「俺をここで働かせくれ!」
「俺を数日間ここに滞在させて欲しい」
「え?」
「む?」
思ってる事が同じだと思っていたはずの2人が素っ頓狂な声をあげた。バージルはただ驚いただけだが。
「ちょっとバージルさんどうゆーことっすか?普通ここは働かせてくれ!でしょ?」
そうスバルが言うとバージルは何言ってんだコイツと言うような顔で
「馬鹿か貴様は屋敷の主が何でもと言ったんだぞもう少し欲を出せ」
と2人は言っていたがこの屋敷の主ロズワールは
「そぉ〜かスバルくんはここで働きたいのとバージルくんはこの屋敷に滞在だね承知したぁ〜よ」
ロズワールがそう確認するとスバルは渋々承諾し、バージルはああと頷いた。
「まずは文字を教えてくれこの世界の文字は全く分からん」
「言ってる事の意味が分からないわお客様」
「言ってる事の意味が分かりませんお客様」
「あっ俺もだからな!」
ついでにと言わんばかりにスバルも言ってきた。
「だいたいこの世界ってどういうこと?」
とラムが怪訝な表情で聞いてきた。
「俺は別の世界から来たこの世界の住人ではない。」
それにとバージルは続けた。
「そこにいるスバルもーー」
「どうかしたの?お客様?」
「……いいや何でもない」
と言うとスバルが食いかかってきた。
「ちょっ何で言わないんすかバージルさん!!」
バージルは少し席を外すぞと言ってスバルを連れ出した。
「…………」
双子のメイドのレムがバージル達を怪訝な目で見ていた。
(……さすがに怪しむか)
バージルはその視線に気づいていた。だがそれは後にしておこうとバージルはそそくさとスバルを連れていった。
「良いかこれから貴様は異世界から来たと言わん方がいい」
バージルは真剣な表情で言った。
「な、何でですか?」
スバルが食い気味に聞いた。
「俺がこの世界の住人ではないとエミリアに言おうとした時心臓を掴まれたような気がした」
何だそれ気持ちわるっとスバルは呟いた。
「俺は自分でそれを取り払ったが、貴様は出来なさそうだしな心臓を潰されて死ぬだろう」
「し、死ぬ!?」
とスバルはひどく驚いたそれもそのはず自分の正体を言おうとした瞬間死ぬのだ。
「一応忠告はしたぞ死にたいなら言っても構わんが」
「バージルさん何者なんすかアンタ心臓掴まれたのに自分で取り払ったとか」
「そうだな一応話しておくか」
ゴクリとスバルは唾を飲み込んだ。
魔剣士スパーダ。
魔界最強の魔帝ムンドゥスの右腕的存在だった悪魔。
ムンドゥスは人間界を侵略しようと人間達と戦っていたが、人間が悪魔に勝てるはずもなく悪魔が人間界を侵略するのは時間の問題かと思われた。だがその悪魔側の魔剣士スパーダが正義に目覚め何千何万といる悪魔達を倒し魔帝ムンドゥスを封印した。そして魔剣士スパーダは人間界に降臨し1人の女性と恋に落ち2人の双子を産んだ。
「そしてその双子のうちの1人が俺だ」
こんなところかとバージルが言うとスバルが
「いやいやいやいやええ!?バージルさんそんなここと同じようなファンタジーな世界に住んでたんすか!?」
「そうだ二度も言わせるな」
「嘘でしょただでさえそれでびっくりしてんのにしかもその伝説の魔剣士の息子!?」
スバルは未だ驚いていた。
それからバージルは客室でラムに文字を教えてもらっていた。バージルは飲み込みがとても早かったため短期間で文字を覚えた。
「………そろそろか」
そうバージルは1人つぶやき部屋から出た。
「おいそこの青髪のメイド」
「!?」
いきなり声をかけられ慌てたレムは
「な、何でしょうかお客様」
「貴様が俺を殺そうとしている事は分かっている。だが貴様では勝てん」
そうバージルが言うとレムは
「いいえ少なくともあなたは殺すつもりはありませんでした。」
なかったか、とバージルは笑みを浮かべる。
「ではここで俺を殺すと?」
「………不本意ですが、仕方ありませんね」
「少しは楽しませてくれるのだろうな?」
こちらの台詞ですとレムは冷たく言う。
「ならばどうする?ここでやるか?」
「いいえあなたは物分かりがよろしいようなので、ここで戦うとあたりが汚れてしまいます」
よほど自信があるのだなと心の中で呟きああそうだなとバージルとレムは屋敷を出た。
一方その頃
「エミリアたん………もう食べられないよぉ」
見事に爆睡していた。これから壮絶な戦いがあるとは知らずに。
次回レムvsバージル。どっちが勝つんでしょうか(ゲス顔)