ONEPIECE~エピソード・オブ・クリューギュロス~ 作:与麻奴良 カクヤ
急にやって来てナミを口説き始めたその男は金髪に片方の目を髪の毛で隠しており、見える方には眉毛がグルグル巻きになっていた。
更に普通のコックと違い黒い服を着て、タバコを吸っている。
明らかに普通のコックとじゃないな。
「僕は君達となら海賊にでも悪魔にでも成り下がる覚悟ができた、しかし僕らには余りにも大きな障害があり過ぎる」
今、君達って言ったよな!
勿論、ナミを含めたこの席の全員のことだよな!
色々と自問自答を繰り返しているとテーブルに向かって男が落ちてくる所だった。
あ、危ねッ。
俺達はお皿を手に持つ事で料理を守った。
へーぇ、金髪の男を背負い投げしたのはオーナーさんか、あれ?片足無くね。
自問自答を繰り返している間の会話も聞いていた。
金髪の男はここの副料理長でありオーナーさんは金髪の男が海賊になるのを止めるどころか進めていた。
それで言い争っているうちにヒートアップし今に至るっと。
ルフィは当初の目的通り、良いコックを見つけてスカウトしてたみたいだ。
オーナーさんが立ち去るとナミに駆け寄りお詫びとしてデザートとワインを出していた。
どこから持って来た?
まぁ、良かったなナミ、あれ?俺の前にもデザートとワインが……………。
放心しているとルフィがデザートを狙って来たのでとりあえず持ち上げて回避。
雑用が客に出された物を食べるな。
ナミが耳打ちして来た。
「ねぇ、ジーク。あんた、あの男に女だと思われてるわよ」
「折角、現実逃避をしていたのに思い出されるなよ」
「勘違いしているあっちが悪いんだから甘えればいいじゃない」
ナミには解らないんだろうな俺が今までに受けた仕打ちを。
子供も頃に女装の着せ替え人形にされ、見習い中には敵船からの舐めるような眼つきに晒されて、独り立ちした時には男に求婚されるわでなんだろうか、この人生。
仮に俺が女だとしても長身でツルペタの口の悪い女になるだけだぜ、どこが良いのやらわかりゃしない。
だが、解った。
あいつは女なら誰にでも優しいんだな、女装もしてない男なんですけど。
ナミの言い分は分かった、それなら使える奴はとことん使ってやる。
「すみません、俺の分もタダでお願いします」
「勿論、そのつもりでしたよ、もう一人のお嬢さん」
あの男は簡単に落ちた。
もし、仲間になるなら性別を教えないといけないがその時はその時だ。
スキップを踏みながら去っていった男は入口で別の女性をナンパをした。
「おい、ジークその外見で良いこと尽くめだな」
ウソップ、黙ってろ。
会計払ってやるからよ。