ONEPIECE~エピソード・オブ・クリューギュロス~   作:与麻奴良 カクヤ

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今回は予定が入り少し少ないです。


*第一編 ジーク  *第一部 ただ何もしない 東の海 *第二章 イーストブルーの無人島
74 第三話 宝箱


「ルフィ!大丈夫か?」

 

一応心配すると特に問題は無かったみたいだ。

 

「こっちから飛んできたな」

 

「見て!ピストルが落ちてる」

 

銃弾の飛んできた方向を見るとピストルが落ちていた。

箱に緑色のもじゃもじゃが詰まっているものの前に落ちていた。

 

「何かあるぞ………」

 

「めちゃくちゃ怪しいわ………」

 

「明らかに関係がありそうな………」

 

俺達が緑のもじゃもじゃを見ているとそれは急に動いた。

そして扱けた。

 

脚がバタバタしているのが見える。

形から人間だろうか?

そして森の番人と同じ声で喋った。

 

「くぉらぁ!!早く起こさんか!?」

 

初対面で何だろう?

逃げて勝手に扱けたのに関わらず逃げていた者に早く起こせとは?

 

それは人間だった。

箱に入ったおっさん。本名ガイモン。

この森の番人を名乗る者の正体だ。

 

見ため通り箱入り息子…ではなく二十年前にうっかりして空の宝箱にはまってしまいずっとこの姿で過ごしている。

 

「わかるか?俺のこの切なさ」

 

すいません。箱入り息子は分かっても箱にはまったおっさんの気持ちはわかりません。

 

二十年間ずっと一人で居た為、人とまともに話すことが久々だそうだ。

そのため髪も髭もぼさぼさに伸びっぱなしで遂にまつ毛がつながっている。

宝箱と体はミラクルフィットしていて抜けないし宝箱を壊そうとすると体がイカれる。

 

あの人なら宝箱から体を壊す事なく取り出す事ができそうだな。連絡先知らないから呼べないけど。

それに急に宝箱から抜け出せてもガイモンさんが困るだけだ。

 

ガイモンさんも昔海賊をやっていたらしい。

宝探しのスリルに命を懸けても良かったそうだ。

 

「お前はなぜ海賊をやっている?何か宝の地図でも持っているのか?」

 

「グランドラインへの海図は持っている。おれはワンピースを目指しているんだ」

 

「まさか本気でグランドラインに入るつもりじゃあないだろうな?」

 

普通はガイモンさんの言う通りグランドラインは恐れられている。

だがルフィはそんな事は気にしないでワンピースを見つけると平気で言っている。

俺はそういう所を気に入っている。

 

「で。どれがグランドラインだ?」

 

「いやぁ、おれも分かんねぇ」

 

「とても海賊の会話とは思えないわ」

 

「全くの同感だ。」

 

だが今ルフィと二人でグランドラインへの海図を見てどれがグランドラインか分からないのは海賊としてどうかと思う。ホントにルフィで大丈夫だったのだろうか。

 

「あぁもう。レッドラインは知っているでしょ?」

 

ナミが我慢出来ず二人に講義した。

 

内容はこの世界の地理についてだ。

俺はもちろん知っている。

 

 

 

この世界には世界を一周する大陸がある。『レットライン』だ。

その大陸を直角に交わる海それが『グランドライン』。

歴史上その海を制覇したことある唯一の人物が二十二年前に処刑された『海賊王ゴールドロジャー』

そのどこかにあると言われているのがワンピース。

それを見つけて海賊王になる事がルフィの目標でありその目標を掲げているルフィを助ける事が俺の目標の人を超えられる唯一の方法だ。

 

「ようするに世界一周旅行って事だな!」

 

「旅行って…まぁ、間違ってはないかな?」

 

「バカ言え。そんな容易い場所じゃあねぇ。あの海は!」

 

ガイモンさんは以前グランドラインから逃げ帰った海賊を見たそうだ。

その姿はまさに死人の様に戦意を失って誰一人として口を開こうとしなかった。それだけでグランドラインの恐ろしさを語っていた。

 

「その上二十年以上誰も見つけられてないんだ。ワンピースなんてもはや伝説となりつつある。見つけるなんて夢のまた夢」

 

「そうか?何とかなるだろ」

 

「ムリムリ、稼げるだけ稼いで逃げるのが一番利口なのよ」

 

「見つかるさ。おれは運もいいんだ」

 

「別に良いけど。どこから湧いて来るのかしら。根拠のない自信は?」

 

「運もこの先では必要になってくる要素の一つだ。それに根拠は無くても自信も無いと倒せる敵も倒せない」

 

俺の様にな。最後の言葉は出なかった。

 

「なぜ、二十年もこの島に俺がいるかはな。俺には未練があるんだ。どうしても諦めきれねぇ物が!」

 

ガイモンさんは語った自分の未練を。

 

 

 

二十年以上前海賊をやっていたガイモンさんはある時所属する海賊団が宝の地図を手に入れた。地図に記入されていたその島は正に此処。

ガイモンさん等は三週間ずっと宝の在り方を探したが遂に見つからなかった。

他の海賊が撤退していく中ガイモンさんはある場所が気になった。

その場所は船長が座っていた崖の上。

ガイモンさんが登って見ると宝箱が五個あった。

そのうれしさの束の間、崖から落ちてしまい空の宝箱にハマってしまった。

気絶から立ち直ると時すでに遅し海賊船は去っていった後、だがガイモンさんは考えた。って事ならあの宝箱の中身は自分一人の物ではないか?

だが、箱にハマってしまったガイモンさんは宝箱のある崖を登れなかった。

それから二十年以上この島に来た海賊どもを森の裁きとして追い払い続けた。

 

「あの日見た宝箱が目について忘れられない。あれは俺のだ!」

 

あの日の宝箱を手に入れる事。それがガイモンさんの未練

 

「分かったわガイモンさん!それならあなたの代わりにその宝取ってあげる」

 

「ルフィが、だろ?」

 

「そうか!お前らに話して本当に良かった。」

 

「でもさぁ。お前海賊専門の泥棒だよなぁ」

 

「ナミ、まさか今の話を聞いて宝を盗もうとか思わないよな?」

 

「ちょっと待ってよ!私にも場ぐらいわきまえるわよ!」

 

「まぁそりゃそうか」

 

ともかく俺達は偶々立ち寄った孤島で宝箱を取ってあげる事になった。

だが一つ、この島に入った時に感じた聞いたことがあるような思い出が気掛かりだった。

 

 

 

ガイモンさんの案内で宝箱がある崖下までやって来た。

 

「ここに来るのも久々になるな。」

 

「でも、何で今までにやって来た人に頼まなかったんだ?」

 

「誰も信用出来なかったのさ。それに俺の姿を見て話そうとする奴の居ねぇ」

 

「俺達なら信用出来るってのか」

 

「今日はいい日だ。遂にこの時がきた!」

 

「よし行け!」

 

ナミがルフィに命令する。

 

「何でおれなんだよ?」

 

そりゃナミが発端者だがこの崖を登れる訳ない。ならルフィしか居ない。

 

「お前らなんだよ!?」

 

ルフィもナミもガイモンさんまで俺をそんな目で見ない下さい。確かにこんな崖登るのは嫌だけどさ!だた嫌なだけで登れるけどルフィの方が速く済みそうだし…………。

速く行けよ!ルフィ!!

 

またひと悶着あったがルフィが手を伸ばして崖の上に飛び乗った。

直ぐに見つかった。

 

「あったぞ!宝箱五個」

 

「早く降ろしてくれ。俺に気を付けてな」

 

「嫌だ」

 

ルフィは何を言ってるんだ?

その宝はガイモンさんの物だと言ったのはルフィだ。

ルフィに限って嘘は付かないはずだがその程度奴だったのか?

いや、違うはずだ。何かがある。考えろ、思い出せ。

あ、そうか!この島はもしかして…。

 

「もういいんだ」

 

「いいって!?ガイモンさん」

 

「ガイモンさんも気づいたか?」

 

「え?ジーク、どういう事?」

 

「お前は優しいな。薄々気づいていたんだ。考えないようにもしていた。」

 

「ナミ、泥棒しかやって来なかったお前には分からいと思うがな宝の地図ってのはな、手に入れた時点である可能性が高い。」

 

「ないんだろ。中身が」

 

「うん。五個とも空っぽだった。」

 

宝箱の中は無かった。

俺は昔聞いたことがある。

出回っている地図は盗られた後でそれを記入しているものが多いと。

だが今回は少し違う。

 

「ルフィ!宝箱を全部持って降りて来てくれ!この目で確かめたい事がある」

 

「ん?分かった」

 

ルフィに降ろして貰った五個の宝箱。

見た目は木と鉄を使ったどこにでもある宝箱。

見分ける方法は壊れないこと。

 

「ナミ、何か火を付けるものはあるか?」

 

「火を付ける?そんなもの持ってないわ」

 

「ならちょっと舟まで戻って来るよ。ゾロの様子も気になるし」

 

 

 

そう言い舟へと足を向けた。

舟に戻ると乗せたあった荷物からライターを取り出す。

それからお酒を二瓶、これも一緒に用意する。

ライターは火を起こす時に使う。サバイバルの常識。

お酒は消毒用に飲食用と沢山乗せてある。飲食用に海の上では水より傷みにくいお酒が推奨される為である。

それと小さい樽で海から海水を汲んだ。

別に海水でないといけないわけはないが舟に積んである水は飲み水で貴重だが海水ならほぼ無限にあるからだ。

 

もう一つの目的のゾロはまだ寝ていた。

起こそうかと思ったがバギー戦で負った傷がまだ治ってないはずなのでそのままにしておいた。

 

のどかな森を歩いて崖の場所まで戻る。

 

「遅い!」

 

「そんなにかかってないだろ。それよりガイモンさん。こんな島に居ちゃあ手に入らないだろ?」

 

ナミの理不尽な言い分を軽くあしらい持ってきた酒瓶の一つを渡した。

 

「おぉ酒など久しぶりだ。何から何までありがとう。」

 

「それでライターなんか持って来てどうするつもり?」

 

「こうするのさ」

 

もう一つの酒を開けて五つの宝箱にまんべんなくかける。

そしてお酒に火を着火させる。

宝箱はアルコールのおかげで一気に炎に包まれる。

 

「ちょっと何するの?」

 

「まぁ待て。今、水で鎮火する。」

 

用意しておいた海水で直ぐ火を消すと燃えて黒くなった四つの宝箱と

 

「おい、全く燃えてないぞ!」

 

「うそ。アルコールもかけて火に包まれたはずじゃあ!?」

 

先ほどと全く変わってない一つの宝箱があった。

 

「これか」

 

俺はその宝箱を手に取っておかしい部分はないか調べる。

ざっと見るがわからない。

確かにこの宝箱なのはキズ一つ付いてない時点で決定なのだが俺ではこの先が分からない。

それなら丁度ここには専門家がいる訳だし任せるか。

 

「ナミ、泥棒だった技術を活かしてこの宝箱を調べて見てくれ」

 

「え?そうねぇ。あ、ここに…ん?紙。こんなものが挟まっていたわ。」

 

ナミに頼んで良かった。俺ならもっと時間がかかったはずだ。さすが元泥棒、隠された物を見つけるのはお手の物ってわけだ。

 

「なんだ?もしかして宝の地図か?」

 

「本当!早速見つけに行きましょう。………ってなにこれ。何か書いてあるのだけど全然読めない。」

 




書いている途中で気がついてしまった。
宝箱がある場所が『崖』でなく『岩の上』でした。
この作品では『崖』って事でお願いします。
今後こういったことはない様に気を付けます。

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