ONEPIECE~エピソード・オブ・クリューギュロス~ 作:与麻奴良 カクヤ
俺の鏡でルフィの首に鏡を張り、バギーが振り下ろす剣を跳ね返す。
それすら出来れば、ゾロとサンジが死刑台をぶっ壊すだろう。
しかし、距離が遠い。俺の能力の有効範囲外だ。
更に厄介な事が
「やっちまいな!お前たち!!」
「「「やっちまいます!アルビダ姉さん!!!」」」
ひゃっほう~~~と金棒を持った女性の命令を受け、俺達の足止めに出てくるバギー一味。
ゾロとサンジが足止めを喰らう。
あの女性がアルビダと呼ばれていることが気になったが、同名の人違いだと思うことにした。
俺の知っているアルビダは金棒は持っていても、あんなにも美人ではなかった。
俺は能力の有効範囲内に入ればと、地面を蹴った。
向かう方向は空。
空気を蹴り、脚力だけで宙に浮く技、月歩を使った。
空から能力の有効範囲に入らせて・・・・・・
寒気がした。
俺が今まで体験したことのない程の寒気だ。
まるで圧倒的強者を目の前にした寒気。
問題は、俺が今まで会ってことがある世界レベルの強者等。
その中でもダントツにヤバい気配だと分かったことだ。
その寒気と気配に気を取られ、空にいた俺は落下した。
受け身で衝撃を和らげると同時に今、俺が張れる鏡の中で最も強度の高い物を俺の周りに展開する。
どこだ!!?
ローグタウンにこんなバケモノが・・・
「ゾロ!!サンジ!!ウソップ!!ナミ!!ジーク!!」
ルフィの声が聞こえ、死刑台を見た。
バギーがルフィの首に剣を振り下ろす瞬間、俺は見た。
ルフィを見上げる俺の視界の端に映る寒気の気配の正体。
そいつは死刑台の真後ろの建物、その屋根の上にいた。
恐ろしく整った顔立ち、肩付近まで無左座に伸ばした赤髪はまるで血で染めた様に赤黒い。
そいつは何者にも染められない真っ黒のマントを着て、俺達を見下ろしていた。
何よりも異色なのは、嵐の風によって揺れる前髪から覗く瞳。
左眼は見慣れた銀色、反対側の右眼はこれまた見慣れた金色。
そいつのオッドアイは明らかに異常。
そいつはその両目で俺を見ていた。
俺がそいつを見上げたことにより目が合った。
俺はその瞬間、ルフィのことも敵に囲まれていることも何もかも忘れ、ただひたすら銀と金の瞳を見ていた。
なんだ?頭がボーっとする。
とにかくあの瞳を見なくては。
そんな感情が頭を占めていた。
「わりい、おれ死んだ」
誰かの声が聞こえた時、カミナリが落ちて俺からそいつを隠した。
雷が落ちた一瞬でそいつは消えていた。
その瞳から視線を外したことにより俺は自由を取り戻した。
イーストブルーで書きたかったシーンです。