ONEPIECE~エピソード・オブ・クリューギュロス~ 作:与麻奴良 カクヤ
自身が問いかけた質問の答えを、ドラゴンから聞いたスモーカーは直ぐに「どういう意味だ!」と再び問い詰めたかった。
たかったのだ。
スモークが声を出すよりも早く、そいつは現れた。
「麦わらには会えたか?ドラゴン」
地面から湧き出るかのようにして現れた、そいつにスモーカーは声を失った。
そいつが放つ気迫に圧倒され、スモーカーは声を出せないだけでなく、呼吸すらも忘れた。
そんなスモーカーを気にせず、ドラゴンは何事もなかったかのように答える。
「ああ、ついでに月銀もな」
「っは!未熟なのが見てわかる。能力は開花してるみたいだが、何処まで中心近く縁を広げられるかが見ものだな」
「そろそろ行こう。海軍に見られている」
「ん?お!こいつは海軍大佐『白猟のスモーカー』じゃないか?」
そいつが初めて気づいたかのように反応するとスモーカーは何とか声を絞り出す。
「き、貴様は何者だ!!?」
声が震えているのがスモーカーにも分かる。
それでも、政府の危険人物として指名手配されている、ドラゴンと親しく話すこの謎の男の正体を突き止めようと言う原動力が、スモーカーを動かす。
スモーカーの問にそいつは、何でもないように答えた。
「俺様はこの星を真に統べる者だ」
「・・・は?」
「じゃあな、お前を直に見れて良かったぜ」
そいつはそれだけ言うと現れた時と同じく、地面に溶ける様にその場から消えた。
同じようにドラゴンもスモーカーから背を向けて去っていった。
それからスモーカーは部下がやって来るまで、そいつの言葉の意味を考え続けた。
町を出ると俺達の船、メリー号が見えた。
直ぐ目の前にある。
「急げ!!ロープが持たねぇ!!」
「スゲー雨だ」
「んナミさん、ただいまー!!」
町から出ると遮る建物が何も無くなったせいか、風がより一層強くて雨が痛い。
ルフィはそれを感じたようだ。
後サンジ、こんな時にふざけるな。
ナミもそう思ったのか、
「早く乗って!!船を出すわよ!!」
ナミの言い分に従って俺達は出港準備に取り掛かった。
と言ってもウソップが粗方終わらせてくれていたのですぐに整った。
船が転覆しそうになるほどの嵐の中、俺達は光を見つけた。
「『導きの灯』あの光の先にグランドラインの入り口がある」
流石、ナミ。
良く知ってるな。
「よっしゃ!偉大なる海に船を浮かべる進水式でもやろうか!!」
サンジが空樽を転がして提案した。
「おれはオールブルーを見つける為に」
「おれは海賊王!!」
「おれァ大剣豪に」
「私は世界地図を描くため!!」
「お・・・お、おれは勇敢なる海の戦士になるために!!」
「俺は・・・ルフィを海賊王にし、あの人を超える為に!!」
各々の目標を宣言し、樽に足を置く。
「「「「「「行くぞ!!!グランドライン!!!」」」」」」
樽を割った。
さぁ、あの日の約束を果たしに行こうか!!
・・・今回でこのタイトルは最終回です。
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