幻想殺しと電脳少女のボンゴレ生活 作:軍曹(K-6)
「・・・」(暑いな)
とある夏の日。降り注ぐ陽射しを色んな意味で恨めしく見つめながらツナは歩いていた。
と、そんなツナの後ろから自転車がやってきた。
(ママチャリ? メット? ゴーグル? ハイヒール? いや、何もかもがおかしい!)
自転車に乗っていた女性はメットとゴーグルを外すとツナにジュースを投げてきた。
「よかったらどーぞ」
「あ、ども」
受け取ったツナはそれを飲みながら家に帰る事にした。
「ういっすリボーン。ただいま」
「んっ?」
「お前・・・カブトムシついてんぞ」
「これは俺の夏の子分達だぞ。情報を収集してくるんだ」
「便利だな」
「おかげで情報が掴めたぞ。ビアンキがこの街に来てる」
「ビアンキ・・・? 誰だよそれ」
「昔の殺し屋仲間だ」
「へー」
ツナは飲み終わった缶を捨てに行くついでにピザの受け取りに赴く。
「あれ? 貴女はさっきの?」
「お待たせしました。アサリピザのお届けでーす」
彼女はガスマスクを着けるとピザの蓋を開ける。
「召し上がれ」
「・・・いや、召し上がれって言われても・・・。代金も払ってないし・・・食べて良いの? ・・・でも特徴的な匂いだなぁ?」
全く苦しむ事なくピザに手を伸ばすツナだったが、銃声によってピザの箱は吹き飛んでいった。
「リボーン?」
「ちゃおっスビアンキ」
「リボーン」
(あー。この人がビアンキなのかー)
ツナは遠くを見ながら現実逃避を実行していた。
「迎えに来たんだよ。また一緒に大きい仕事しよ。リボーン。やっぱりあなたに平和な場所は似合わない。貴方のいるべきはもっと危険でスリリングな世界なのよ」
「言ったはずだぞビアンキ。俺にはツナを育てる仕事があるからムリだ」
「・・・・・・。・・・・・・かわいそーなリボーン。この十代目が不慮の事故か何かで死なない限り。リボーンは自由の身になれないって事だよね」
(あー。そう取っちゃいますかー。いやはや面倒だな)
「とりあえず帰るね。十代目を殺・・・十代目が死んじゃったらまた迎えに来る・・・」
「リボーン。俺、十代目になりたくないんだ。だから、ビアンキの所に行ってあげなよ」
「嫌だぞ」
「・・・・・・・・・で? 何なんだよ。あの女は」
「アイツは毒サソリ・ビアンキっていうフリーの殺し屋だ。アイツの得意技は毒入りの食い物を食わすポイズンクッキングだ」
「へぇー。あ、じゃああの缶ジュースもピザも総じてポイズンクッキングだったって事?」
「缶ジュースってお前が飲んでた奴か?」
「うん。既製品のはずなのに変な味がして結構首を傾げてたんだよね」
「そうか」
次の日。ツナは朝から京子ちゃんに会っていた。
「おはよツナ君」
「おはよー。京子ちゃん」
「今日家庭科おにぎり実習なんだー。楽しみー」
「へー」(おにぎりってただ握るだけだよな?)
―――――――――
――――――
「今日は家庭科実習でつくったおにぎりを、男子にくれてやるーっ」
「「「「「「オ―――!!!」」」」」」
「変な行事っすね」
(ってか要らねー!)
「ツナ。誰にもらうか決めたか」
(いや、だから要らねーって)
と、その時ツナは京子の影に隠れるビアンキを見つける。
ビアンキはそのまま京子のおにぎりとポイズンクッキングを入れ替える。
(あ、これ喰ったら死ぬ奴だ。誰が喰うんだろ)
なんて思っていたツナはいつの間にか数歩前に出ていた。
「ツナ君。食べる?」
「へ? 俺?」(まぁー俺は死なないと思うけど・・・)
「積極的だな。おい!」
「いやさー」
「あ。シャケ嫌いだった?」
「そんな事もないんだけど・・・」(まず見た目がなー。毒にするにしてももっと見た目を何とかして欲しいよ。全く・・・・・・)
文句を言いつつもおにぎりを食べるツナ。
(うーん。これでオイシイって言っても別に京子ちゃんを褒める訳じゃないしな・・・。かといって味が悪い事を指摘したら京子ちゃんヘコむだろうし)
「十代目。俺も良いすか?」
「そーだな獄寺」
「あ、おい」
「いただくぜ」
ツナはおにぎりを食べようとする山本と獄寺を交互に見て。
(別にポイズンクッキングで誰が死のうがどうでもいいが、目の前で友人が死ぬのは嫌なんでね!)「食べたら死ぬぞ!」
おにぎりを奪い取り全部食べるツナ。
(ま、これでいいだろ)
―――ちなみに。
「そんなことないよ・・・」
「いいや。間違いないわ。アレは沢田の告白ととるべきよ」
「えー!?」
「男らしかったっス。十代目」
「?」
「やるなーツナ」
「?」
みんなツナの「食べたら死ぬぞ」という言葉を、
『俺が京子からもらったおにぎりを食った奴はぶっ殺すぞコラァ!!』
ぐらいにとっていた。
「流石十代目っス」
「?」
ツナ「みんな何言ってんの?」
リボーン「気付いてないのか」
ツナ「?」