ONEPIECE~エピソード・オブ・クリューギュロス~ 作:与麻奴良 カクヤ
「へー、綺麗な女だぜ」
「ジークの兄貴と知り合いさんだとよ」
ヨサクとジョニーが船室から出て来た。
「それでジーク!この人誰?」
ウソップの質問に俺は答える。
「家のメイドだよ」
「メイドってお前の実家、良い家柄なのか。どっかの国の貴族か王族とかじゃないよな」
ウソップの大胆な発想に俺は度肝を抜かれた。
「良い家柄かどうかは知らないけど、貴族や王族じゃないのは確かだ」
「はい、ジーク様は海賊の子でございます」
ティカさん、お願いだから余計なこと言わないで!
「海賊の子、おれと一緒だけどメイドを従える海賊ってまた珍しいな」
ウソップの奴、勘ずくなよ。
あの人は無駄に有名だから怖い。
とにかく話題を変えねば。
「親の事は気が向いたら話すよ。それよりもティカさん。何でこんなところに?」
強引に話題を変えて初めに思った疑問をそのまま話した。
ティカさんがあの人の傍から離れる理由がないからな。
「こちらをお嬢様からジーク様に渡せと言われており、こうして時期が来たようですのでお渡しに参上しました」
そう言いながらティカさんが取り出したのは片手に収まる位の大きさをした見たこともない金属で出来ている薄い板のような物。
「これがあの人からの贈り物?」
「そうです。私にもどの様な物か伺っておりませんが説明書も付けたとおっしゃっていました」
ちょっとした本程のページ数がある紙の束、これが説明書とやらだろう。
広げて見てみる。
「これ何語で書いてあるんだ?ジークは読めんのか?」
横から覗き見をして来たウソップが聞いてくる。
そこに書かれてあった文字は少し前に孤島の宝箱から出て来た地図と同じ文字だ。
俺はあの人が考えた暗号だと知らずに公用語を一緒に習ってきたためこの文字が読めるがあんまり人に見せる物じゃないな。
「読めるけどこればっかしは教えられない。ごめんな」
「いや、いいけどさぁ。ティカさん?だっけ、どこ行った?」
説明書を読んでいると何時の間にかいなくなってしまったティカさん。
「あの人の所に帰ったんだと思う」
「いやいや、帰ったってここは海のど真ん中だぞ!どうやって帰るんだよ!!?」
ウソップの言うことは全くだ、十年程一緒に暮らしたがあれが欲しいなって思った時にはもう持って来ているんだよ。
行動原理が相変わらず分からない。
「兄貴達、そろそろ船を出しますね」
ヨサクとジョニーが止めていた船を再び動かし進路を進む。
困ったらこれを見ろって説明書には書いてたが何の役にたつんだよ、この変な機械。
クオリティーがどんどん下がって行く