇ、殺していい?」
「だぁかぁらぁ~。“殺す”って言う時は相手に殺気を向けないと・・・・・・」
ツナは雲雀に対して何の感情も持っていないように見える。なのに、
「
「ッ?!」
その一言で雲雀が恐怖で後ろに数歩下がるぐらいの殺気は出せるようだ。
「うまい人はさ、相手に何の感情も持って無くても、殺すって言う単語を使わなくても殺気を出せるらしいよ」
自分のことを棚に上げて言うツナ。それとも彼は幼少期の暴挙を忘れているのだろうか。
「君、何者?」
「沢田綱吉。それ以上でもそれ以下でもないよ。雲雀さん」
語尾に音符が着きそうな軽い言葉遣いなのに、ツナから向けられる殺気のせいで蛇に睨まれた蛙のように動けない雲雀だった。
「じゃあ、獄寺くんと山本連れて帰ることにするよ。勝手に入ってごめんね」
「・・・・・・」
*
「さて、リボンヌ。訳を聞こうか」
「ツナ。オレの名は」
「リボンヌ。お前、応接室は雲雀さん達風紀委員の拠点だって知ってたよな?」
「ツナ」
「なあ。雲雀さんにワザと会わせたよね? リボンヌ」
「・・・キケンな賭けだったけどな。打撲とスリ傷ですんだのはラッキーだったぞ」
「ふーん。そんなキケンな賭けに俺たちをかり出したんだ・・・」
「お前達が平和ボケしないための実戦トレーニングだぞ。鍛えるには実戦が一番だからな」
「リボンヌ。お前、今うまくごまかせたとか思ってない?」
「ちくしょー、あんなやつに・・・!」
「目をつけられるのが狙いだよね? まあいいか」
「ヒバリは将来必ず役に立つ男だぞ」
「・・・あの小動物。また会いたいな」
別に雲雀さんが殺気を出せてない。そんなワケじゃありません。
ただ、ツナが雲雀の殺気をものともしていない。ただそれだけです。