ONEPIECE~エピソード・オブ・クリューギュロス~ 作:与麻奴良 カクヤ
シュシュの主人の店が燃えている。海賊が火を放ったのだ。
俺があの時逃げずに立ち向かっていたらこんな事にならなかったかもしれない。
俺なら一人でも勝てたかもしれないのにまた先入観で逃げた。
一緒に逃げた村長さんと女の子と一緒に燃え尽きた家をみている。
女の子が怒った。
「どいつもこいつも海賊のすることは皆同じよ。人の大切なものを平気で奪って!」
「それは一方的な見方だ。海賊が皆そんな事する奴らばかりじゃない。世界は広い」
俺は体験談を混ぜて反論した。
俺はそれを知っている海賊の全部が一般人に害を与える存在ではない事を。現に前に寄った島ではルフィが海軍の権力を暴行していた奴を倒して感謝されている。
それにあの言い方だとまるで体験者の様だ。
そこにルフィが戻ってきた。女の子はルフィにも怒鳴る。
俺がシュシュの店に対して許せる唯一の救いは逃げる時にルフィを置いて逃げたことだ。
そのおかげでルフィは檻から出ることができた。
そしてルフィその海賊を倒しペットフードを一箱取り返した。
シュシュはそれを銜えて去っていった。
それを見て女の子はルフィと俺に謝ってきた。
「怒鳴ってごめん!」
「いいさ。大切な人を海賊に殺されたんだろ?」
「………。そうだ、貴女の言う通りかもね。色んな人がこの世界にはいるのね。」
「こちらこそ君の事を考えずに言ってしまって申し訳ない。大切な人を海賊に殺されたならあの海賊に対する態度も納得いく。」
その気持ちは昔痛い程教えられた。
俺は海賊に昔からなりたかった。
その時に約束させられた。
一般人を殺すモーガニアではなく一般人に害が無い、むしろモーガニアを倒すピースメインでないといけないと。
その時に一般人にとってはモーガニアもピースメインも同じ海賊で理不尽な罵倒を覚悟してと。
最後に彼女は俺のことを同性の女だと誤解していそうだったので男だと訂正したら凄く驚かれた。
ルフィは仲間にするつもりだから隠すつもりもなくというか必要なので性別は訂正するに決まっている。
肌が白いくスベスベだと羨ましがられたり声でも男口調の女の子だと思っていたなどと言われた。
肌に付いて聞かれたので何もしていないと答えたら「男でそれ詐欺でしょ」と呆れられた。
俺の苦労を知らずに言ってくれる。
道行く人に女性に間違われたりジロジロ見られたりとの苦労を知れ。
俺の事はそれくらいにしておいてルフィの先ほどの行動に村長さんのやる気に火が付いた。
ルフィも村長さんをのせた。
あんまりのせたら後々面倒な事になるぞ。
その時だ。爆発音と共に俺達の近く、シュシュの主人の店跡や村長さんの家の並ぶ一列が全て吹き飛んだ。
村長さんの家でゾロが寝てたのに死んだかな?そんな位で死なないはずだが…。
結果、ほとんど無傷でいた。
あいつは可笑しい。普通は死ぬ。
ゾロが生きていた所で村長さんは町が大幅に壊された事でキレて一人でバギーの所に重い鎧でお世辞にも速いと言えない速度で走って行った。
ここでの目標はあの村長さんを死なせない事とグランドラインへの海図を奪うこと。
そこで俺達は海図と航海士が欲しい。彼女も海図とお宝が欲しい。
利害が一致しルフィは勧誘した。
彼女、ナミは手を組むと言った。
おい、それはあくまでも俺達の仲間にはならないって言ってるみたいだがルフィは仲間になったつもりだぞ。
そうして俺達はバギーの所に向かった。
正直言って行きたくない。
勘だがバギーと会ってはいけない気がしてきた。
そんな事を思いながら着く。
先に着いていた村長さんは危なかった。
バギーの手で首を絞められていた。
間一髪でルフィが引き離す。
そして「わしの戦いじゃから引っ込んでおれ」という村長さんを壁に思いっ切りぶつけて意識を奪った。
俺とナミ、バギー一味もこの場にいた全員が言葉失う。
村長さん、死んでないよな?
ナミがルフィを叱るがルフィは
「邪魔!」
その一言。
ゾロも上策だとルフィを肯定した。
「「無茶すんな!!」」
ナミとハモった。
茶番?はそのぐらいにしてルフィがバギーを「デカッ鼻ァ」と急に叫ぶ。
怒りに触れたバギーはバギー玉を発射する。
ヤバ!!俺が能力で防ぐか?
俺が迷っているとルフィは空気を吸って膨らみそのお腹で弾を弾き返した。
びっくりした。そう言えばルフィは弾と相性が良いんだったな。
弾き返したバギー玉は撃った本人に返っていき爆破した。
これで終わらないかな?
と思ったがバギーと副船長を名乗る奴らは仲間を盾に生き残った。
ちっ!
爆破で気絶していた仲間の一人が起きてバギーにルフィが悪魔の実のゴム人間だと忠告するがバギーにこちらへ飛ばされた。
男の進路上に角度を付けた鏡を作る。男はそのままぶつかり家の壁へ跳ね返され激突。気を失った。
「あんた達何なの?伸びたり変な壁をだすし?」
「能力者だよ。」
「俺はゴム人間だ。」
「ところでルフィ敵の幹部っぽいのを一人倒したから俺はもう戦わないぞ」
これと狙ってあの飛んできた男がルフィと接触する前に鏡を展開したが上手く行ってくれて良かった。
次に一輪車に乗った男が仕掛けて来た。
剣を使うとの事でゾロが相手になった。
見ているとゾロが劣勢。相手はゾロのキズを狙って攻撃している。
遂にゾロは自分から腹を切った。ハンデとか言ってるけどそれで負けたらシャレにならねぇぞ。負けるなよ。
そこでナミが提案して来た。
「聞いて。吹き飛んだ店の裏に小屋があるの。そこにあいつらのお宝があるわ。私は先にお宝を頂いて逃げるから。多分バギーが持っているグランドラインの海図を手に入れたらその時は仲良くやりましょう。」
「おぉ、ありがとう」
ルフィはバカ正直にナミの言う事を聞き引き止めない。
手を組むと言ったが仲間に加えたいなら海図を持って来いとのことかナミはお宝の場所は検討が付いてるみたいだし手間が省ける。
よし、ついて行こう。
「ルフィ、俺もナミについて行って宝を拝借して来る。バギーを頼んだ。」
「任せろ!」
ちらりとゾロを見ると男はコマを投げていた。
そのすきに俺はナミを追って場を離れた。
俺が海賊を相手にした時ただ倒すだけでなく海賊らしく金目の物を奪っている。
もしもの時に備えて貯金があるらしいが俺が集めたわけでないからあまり使いたくない。
そこで海賊から奪って生活費を稼いでいた。ゾロと違う点は海賊を海軍に引き渡さない事だ。俺も海賊だがらわざわざ捕まりに行く訳ない。
ナミに追いつくと嫌味を言われた。
「なに?私が逃げない様に監視でもしにきたの?あいにくだけど許可したのはそちらの船長よ。」
「別にそんな訳で着いて来たんじゃない。俺も海賊なんでね。宝を奪いにきたわけ。目的は一緒だ。」
「なら、か弱い乙女の為に少し持ってよ。そしたら少し分けてあげる。あんたが持てたらだけどね」
それは俺の腕が細すぎて力が無いとでも言いたいのか?
良いだろう持ってやるよ。分けてやるなど言うがナミは俺達の仲間になるのだ。そうしたらこの宝は俺達の食料に廻してやる。
腕が細いと言われたことは怒ってないとも。
ええ、俺の細腕に秘められた力を見てろよ!
渡された袋を受け取ると明らかに大きさが違った。
不公平だろ!
あぁ、重い。
表に戻ると戦いは一進一退だ。
どっちの攻撃も当たらず避けられる。
「夢でも見てるみたい。」
ナミは能力者同士の戦いを初めて見たのだろう。
そりゃイーストブルーでは中々能力者を見ないしな。
あいにく俺はもっと化け物たちの戦いを見たことある。
思い出すだけで戦意がなくなる。あれは。
「お前、ジーク・クリューギュロスだろ?俺様の事を『お嬢』から聞いたことがあるだろ。俺とお前が手を組んだら世界を取れる。どうだ?」
考えごとをしていたらいつの間にかバギーがこっちに向かって来ていた。
え?なに、この人は俺を勧誘してるの?
やっぱりこんな事が起こるかも知れないからあの人の関係者に合うのはごめんだったんだ。
「手始めにこいつらを殺して俺様の有能性を見せてやる。」
「あ、あの…。俺はこいつらが気に入っているのであなたの海賊団に入るのは—」
「俺の財宝に手ぇ出すんじゃねぇ!!」
聞いてないし。
しかし幸い、バギーは比較的弱いと聞いている。
っと、ナミに向かって飛んできているバギーをどうにかしないとな。
早速、鏡を作りバギーの進路妨害をする。
「ぶぅうえ。はっう!!」
ナイスルフィ。
突如出来た俺の鏡にぶつかっている隙にルフィが残っていたバギーに金的を入れた。
…痛そう。ご愁傷様です。
「おいお前、それ置いて速く逃げろ!」
「バカじゃないの?なんで私が宝を置いて行かなきゃ行けないの。これは一度私が手に入れているから私の物よ。」
「あーなるほど」
「納得すんな!おい、宝をよこせ。逃げるぞ。
「あ、ちょっと私の宝を返してよ!」
俺はナミから宝の入った袋を奪うとバギーから逃げるべく動いた。
宝の入った二つの袋は思ったより腕に負担がかかる。
悲鳴を上げる腕を無視して動く。
ついでにバギーの弱点を思い出し伝える。
「ナミ、泥棒ならもう一つ盗む物がある。そうしたらこの宝はお前の物だ。」
盗むものと言うのはバラバラになったバギーの体のパーツの一部だ。気づいてくれると良いけど。
あ、ゾロの奴また道で寝やがって。
まぁ勝ったなら良いけど。
よしナミを振り切ったな。この隙に宝を少し拝借する。
最近は財布の中身が減る一方だったから収入が無いとやって行けなくなる。
この宝もナミが仲間になったら俺達の資金になるはずだがもしもの事があっても大丈夫な様に俺の財布に入れておかないとな。
それにしても重いなどんくらい入ってんだ?
バギーが吹っ飛んでいったのが見えた。そろそろ戻ろうか。
「そらよ、約束通りこれはお前のだ」
「わぁっ。急に投げないでよ!」
ルフィ達と合流するとまずナミに財宝を返してやった。
ルフィが無事海図を手に入れたそうでナミを勧誘した。
ナミは俺達といると儲かりそうだから一緒にいてあげると行ってきた。
あくまでも手を組むだけだそうだ。
ルフィがゾロを起こし歩けないそうなので一番力があるルフィゾロをおぶる事になった。
そして村長さんを起こそうとすると町の住民がやってきて俺達は逃げる様に去った。
いや、もうこれは逃げたと言うべきかな?
こんな事になるなら先に舟に戻っていたら良かった。
逃げる際にシュシュが助けてくれた。いい犬だな。
「おい!待っていたぞ!泥棒…女」
舟は着くといつの間にかいなくなっていた三人が舟から出てきた。
が次第に勢いが小さくなっていく。
どうやらナミと因縁があるようだ。ってあいつらが言ってた天候を操る女ってナミのことなのか?
なら偶然この島に寄ったがかなりの儲け物だな。
航海士にグランドラインへの海図、ついでにお宝。
俺達計画なんて無いのに順調にいってるぞ。
ともあれ今は三人の方だ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ。すんませんお助けを~」
「あれ?逃げた。」
「うるせぇな何事だ?」
「ここまでくる途中で拾ったあの三人組だよ」
三人組は俺の顔を見ると一目散に海に飛び込み逃げて行った。
俺が悪いの?ボコったのはほとんどゾロなのに。
そして出港時、村長さんがお礼を言いに来た。
俺達は目的の為に勝手にバギーを倒しただけだがまた海賊らしからぬ出港だ。
前回の時も今回と同じだったのか。
「何ですって!!?」
声の主はナミ。
俺が返した宝の一つをルフィが置いて来たと言ってナミと一悶着が起きた。
少し拝借したことは絶対に黙っておこう。
ルフィに対する怒りを見た俺はそう決意した。
少ししたら島が見えた。
無人島だから寄る必要はないというナミを無視してルフィは勝手にオールを漕いで無人島に向かった。
寸前まで起きていたゾロを舟番に残して俺達は三人で孤島の森に入っていった。
この島には変わった動物たちが生息していた。ニワトリのようなキツネ、うさぎのようなヘビ、ライオンのようなブタ。二つの生き物を合わせた様な動物がたくさんいた。
あれ?なんか聞いたことがあるような気がする。十五年前くらいだから結構忘れている。確か二つの生き物を合わせた生き物が生息する島に何があったんだっけ?
「それ以上踏み込むな!」
急に声が聞えてきた。
そして声の主は森の番人と言い引き返さなければ森の裁きを受けるがいいと言った。
ルフィは忠告聞かずに歩いた。
その瞬間、ルフィに森の裁きが襲った。が難無くゴムの体で弾き返した。
音といい飛んできた物を考えるとどう考えてもピストルだよなぁ…。
てことは人間の仕業だな。
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