Fate/stay night Ideal alternative(アイディール・オルタナティヴ) 作:紗代
「あ、そうだ。衛宮君、他に何か聞きたいことはある?一応協力関係なんだし私のサーヴァントとか以外の私に答えられることなら答えるけど」
「じゃあ、遠慮なく。昨日の夜、アインツベルンと式波って言われて遠坂なにか言ってただろ、なんなんだ?アインツベルンと式波って聞いた感じだと魔術師の家っぽいけど」
そういうと遠坂は少し言いよどみ、けれど考えがまとまったのかちゃんと俺に教えてくれた。
「そうね、士郎もこの戦争に参加している以上は嫌でも聞くことになるでしょうし、隠すようなことでもないから教えましょうか。聖杯戦争の始まりは200年前、ある魔術師の家系3家がそれぞれの思惑から協力したことで始まったの。以降その三家は「御三家」と呼ばれ聖杯戦争の参加権を優先的に配られるようになってるわ。その三家は私の「遠坂」、今はこの地に馴染むために名前を変えてるけど「マキリ」、そして今回のバーサーカーのマスターである「アインツベルン」。」
そういうことだったのか。だからあんなにも慣れていた。自分にもサーヴァントにも余裕と自信があったのだ。
「ちょっと待て、じゃあ式波は?」
聞いていたところでは「式波」は御三家ではないという、しかし遠坂は名乗ったあの黒い少女にも反応していた。
「式波は・・・私にもよくわからないのよ。式波はあくまでアインツベルンとしか交流を持ってない。一番最初の儀式の時は立ち会ってたらしいんだけど、その時にしたって記録係、見届け役のようなことしかしていなくて儀式の構造そのものには携わっていなかったようだし。ただ、式波の家そのものは魔術師の家系としては相当古い名家中の名家よ。続いている年数だけでいうなら私たち御三家を軽く超えるわ。一番長いアインツベルンは千年、式波は少なく見積もっても千五百年以上」
「せんごひゃく!?」
「それだけに謎の多い家であることには変わりないけれど。それにしてもなんでそんなところの子が魔術師殺し・・・?なにか事情でもあるのかしら」
遠坂の顔が再び険しくなっていく。しかし、考えていても無駄だと悟ったのか話題を切り替えた。
「とにかく、今は少しでも生き残る可能性を上げることが第一ね。私としては士郎の魔術を少しでもまともなものにして、私たちのサーヴァントの回復も同時並行でしながら他の連中に動きがあるまで静観するっていうのが妥当なんじゃないかと思うのだけれど」
「ああ、俺も遠坂に賛成だ。」
「なら決まりね」
こうして方針が決まった俺たちはひとまず解散、ということになった。