お前らがなにをやろうとも僕は絶対家から出ないからな！！！！

開戦

ガチャッ

「ただいまー！！」「ただいまー」

紗奈が元気に.茉奈は疲れた感じに言う。

「おかえりーお疲れ様ー」

リビングのソファーに横たわりダルそうに雄が労う。

「はぁー今日は生徒会の仕事で疲れたわ。雄もずっと家にいるなら買出しくらい行ってくれたらいいのに」

茉奈が愚痴っぽく雄に言ってる姿が母親っぽい。

「いやいやいや！無理無理！僕外に出たら倒れちゃうよ！？」

雄は必死に拒絶する。

微かに茉奈の目がギラついたように見えた。

ーーー

この日の夕方、茉奈と紗奈は夕食の買い物をしていた。

「ねぇ紗奈。朝言っていた事今日から実行しようと思うの」

「えっ！もうやるの？張り切ってるね」

紗奈はビックリしたように見せているが内心ワクワクしている。

「善は急げよ！さっ帰りましょう」

「うん！兄ちゃんが待ってるもんね！」

２人は足早に帰路につく。

ーーー

「はいはい。じゃあご飯作るから」

茉奈は髪を結ってエプロンをつけながら下ごしらえを始める。紗奈も茉奈の横で手伝っている。

雄がやっとソファーから起き上がり尋ねる。

「今日のご飯はなにー？」

「今日は愛情たっぷりカレーよ！」

茉奈がニコッと微笑む。手慣れた手つきで調理が進む。

余程食べたいのか食器などの準備だけは手伝う雄。

「さぁ！出来たわよ！」

茉奈が盛り付けだした。

この時また茉奈の目つきが変わり素早く瓶を取り出し雄の分のカレーにかけて掻き混ぜた。

「雄！運んでちょうだい」

茉奈に言われると、はーい！と返事してテーブルに運ぶ。こういう時だけ聞き分けが良いのだ。雄の皿だけいつも大きいので間違える事はない。

念のためテーブルセッティングを確認する茉奈。

よしっと茉奈は目を細め微笑む。

３人とも席につき手を合わせ

「いただきまーす！」と元気に言うと、雄は余程お腹が空いていたのか勢い良くカレーを口に頬張り飲み込む。

が、突然その手は失速し皿とスプーンをテーブルに置く。雄の顔が一気に真っ赤になり汗が大量に出てきた。

「ゔわぁ〜！！あにほれ！辛っゲホッゲホッ！！！」

あまりの辛さにむせ返る雄を見て茉奈は微笑み、紗奈は口を押さえて笑うのを必死に堪えている。

「水！水みず！！えっ！？ない！！」

雄は震えながら変な動きで水を探す。

「あら、ごめんなさい。飲み物を準備するの忘れてたわね」手のひらを頬に当てフフッと笑う。

雄は慌てて椅子に躓きながら水を取りに向かう。

その様子を見て紗奈は堪えきれず吹き出す。

「ゴクッゴクッゴクッぷはぁ〜！あーまだ辛いし痛い。茉奈、僕のカレーになにしたの！？尋常じゃない辛さなんだけど！？」

雄は必死な様子で茉奈に問いかける。

「雄の分には特別なスパイスを混ぜておいたの！それがこれよ！！」

！！？？

「こ…これはデ◯ソース！！？なんでこんなのいれたの！？」

雄は汗を拭いながら片手で顔を仰いでいる。

「あれ〜？雄、辛いの好きじゃなかったかしら？」

茉奈はしらを切る。

「嫌いだよね！？僕カレー甘口じゃないと無理なの知ってるよね！？」

雄は泣きながら怒っている。

その光景にはさすがの茉奈もぷっと吹き出す。

「ごめんなさいね。喜ぶと思ったのだけれど。」

笑い混じりに茉奈が言うと雄が

「こんなのもう食べないからね！ごちそうさ…」

「はっ？」

「えっ？」

雄がご馳走様と言い終わる前に茉奈が割って入った。

「ねぇ…雄。あなた、私が学校終わりで疲れている状態で一生懸命作ったご飯が食べられないの？」

茉奈からのプレッシャーがどんどん大きくなる。

「え？いや、だからその僕は辛いの食べられ…」

「食べるわよね？雄」

再び雄が言い終わる前に茉奈が言う。

「そんなの無…」

「食べるよね？」

凄い笑顔で言う茉奈。雄は無言になり紗奈に助けを求めるように手を伸ばそうとした時。

バンッ！！！！

茉奈がテーブルを叩く音に雄がビクッとなる。

「ね？」

茉奈が雄にどうするのか答えろと言わんばかりに問いただす。

「いただきます…」

ものすごくか細い声で雄言った。

「声が小さい！！！」

茉奈が叫んだ。

「いっいただきますぅぅぅ〜〜〜！！！！」

結局雄は汗と鼻水を垂らしながら完食し

「ご馳走様でした…」

茉奈は満面の笑顔で返す。

「お粗末様でした」

翌日、雄はトイレの住人になった事は言うまでもない。

「茉奈〜紗奈〜トイレットペーパーがないよ〜」