私/俺のヒーローアカデミア   作:真暇 日間

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わたおれヒロアカ3

 

 はーいえっちい項目使いまーす。

 いや、なんと言うか、はい、一目惚れしました。

 相手の名前は爆豪勝己。個性は『爆発』で、掌の汗腺が変化していて、自分の意思によって爆発させられる精神感応能力付きの爆発物を出すものらしい。

 年は私と同じ。女の子の好みは───正直なところまだそう言うのを気にする年代ではないせいか全く気にしていないようだけれど、自分の隣に立っている存在を見付けるととりあえず絡みたくなるらしい。自分が完膚なきまでの一番になりたいと思っているようで、一度自分より劣っていると思うとその相手は全力で貶めに行くタイプ。ただしヒーロー大好きなため、敵になったり自分の邪魔になると思った相手ならともかく、ただ弱いだけの相手に暴力は振るわない。気に食わないと扱き下ろすことはあるようだけれど。

 所謂ガキ大将と言う奴だけれど、好きになっちゃったものはしょうがないよね。そう言うことで、今のうちに色々仕込みます。色々、ね。

 具体的には、現段階で私の事をしっかりと印象付ける。負けず嫌いなのは見ていてわかるから、理想的な関係はライバルか、あるいは憧憬の相手。憧憬を抱かせるには年齢が近すぎるからライバルの方が良いだろうし、憧憬の相手にはもうとあるヒーローがいるから難しい。

 後はそうやって私を意識させながらも認識をある程度固めていって、性に目覚めた辺りでギャップを感じさせつつえっちい方に意識させ、理性を振り切らせる。可能ならあっちの方から告白、もしくは押し倒してくれたりすればだいたい出来上がり。強姦紛いの状況になれば、責任を取らせるって形でくっつくこともできるはず。弱味を突くのは戦術の基本らしいし、普通やるよね。

 その時に罪悪感を植え付けて、けれどその罪悪感ごと受け入れて愛してあげれば、きっと私から離れられなくなるだろう。ちゃんと料理や家事なんかも練習して、できればえっちい方も練習して、私に溺れさせてしまいたい。私が溺れてしまっているように。

 逆光源氏計画、なんて物があるようだけれど、年齢が同じ相手にまでそうは言わないだろう。つまりこれは所謂恋の戦略。乙女であれば誰もがこのくらいのことは考えているに違いない。よく知らないけれど。

 

 

 

 

 

 俺の幼馴染みには個性がない。にも拘らず、当たり前のように俺の前に立つし、当たり前のように俺に説教垂れてくる。俺の個性で脅しても全然引かないどころか、俺の腕を弾いてぶん殴ってきたりもする。

 当然、そこから大喧嘩になるんだが、爆発をぶちこんでもぶちこんでも全然効いた様子を見せない上に反撃で滅茶苦茶重い拳を叩き込んできたりする。なんか格闘技でもやってるのか個性を使っても拳や蹴りはほとんど当たらず、当たっても威力が出ない。なのにあいつの攻撃はめっちゃ痛い。

 ただ、俺とあいつは仲が悪い訳じゃない。意見がぶつかれば喧嘩もするし、喧嘩になれば当たり前のようにどっちかが倒れるまで続くが、それでも終わればそれまでと変わらない関係に戻る。

 前に、本当に個性が無いのかと聞いてみたが、にっこり笑ってはぐらかされた。多分持ってるな、なんか。何かは知らないが何か。

 

 で、俺も最強のヒーローを目指す以上格闘技は知っていた方がいいと思ったのでちょいちょい習っているが、どれもこれも簡単だ。なんでこんな簡単なことに苦労してる奴がいるのかわからないくらい簡単で、これで今度こそあいつに勝てると思った。

 ……なんかいつもの三倍ボコられた気がする。構えをとった瞬間「あ、少林寺拳法ね」とか言ったと思ったら技を全部カウンターされた。爆破してやっても無傷でカウンター返してきた。個性って身体能力の一つだとは聞いてたけど、ひっくり返し方なんて色々あるもんなんだな。

 

 あともう一つ。あいつ絶対人間辞めてる。『爆破の衝撃は発勁で掻き消した』とか当たり前に言うし、岩を纏う個性の奴に掌を当てたらそいつが踞って吐いたり、炎を出す個性の奴が攻撃しても回し受けで無傷な上に反撃までしてくるし、マジで人間辞めている。

 浸透勁がなんだとか空気圧を掌に集めて云々だとか聞いたけど流石に意味がわからなかった。調べたら意味はわかった。意味だけはわかった。やっぱあいつ人間じゃない。

 身体能力の強化……それも、頭おかしいくらい強力なやつがなければできるわけがないものを、あいつは呼吸するようにやっていた。曰く、『無個性でも一日26時間の鍛練と言う矛盾を鍛練の密度を上げることで実現させる生活を続ければできるようになる』と言っていたが、そもそも前提条件がおかしい。それを無個性の奴がやったら普通死ぬ。普通じゃなくても大概死ぬ。と言うか無個性とか関係なしに人間だったら死んでおかないとまずい域だろそれ。

 その上、周りには『医者から個性が出ない型だと言われている』とか言っていた。あいつのおばさんにきいたら本当らしいが、そうなるとあいつはあれを生身でやっていると言う頭がおかしいことに……。

 

 まあともかく、あいつは俺の壁みたいなもんだ。自走式で自動修復機能がついててめっちゃ固い上に変形したり時々ドアがついていたりするが、越えたと思ってもいつの間にかそこにあるような壁だ。

 いつか越えたいし、越えてやると思うし───あいつ自身には言えないが、目標にもなっている。

 いつか越えることができたと思ったら、ちゃんとあいつのことを名前で呼べると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出久の策

 自身の存在を印象づける→成功

 自身をいつも気にしてしまう存在にする→成功

 next→??

 

 


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