″個性″という『呪縛』   作:kwhr2069

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PCの故障で投稿できないかもと言っていましたが、、

普通に進められていますね。

本人が一番驚いています。w


それでは、第十話になります。天珠ちゃん目線です。


第一章ーvol.6

第十話

 

 

 嵐山隊の人たちに助けてもらい、安全な所まで送り届けてもらった後。

 

 私は、一人になった。

 

 こんな時はいつもなら、弟がいるのに。今日は...いない。

 

「・・天...。どうしていなくなっちゃったの...。」

 

 思わず言葉が漏れる。

 

 次の瞬間、

 

 

 私の目からは涙が溢れだしていた。

 

 

 堺田 天(さかいだ そら)。私の、大事な大事な弟。たった一人の姉弟。

 

 天のことを考えると、涙が止まらなくなる。

 

 

 その時。

 

「どうしたんだ?お父さんとお母さんは?はぐれたのか?」

 

 やさしく声をかけてきてくれたのは、中学生くらいの男の子。

 

 

 気付けば、彼の服の袖を握っていた。

 

 その子は、何か思うことがあったのか、

 

「ごめんな。お父さんとお母さんを探さないといけないから。」

 

 と言い、離れていこうとする。

 

 

 反射的に首を横に振る。

 

 誰かがそばにいてくれないと、私自身が壊れてしまいそうで...怖かった。一人になることが。

 

 

「でも...。」

 

 と彼は言い、言葉に詰まる。

 

 

 

 その時。トリオン兵が突然現れた。

 

 

 怖くなった私は、守ってもらいたくて、より一層彼の袖を強くつかむ。

 

 すると、その男の子は、守ろうとしてか、私を強く抱きしめてくれた。

 

 

 私は安心したのか、そこで意識が遠ざかっていった。

 

 

 彼の雰囲気に、

 

 

 どこか懐かしさを感じながら。

 

 

 

 まだ、彼にはあれ以降会えていないけど、もし会ったら―――。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ふう~~~。」

 

 ゆったりと湯船につかる。

 

 

 突然だけど、私はお風呂が好きだ。

 

 一人での~んびりいられる空間。

 

 私だけに与えられた、特別なこの時間が好きだ。

 

 

 風呂に浸かりながら、私はこれまでのランク戦の戦いを振り返る。

 

 

 何と言っても一番は、ユウくんの大活躍だ。

 

 ランク戦のほとんどの得点はユウくんが稼いだ。出水さんのレクチャーのおかげだと思う。

 

 マリちゃんも人見隊の最年長者として、オペレーターとして、皆をしっかりまとめてくれる。

 

 ソウくんは、試合でのポイントこそあまりないけど、相手の対策をしっかりと練って、私たちが動きやすいようにしてくれている。

 

 かくいう私も、個性を使いフィールド内を駆け回り、二人の援護などに駆けつける。

 

 正直に言って、私たち人見隊の戦力は、かなり充実していると思う。

 

 

 でも、B級中位にランクアップして、とうとう次からは相手も手強くなってくる。

 

 次の対戦相手は、那須隊と、柿崎隊。

 

 

 那須隊はガールズチーム。女子の私の目から見れば、すごくかっこいいと思う。

 

 私たち人見隊と同じで、攻撃手・射手・狙撃手の三人編成。射手が一番点取り屋というところも共通している。

 

 

 そういえばユウくんは、那須さんのトマホーク?を見て興奮し、『絶対に教えてもらおう!』って言ってたっけ。

 

 

 ・・・多分、無理だと思うけどな。

 

 

 

 そして、柿崎隊。

 

 万能手三人と銃手一人。中距離戦を得意としていて、今回の三チームでは唯一、戦闘要員が四人いる。数的優位に立たれたら厳しい戦いになるだろう。

 

 もちろん柿崎隊長も強いが、それよりも怖いのは、

 

 

 ナギちゃんだ。SE(サイドエフェクト)『視覚凝縮』で、フィールド内のほとんどの人を把握する。その眼から逃れることはおそらく不可能で、かなり厄介だ。

 

 

 まさか、こんなに早く対決することになるとは思っていなかったから正直、すごくびっくりした。

 

 

 ここでふとソウくんの顔が浮かぶ。

 

 

 負けられない!ナギちゃんにだけは絶対に!

 

 気合を入れ、浴槽からあがる。

 

 着替えをすませて、寝る準備をする。

 

 そして、寝る前に、

 

 

 弟が大好きだったライオンのぬいぐるみを抱きしめて、

 

「・・天。お姉ちゃん、絶対勝ってくるからね!」

 

 そうつぶやいた後、私は眠りについた。

 

 

 

 それからは、来るべき時に備えて対策を練り、戦術をいろいろ考えた。

 

 

 そして、ランク戦当日。

 

 おそろいの隊服を着た私たちは最終確認も済ませ、あとは転送を待つのみとなった。

 

 ちなみに人見隊の隊服は、白を基調とし、所どころに紺色のラインが入った、シンプルなものだ。

 

 

 ソウくんが皆を集める。

 

「今日は初めての中位チームとの戦いだ。正直、苦戦を強いられることになると思う。だけど、この四人でなら大丈夫だ!準備もしっかりやったし、ちゃんと戦えば絶対に勝てる!よし、行くぞ!!」

 

「「「オオオーーーッッッ!!!」」」

 

 ソウくんの鼓舞で一つになった私たち。

 

 さあ、勝負の始まりだ!

 

 

B級ランク戦、『人見隊VS柿崎隊VS那須隊』スタート!!!




ランク戦は、切りよく描きたいので、第十話はこんな感じに。
結構短めになりました。

天珠ちゃんの両親は、生きてます。天珠と一緒に住んでます、もちろん。


大規模侵攻の二人の件ですが、第九話の天珠の話を聞いて、操志はある程度気付いています。
が、天珠はまだ分かっていません。どうなることやら...。


次話のランク戦は、多視点から描く予定です。どうぞ、おつきあいください。


では。感想、コメント、お待ちしてます!

読んでくださり、ありがとうございました!!

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