ONEPIECE~エピソード・オブ・クリューギュロス~ 作:与麻奴良 カクヤ
村唯一の酒場である「PARTYS BAR」の女店主、マキノはルフィが子供の頃から知る人物の一人だ。
「あの子の夢だもの……心配?」
ウープ・スラップはマキノから出してもらったお酒を飲み
「夢か……運命か…」
意味深な事を言った。
マキノはウープ・スラップが言った言葉に首をかしげるが、分からないと見ると気を取り直してもう一枚の手配書を見せた。
「そうだ!見て、村長さん。この子がルフィの仲間だそうよ」
「……ッ!!何で小娘がおるんじゃ!?」
俺がローグタウンに来たのは二回目だ。
一回目はイーストブルーに来た当初に寄って死刑台を見てきた。
そのため、死刑台を見に行くのはパス、食材はコックのサンジが買う予定なので俺は日用品や消耗品、治療薬、その他この先の航海で必要な物を買い揃えようとしたのだが……。
「どお?」
「おおぉ!お似合いで、お客様!」
「………」
「どお?」
「おおぉ!エレガントで、お客様!!」
「…………」
試着室のカーテンが開かれ、様々な服、というより衣装を着たナミが出てくる。
俺は立てた予定を一切無視され、ナミの買い物に付き合わされていた。
「どお?」
「エレメントで!」
「どお?」
「エレクトリカルで!!」
「どお?」
「エレジーで!!!」
「どお?」
「エロエロで!!!!」
「エキセントリックで!!!!!」
表現のしかたが”え”から始まる褒め言葉しかないのかよ!!
っというかエロエロでってセクハラだぞ!
何十着も試すナミに飽きてきた頃、遂にナミの試着が終わった。
元の服に着替えたナミは俺のとこまで来るなり
「何で感想の一言も言わない訳よ!!」
「いや、女性の服に感想を求められても……」
「素直に褒めておけばいいのよ!」
服の感想を言わずに黙って見ていた事を怒られた。
素直に褒めればって、別に思ってもない事をわざわざ口に出して言うことないじゃないか。
しかも無理矢理、引き連れて来て服の感想とか、ルフィとは違った意味で自分勝手な奴。
「お、お客様?こちら全てお買い上げで?」
ナミが試着した衣装を台の上に移動した店員が息を切らしながらもニッコリと接客してくる。
この量を買うと服にしては物凄い金額になるな。
店員も分かって対応したのだろう。
全部は量的にも、金額的にも買わないだろうが、ちょっとくらいは買うだろう。
俺は甘く見ていた、ナミの非道さを…。
「ううん、いらない。私、もっとラフなのが欲しいのよ」
「またのご来店を!!」
「動きやすくてさ」
なら、なぜ高級服店に入って試着した!!
店員さん泣いてるぞ。